盲導犬候補生用の

青ジャケットの装着を

嫌がるアーシー(仮名)は

訓練学校に入った後に

ハーネスの着用をも

嫌がってしまうのではないか、

という懸念に関する

担当訓練士さんの見解について。

 

昨日の記事の続きです。

 

「現在ジャケットを嫌がる

アーシーに、Norizoさんが

時間をかければ最終的には

ジャケットを着せられるように、

訓練学校でアーシーの

担当となる訓練士が

アーシーにハーネスを

装着することは可能だと思います。

そしてハーネスをつけての訓練を

無事に修了することも

出来ると思います。アーシーは

知力と集中力のある犬ですから」

 

「あ、では何のかんので

つまり結局アーシーは無事に

盲導犬になれるだろう、という」

 

「ただ問題はそこからなのです。

Norizoさんや訓練士には

視力があります。が、将来

アーシーのオーナーとなる方は

アーシーを『見る事』が

出来ないのです。

ここは非常に大事なところです」

 

「はあ」

 

「過去に実際にあった

事例なんですが、

ハーネスを嫌がる犬が

盲導犬になり、オーナーさんと

一緒に暮らししばらくすると

『オーナーさんがハーネスの

ハンドルを布でふいて

テーブルに置いたらそれは

ハーネス着用を意味する』と

理解しました。するとそれ以来

犬はオーナーさんが

ハーネスの準備をすると家の中で

『隠れる』ようになったのです」

 

「隠れる?」

 

「そうです。部屋の隅や

家具の裏にうずくまって

息をひそめる。

オーナーさんは外出のたびに

犬を探さなくては

ならなくなったのです。

これは盲導犬としては

致命的な問題行動です。

ハーネスをつけての歩行が

どれだけ上手でも、

どれだけ見事にオーナーさんの

歩行を補助できても、

ハーネスを見たら隠れる犬は

盲導犬としての適性が

ないと言わざるをえません」

 

それは確かに。

 

そして私の

理解するところによれば

英国盲導犬協会の基本理念は

『盲導犬としての生活を

楽しめない犬を無理矢理

盲導犬に育成することは

しない』であったはず。

 

「そうですよね、隠れるほど

ハーネスが嫌な犬に

ハーネスを毎日

装着するのも可愛そうですよね」

 

「勿論犬に悪意があった

わけではありません。

犬にとってはゲーム感覚の

愉快な行動です。ですが

オーナーさんにとっては

これは笑い事じゃないんです」

 

ともあれ、そんなわけで

アーシーが今後無事に

訓練学校に入学し

そこで見事な成績をおさめ

盲導犬として登録されても

実際に盲導犬として

活躍し始めたら毎朝毎朝

オーナーさん相手に

かくれんぼを仕掛けるように

なってしまっては

それはオーナーさんも困るし

訓練士さんは

無駄骨だしになるので

「アーシーとNorizoさんについて

近いうちに私は

上に報告を出すのですが、

その際アーシーの青ジャケットへの

拒否感については

絶対に書かざるをえません。

ただ、この拒否の姿勢が今後

矯正可能であるのか

不可能であるのかについては

私一人では判断できません。

複数の人間が話し合いをして

最終的な結論を出すことになります」

 

「はい」

 

「そこで最終的にアーシーに

『盲導犬として不適性』との判断が

出た場合、それはNorizoさんの

パピーウォーカーとしての行動に

問題があったということには

なりません。これは

先天的な問題として扱われます」

 

「あ、はい」

 

それはまあいいんです。

 

それはまあいいとして

そうなった場合について

私が知りたいのは

「・・・で、アーシーが盲導犬として

不適性、ということになりますと

その後この犬は

どうなるんでございましょうか」

 

ここですよ!

 

 

ええ!

 

続く。

 

 

私も子供の頃

髪止めやタイツが

苦手だったので

アーシーの気持ちは

わからないでもないんです

 

でも本当に犬も色々ですけど

その『色々』をしっかり

見極められる訓練士さんの

技量もすごいというか

 

つまり「これは問題行動です、

躾け直しましょう」という態度と

「これは躾の失敗から来る

問題行動のように見えますが、

実は先天的な資質から

来る行状です」という態度の

違いを察知できる能力というか

 

やっぱりプロって

すごいんですねえ

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