フォルファの

盲導犬訓練施設に

滞在中の

元盲導犬候補生

アーシー(仮名)は

それはそれは

寄宿学校生活を

楽しんでいる様子で

「さっき犬舎にアーシーを

迎えに行ったら、同室の女の子

(雌犬)と同じベッドの上で

一緒になって丸まっていて、

なんか2頭のうち1頭だけ

外に出すのが可哀そうな

くらいだったんですよ!」

 

そんなことをおっしゃる

係員さんと我々、つまり

犬と私と夫(英国人)は

敷地内にある

運動スペースに足を向け

(都心の児童公園くらいの

広さが柵で囲まれていて、

そこで犬を

放せるようになっている)、

リードを外したアーシーの

様子を見ながら今後の相談。

 

「いやしかし・・・アーシー・・・

本当に楽しそうですね・・・」

 

「ええ、アーシーちゃんは

フォルファがすっかり

気に入ったみたいですね!」

 

「もう少し私のことを

恋しがる素振りを

見せてくれるのかな、と

期待していたんですが」

 

「アハハ、でもそれが

この犬種、ラブラドールと

レトリバー(この場合

ゴールデン・レトリバーのこと)を

かけあわせた犬の特質、

ある種の強みですから!」

 

さてそれでこのアーシーを

我々が家庭犬として引き取るか

一度協会に犬の身柄をお返しして

協会が他にアーシーの

『受け入れ家庭』を見つけるか、

なのでございますが、係の方曰く

「最初に言っておきますけど、

犬をこちらに返すことを

悪いことだとは

考えないでくださいね。

うちから犬を引き取りたい、と

切望している家庭は

たくさんあるんです。

そして我々はそういう家庭を

物凄く厳しく審査しています。

協会を通して家庭犬として

引き取られていった犬は

終生絶対に大切にされます」

 

「わかります。我々としても

そこのところを

心配しているのではないのです」

 

「そうですよね。パピーウォーカーの

役目を引き受ける、というのも

かなりの覚悟を要する

決断だったと思いますが、

これから10年15年20年

生きるであろう犬を

家庭犬として引き取る、というのは

それとはまた違った覚悟が

求められる選択になります。

よく考えて心を決めてください」

 

「ハ、ハイ」

 

「こういうことを言って

そちらの気持ちが楽になるか

どうかはわかりませんが、

アーシーの引受先を我々協会が

探すことになった場合、

この子はあっという間に

譲渡が決定すると思います。

引受先探しに話を絞れは

この子は本当に

手間がかからない子です」

 

「え?そうなんですか?」

 

「そうですよ。だって逆に

聞きますけど家庭犬として考えて

この子に何か問題点があります?

大人に対しても子供に対しても

攻撃性がないし、

他の犬のことは大好きだし、

健康だし、物怖じしないし、賢いし。

ええ、もう2日もあればすぐに

引き受け家庭を見つけられますね、

で、先方の家庭は大喜びでしょうね、

こんな育てやすい犬、

滅多にいませんもの」

 

「・・・そんなに育てにくい犬の

引受先を探さなくちゃいけないような

場面もあるんですか?つまりその、

私は盲導犬候補生になるような犬は

基本的に資質はいいものとばかり」

 

「資質はいいですよ、

でも色々あるんです」

 

その色々についてはまた明日。

 

 

ちなみに久しぶりに会ったアーシーは

記憶よりも少し小さく見えました

 

・・・世間には

大きい犬がたくさんいるなあ!

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