盲導犬候補生時代、

道の向こうから

体が大きくて耳が尖っていて

筋肉質な雄犬が来ると

「アタシ!あの殿方と

お近づきになりたーいっ!」と

強烈に綱を引っ張っていた

わが黄色雌犬アーシー嬢。

 

その頃のアーシーを見ていて

私がいつも思い出していたのは

某ナウシカ、それも

風の谷に住んでいるほうではなく

三鷹の森で女子会

開いているほうの彼女。

 

 

 

 

 

 

本来なら青き衣(盲導犬候補生

専用青色ジャケット)をまといて

目の不自由な人との絆を

結ぶための修練を

日々積むべきであるところ

「すっっごいんでしょ!

チコの実パワー!」みたいな・・・

 

いや最近の私が

うら若き娘さんたちに

心から送りたい言葉は

『命短し、恋せよ乙女』

なんですけど、

でもアーシーのあの

『大柄ハンサムなら

誰でもよし』的態度には

やはり人生の先輩として

一言釘を刺したい気にもなり・・・

 

もうね、本当に

『手あたり次第』って

感じだったんです。

 

ところがある時気が付きました。

 

当時の私は訓練の一環として

週に2回はアーシーに

『フリーウォーク(リードなし散歩)』を

経験させねばいけなかったのですが、

そういうノーリードの状態で

体の大きい精悍な雄犬と

すれ違う時のアーシーは

普段のあの『前へ前へ、

もっと(雄犬の)近くへ』という

勢いがなく、むしろこう

青菜に塩的しおしお感があり。

 

 

 

 

一度シベリアンハスキー

(大型、太目、アーシーの

『好きなタイプ』ど真ん中)が2頭

藪の向こうから走り出てきた時など

我が家のお嬢さんはその場に

完全に固まってしまいまして、

すると向こうのお坊ちゃん2頭も

「・・・えっ、俺たちもしかして

怖いっすか?挨拶とか

しないほうがいいっすか?」

 

 

 

 

何かしらこの・・・

 

内弁慶・・・とは違う・・・

 

普段は泣き虫弱虫

怖がりちゃんなのに

お母さんがそばにいると

妙に気が大きくなる園児というか・・・

 

・・・『虎の威を借る』・・・?

 

つまりこの場合アーシーが

笠に着ているのは私の威光・・・?

 

その後気を付けて

観察しておりますと

アーシーの

雄犬(大型)への態度は

リードが付いている時と

ついていない時では

大きな違いがありまして、

リード着用時のそれはたぶん

『訓練に対する反抗心』を

そういう形で示していた面も

あるのかな、と

今になれば思うのです。

 

生活指導の先生の前で

あえて蓮っ葉な言動を試みる

女子中学生、みたいな?

 

そんなわけでその後

アーシーは

『盲導犬候補生』から

『家庭愛玩犬』に

立ち位置を変えまして、

街中での歩行訓練は

もはや遠い日の花火。

 

 

この冬は近くの森や遠くの海山で

ひたすらリードなし散歩を楽しむ

毎日だったのでございますが

・・・雄犬とすれ違うのが楽で楽で

申し訳ないくらいの日常です。

 

いや、よく考えたらアーシーって

どうも飼い主に似ちゃったのか

異性にあまり人気が

ないタイプの犬なんですよ。

 

(Norizoさん、その断言はひどい

 

故にその、何というか、

『雄犬に追い掛け回されちゃって

もう大変』という事態には

絶対にならないというか、

本当にこうお互いに

清く正しく美しく

犬らしい挨拶を交わして

ちょっとそこらへんを一緒に

駆け回るともうそれでおしまい。

 

「じゃ、またな、

もしまた会えたらな!」

「あっ、ハイ!」みたいな。

 

まあ時々もう少ししつこく

アーシーに構ってくれる

犬もいるんですが、

どうもアーシーは

異性よりも同性に

好かれる性格みたいですね。

 

とはいえそんな感じに

少しずつ交友範囲を

広げていっている

アーシーと私であります。

 

 

タイトルの『虎使い』の

元ネタというか意味は

過去のこちらの記事

ご確認ください

 

異性に対するアーシーの態度に

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