我が家にフクロウ（野生）が
お目見えしたのと前後して
私と夫（英国人）が
本腰を入れ始めた作業、
それがグースベリー
（Gooseberry、
セイヨウスグリ）の害虫取り。
グースベリー・ソウフライ
（Gooseberry Sawfly）という
芋虫がこの時期になると
うじゃうじゃと現れてきまして。
こやつらを放っておくと
６月の頭くらいに
葉っぱという葉っぱを
虫が食い荒らす
シャック、シャック、シャック
という音が庭に響くことになり
（あれは本当に絶望の音楽）、
結果、当然のごとく
グースベリーは丸裸になり
そして葉っぱを失った木が
果実を太らせることはなく。
クスリの散布は過去に失敗、
試行錯誤の末、去年からは
「虫を見つけたら
たかっている葉っぱごと
むしり取る」という
原始的対応を
実施することにしております。
案外、というか、
かなり、効果があります。
茂みをにらみ、形が崩れている
葉っぱ、あるいは妙に
涼し気な一角があったらそれが
イモムシ潜伏の黄色信号。
涼気を感じる一角の例：
葉っぱを裏返してそこに
食事中の虫がいたら大当たり。
有無を言わさず葉っぱを千切り取り
台所洗剤を薄めた液に漬ける。
そして次の葉っぱを探す。
気が付くと簡単に
３０分が経過しているこの恐怖。
その間に己の姿勢はだんだんと
地べたに屈みこむようになり
（葉っぱの裏を確かめたいから）
「自分が母虫なら卵を
どこらへんに
産みつけたいか」とか
冷静に振り返れば完全に
一線を踏み越えた事柄を
考え始めるようになり
（自分の母心と虫心を探す旅）
その推察に基づいて葉っぱの裏に
産卵所を見つけた時の喜び
・・・かなり紙一重な自覚はあります。
「しかしなあ、フクロウの子供が
春先に姿を現してくれると
我々は素直に歓迎するのに
イモムシは殲滅って
これはいわゆる
『命の選別』ではないだろうか」
「でもフクロウはネズミを捕って
僕らの生活を楽にしてくれますけど
イモムシは放っておくと僕たちから
グースベリーを奪うんですから
自然界における関係性として
イモムシが我々の
敵なのは仕方ないですよ」
母虫が卵を１枚の葉の裏に
まとめて産み付けておいた場合、
イモムシたちはその葉っぱを起点に
枝の上のほう上のほうへ
登っていく性質があります。
つまりその問題の葉っぱを
中心として何枚かの
葉っぱの裏に
成長途中のイモムシが集団で
隠れ潜んでいることが多い。
こういう集団イモムシを
本年の私は
『クラスター』と呼んでおります。
「わが祖国日本の
クラスター対策班の優秀さに
あやかっていきたい所存だぜ」
「発症者、すなわち
イモムシを１匹見つけたら
そのイモムシがどこから来たか、
感染元、つまり産卵所を
確かめるが大事ってこと
ですよね。コロナ対策で
日本は結局そこが
強かったんですかねえ」
「どうなんだろうな」
「まあ英国も今度新しく
そういう『感染者が出たらその
感染元を追跡する』作業を
実施しようって話になったんですが」
「・・・待ってくれ、今まで
それをやっていないって
話じゃないよな？まさかな？」
「・・・まあともかく、新たにか
改めてか、そこは
僕もわかりませんけど、
政府が外部に委託する形で
そういう対策班の人材を
募集したと思ってください」
「うん」
「その新規採用者の
メールアドレスを採用元が
話について、君はどう思います？」
・・・わたしが目標とするのは
日本のクラスター対策班、
ということでお願いします。
イモムシ取りに適した
時間帯は
早朝と夕暮れ時。
業の深い日課です。
自分以外の生き物の
命を奪いたくないから、
という理由で
菜食主義の道に入る人は
多いと思いますが、
その場合野菜や果物を
栽培する間に『駆除』される
虫の命というのはどう
カウントされるものなんでしょう
いえ、これは
嫌味とか揶揄とかではなく
イモムシ側にしてみたら
私は見事な恐怖の巨人、それも
「・・・こいつ！知性らしきものを
持っているぞ！」みたいな・・・
護衛兵を屠った後に
勝ち誇った笑顔で
その背後の産院を破壊する
まさに邪悪の化身
でもこれまでのところ
イモムシ討伐戦は順調
・・・え？そのイモムシの
写真が見たい？
そういう奇特な方のために
１枚ご用意してあります、
でもああいうのは
苦手な方も多いでしょう、
虫がお嫌いなあなたは
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イモムシ好きのアナタ、
衝撃写真、この後に来ますよ
用意はいいですね
大丈夫ですね
はい、では、ゴー
・・・キャパNorizo、
奇跡のピント合わせ成功
・・・ちなみにこれ、
私の手のひらに
「直（じか）のせ」状態
思えば遠くへ来たものです
鼓動を速める胸をおさえながらの
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