病院に行った話の続きです。
待合室で自分の名前が
呼ばれるのを待つこと１５分。
噂には聞いていたんですが
置かれている長椅子に
テープが貼られて
座席部分が一つおきにしか
利用できないように
なっているのを見て
少し居住まいをただした私です。
いや本当、噂には
聞いていたんですが
実際にああいうのを
目撃するとちょっと
「・・・おっと」という
気持ちになりますよね。
さてそこに担当の
看護師さんがやって来て
「・・・Norizoさーん！」
「はいそれは私です」
「じゃあ一緒に来てください！
ねえ、今の私のアナタの
名前の発音、正しかった？
名前ってさ、間違えて
発音されると嫌じゃない？
だから私、すっごく
緊張しちゃうの、いつも！
あ、正しかった？よかったあ！
ね、せっかくなら正しく
名前をお呼びして、
患者さんにも
気持ちよく検査室に
入っていただきたいものね！
ところで今日は車で
病院までいらしたの？
駐車場、すぐわかった？」
・・・看護師さん、
すごく人懐っこい・・・
まあこれは
プロの技術としての
フレンドリーさなのだと
私は思うんですが、
私も看護師さんも双方
マスクは着けていたんですが、
いいんですかね、
病棟内を移動しながらの
元気なおしゃべりというのは・・・
つまり飛沫感染的な意味で・・・
やっぱり私が
気にし過ぎなんでしょうか。
さて検査室に入り
技師の方にご挨拶して
検査台の上に寝っ転がって
・・・この種の
スキャン検査の際の
患者心得として
『検査１時間前までに
炭酸系ではない液体を
７５０cc摂取し、その後
排尿を控えること』と
いうのがあるんですが、
技師の方はモニターから
私に目を移しながら
「さて、膀胱、中身は
ちゃんといっぱいでしょうね？」
「・・・ええ、たぶん・・・」
「・・・『たぶん』？
たぶんというのは
どういう意味かしら？
まあ検査すれば
わかるんですけど！
超音波は嘘をつかない！
はい、向こうを向いて
横臥の姿勢をとってください！」
で、色々調べられまして、
技師の方が言うとおりに
あっち向きになったり
こっち向きになったり、
最後に仰向けの
姿勢になったところで
技師さんの後ろを通った
看護師さんが
モニターに映った画像を見て
「・・・ワオ！これは！」
技師さんも深く頷いて
「・・・そうね、これは・・・
そうね・・・ワオ・・・だわ・・・！」
いやいやいや、何なんです？
「ちょっと待ってください、
それ、私の内臓の画像ですよね？
な、何か起きているんですか？」
「あらごめんなさい、
思わず・・・驚いて」
「何なんですか何なんですか！」
「うーんとね、これ、アナタの
膀胱の画像なんだけど、
あなたの膀胱ね、超満タン！
いやー、これは助かるわあ、
アナタ、さては超音波検査、
これが初めてじゃないわね、
なんか節々からアナタは
『わかっている』ってのが
伝わって来ていたの、
そこにこの膀胱画像、うん、
アナタ、超音波検査、過去にも
何度か受けているでしょ！」
隣から看護師さんも
「これは間違いなく
『今日のベスト膀胱』ですよね！
まだお昼前だけど断言しちゃう！
これ以上の膀胱は
滅多にお目にかかれない！」
「ね！患者さんが
皆こういう膀胱で
検査室に来てくれたら
私たちは助かるわよねえ！」
「本当！目に出来て
本当に嬉しい膀胱ですよね！」
何故だろう・・・
褒められているはずなのに、
ものすごい笑顔で称賛して
もらっているはずなのに、
どうも素直にその言葉が
受け止められない・・・！
とぼとぼと検査室を出て
トイレに寄り道をして
（だって、ねえ）
病院出口に向かいつつ、
受付に張り出された
『コロナが流行しておりますので
受付にもたれかかるのは
おやめください』の紙に
「だからこのコロナ禍で誰が
そんなことするんだっつの」と
心の中でツッコミを入れた
私が次に見たものは、
病院の入口で来館者の
行列を管理していたお兄さんが
入り口の隣にある『外科受付』に
がっつりともたれかかって
受付内の若いお嬢さんと
談笑している姿でありました・・・
ええ、ちょうど
行列がなくなっていて・・・
・・・しかもお兄さん、
マスクをしていない・・・
いいんだ、もういいんだ！
コロナで大変な時に
私のような患者の
定期健診にも怠りない
英国医療には心から
感謝の念を捧げたい！
とりあえず、私は元気です。
経口摂取した液体は
どのくらいしたら膀胱に
入るものなんでしょうね？
『検査の１時間前までに』と
言われる、ということは
１時間はかかるものなんでしょうか
知っているようで知らない
自分の体の仕組みです
膀胱能力に自信のあるあなたも
自分は膀胱に我慢は
させない主義です、なあなたも
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