さて、狭い狭いと

散々脅されていた

ナローボートの

狭さについてですが。

 

 

これがですね、狭さ自体は

案外気にならなかったんです、

デザインの勝利というか。

 

我々はダブルベッドが

3台入った船、

寝室が3つある船

借りたのですが、

ベッドは船の壁に

きゅっと押し付けてあって

反対側が通路になっていて、

荷物を入れる棚は

それぞれの部屋についているし

ベッドの下にも物が

収納できるようになっていて、

「ぎゅうぎゅうで身動きも取れない」

みたいな感覚はありませんでした。

 

それぞれの寝室の間に

トイレ(1つはシャワー付き)があり、

船の前部にはキッチンと

8人が足を伸ばして座れる大きさの

テーブルおよびソファ椅子もある。

 

船の前の扉はガラス張りで

そのドアを開けて外に出ると

6人ぐらいが腰かけられる

設計になっている。

 

 

船の一番後ろの寝室から

階段を3段ほど上がると

そこが操縦席(屋外)。

 

 

朝起きてベッドを整えてしまえば

それぞれの寝室は

『廊下』みたいな扱いになり

船首から船尾まで

いつでも通り抜け可能、みたいな。

 

夜に各自の寝室に引きこもれば

前述のようにトイレは

寝台のすぐ隣にある作りなので

他の人のベッドのそばを

通り抜けなくてはならないこともない。

 

故に案外快適な住空間というか・・・

 

ただわが夫(英国人)は本気で

わが義父(白色シュレック)の

イビキの破壊力を恐れていたため、

部屋割りは船の前部の

キッチンの隣にわが義理の両親、

次に我々夫婦、そして船尾の

一室をわが両親、という形に。

 

わが義父のイビキが始まったら

少なくとも我々の部屋が

緩衝材になるのではないか、という・・・

 

そんなわけで船旅初日。

 

明日に備えて早寝をしよう、と

各自寝支度を整えて布団に入り、

私も夫も思いのほかさっさと

眠り込んでしまったところ、

夜も更けたころにそれは始まりました。

 

我々の足元、わが義理の両親の

寝室のほうから始まった

「ぐう・・・ぐう・・・」という

お手本のようなイビキの音。

 

しかしこれは序曲、

この音色がだんだんと

クレッシェンドしていき

最後には手の付けられぬ

騒音になるものなのでございます!

 

私の隣で夫も目を覚まし

爆音に備えて

身構えるのがわかりました。

 

義父は「ぐう・・・ぐう・・・」を

しばらく続けると

ひとつ深い息を継ぎ

ぐううー・・・」

 

ああ!始まった!と

私が改めて目をつむった瞬間、

わが義両親の寝室から

聞こえたのは

「ごそっ」という

何かが布団の下で

素早く動いた音と

ぐっ」という義父のうめき声。

 

そして何とイビキは止まったのです!

 

「僕の母にあんな必殺技が

あったとは知りませんでした・・・!」

 

わが夫は義母が義父の

足を蹴ったのだと信じていますが

私は義母は何か固いもので

義父の腹部を

突いたのだと思っています。

 

ともあれそんなわけで

義父のイビキには無事

対処法が存在していたのです!

 

・・・問題はね、実は

わが両親のほうだったんです!

 

わが両親がナローボート初日というか

翌朝に午前5時起きをしたことは

すでにお伝えしましたが、

私と夫は迂闊にもあれは

時差ボケからの異常行動と

思い込んでおりました・・・

 

しかしわが両親にとっては

あれが日常行動だったのです!

 

そういえばあの人たちは

東京でも毎朝5時から

活動を開始していた!

 

私と夫はボート滞在中、

毎朝わが両親が寝室と

洗面所を動き回る音、および

それに付随する

「しーっ!」という声で

目を覚ます羽目に陥ったのです・・・!

 

ちなみにわが両親は

朝の洗面を済ませると

さっさと着替えて毎朝元気に

『朝の散歩』に出かけていました。

 

まあ朝はすべてが美しいですけど。

 

 

「・・・ウェールズのここらへん、

運河沿いの治安ってどうなんだ?

外国人風体の老夫婦が二人で

のこのこ歩いていて危なくないの?」

 

「まあ朝の5時に運河の近くで

仕事をしようとする追い剥ぎも

あんまりいないでしょうしね・・・」

 

しかしわが両親、特に父

(イメージ武将:石田三成)の

真の恐ろしさは

こんなものでは

なかったのであった!

 

続く。

 

 

つまり私と夫の部屋の位置を

一言で形容するなら

前門の虎(深夜にうなる)、

後門の狼(早朝に活動する)

 

・・・本物の虎と狼の間で

寝るほうがなんぼかマシですね

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