そんなわけで憧れの英国運河

ナローボートの旅におきましては

三度の飯より舵が好き!な状態に

なってしまったわが実父

(イメージ武将:石田三成)。

 

その日も気が付けば三成氏は

割と幅の広い

他の船があまりいない水路で

蛇行運転を繰り返しており

・・・本人としては

『対向船のいないうちに

最適の舵裁きを見定めたい』って

ことだったんだと思うんですが

わが夫(英国人)は遠い目をして

「わかりました。三成さんは

結局気が短いんです」

 

 

いや、気が短いって言いますかね。

 

ただ夫の言葉にも一理あって

ナローボートの舵取りは

車の運転の逆、

右に行きたいときは左に、

左に進みたいときは右に

舵を切らなくてはならないんですが

さらにその舵を切った後に

実際に船が進路を変えるまでの

時間差が曲者でありまして。

 

私も何度か

操船に挑戦したんですが

船を少し右に寄せようと思って

舵を左にするじゃありませんか

(これを『行動1』とする)。

 

何も起きない。

 

ただ船が前進する。

 

何も起きない。

 

何も起きない。

 

・・・あれ?これ舵が

壊れているんじゃない?

 

いくらなんでもこんなに

時間がかかるなんてこと、ある?

 

いやしかし

ここは気を長く持って・・・

 

船と車は違うって

散々夫も言っていたし・・・

 

何も起きない。

 

・・・不安になって来たぞ、

そもそも私が舵を切った方向は

正しい方向だったのかしら?

 

もしかして元々舵が

右寄りになっていて

私が舵を動かしたことによって

船が直進を始めてしまった?

 

ということは

もう少し舵を動かすべき?

 

でも舵はこれ、本当に

壊れているのかもしれないなあ、

ちょっと右に動かしてみよう

・・・あ!船が右に動き始めた、

ということは私の

最初の舵裁きは反対に

舵を切っていたことになるのか?

 

(実際は『行動1』の結果が

ここになって出てきている)

 

あ、でも船が右に寄り過ぎ始めた、

少し左にしないと・・・ということは

舵を右に切る・・・いや、私の

左右は果たして正しい左右なのか?

 

あああ、駄目だ、

船はどんどん右に進む、

舵を左に、違う、

左に行きたいんだから

舵をさらに右に切る・・・すみません、

船がどんどん右折を

していくんでございますけど!

 

・・・こんな感じなんでございます。

 

私も三成氏も実は短気なのかしら・・・

 

舵の動きが船に伝わるのを

待とうとしても待てない程度に・・・

 

短気っていうか、せっかち・・・?

 

そういえばわが母(イメージ武将:

豊臣秀吉)も今回の旅で

自分には落ち着きがないことを

初めて自覚したような様子だし

・・・え!我々って実は

性急な一家だったのっ?

 

ともあれ、夫は

暗い眼差しで船尾に行き

「三成さん。お願いですから船を

もう少しまっすぐ走らせてください」

 

「そうだね。じゃあ動力を得るため

船をもう少し加速させて・・・」

 

「速度を出す必要はないんです!」

 

「でも今日は風が強いから

低速だと船が

岸に押し付けられちゃうよ」

 

わが父三成がまた

自己保身のため

適当なことを言っている

皆様お思いでございましょ?

 

ところがどっこい、

この日のウェールズには

記録的大風が吹いていて

行き交う船も舵には

苦労していたのです。

 

 

ナローボートの上部には

棒みたいなものが置かれており、

これは船を岸から離す時に

陸を突くためのものなのですが、

この日は多くの船で舳先に

この棒を抱えた人が立っていて

船同士がぶつかりそうな時は

お互いの船べりをこの棒で

突(つつ)いたり押したりして

衝突を回避しておりました。

 

時々もう完全に風に負けちゃって

二進も三進もいかなくなっている

船を見たりもしたんですよ。

 

 

船がああなっちゃうのと

多少速度超過な印象はあるものの

少なくとも前進を続けているのと

一体どっちがマシなのか・・・

 

船旅、続く。

 

 

ナローボートの

操舵の難しさは

是非皆様にも一度

ご経験いただきたいです

 

私だってね!

 

色々心構えをしたうえで

舵を取ったのでございますよ!

 

・・・そういうの、

絶対無理です、なアナタも

無理な気はするけれども

1度くらいは挑戦したいあなたも

万能感にあふれ

恐れるものなど何もないあなたも

お帰りの前に1クリックを


ヨーロッパランキング