優雅なる英国運河

ナローボートの旅。

 

 

舵取りをわが義父

(白色シュレック)に任せ

目指すはエレスメア

(Ellesmere)の少し先。

 

エレスメアで水路は

三叉路になっておりました。

 

T字で、我々の船としては

6時の方向から進入し

2時の方向に抜けたい考え。

 

合流点は水路も

広めになっていて

三方向から来る船が

余裕を持ってすれ違える

設計・・・ではあったのですが、

この日は何故か合流点の周囲に

みっちりとナローボートが

並んで停留しておりまして

・・・あれはやっちゃいけない

ことだと思うんですけど。

 

陸路の交差点に駐車しては

いけないのと同じ理由で。

 

まああの一角に船をもやって

休憩すれば、見晴らしは

きっととてもいいですからね。

 

三方向から来る船を

至近距離で眺められて。

 

でもそれは禁止行為ですよね、

何故ならば危険だから・・・!

 

 

というわけで、我々の船は

いい感じの速度、

わが夫(英国人)が

「これがナローボートの

理想速度です」という

ゆっくりした船足で

穏やかに波を立てて

6時の方向から

合流点に入っていきました。

 

そしてここで舵を切り右へ、

2時の方向へ向かっていく・・・

 

しかし例の強風がここで

さらに力を増し船の横腹を

押し始めたのです。

 

風はちょうど我々の目指す

2時および

3時の方向から来ていて、

すると我々の船はなにせ

縦幅が長いものだから

てきめんに風の影響を受け

舵をどれだけ切っても

船が曲がろうとしてくれない。

 

船尾、義父の隣に立っていた夫は

「お父さん、これは曲がり切れない!

ギアを『後進』に入れて!」

そう言うなり船首に走って来て

『棒』を手に取り

いざという時は他の船の

舷(げん)を押して

衝突を回避しようと

準備姿勢を取りました。

 

何せ至る所にナローボートが

違法係留されていましたもので

当然我々の船の鼻が向かっていた

12時・1時の方向にも

ずらりとボートが並んでいたのです。

 

案の定我々の船は

そうした違法係留中の他の船に

近づきすぎたので

夫は棒でえいやと相手の船を押し

なんとか我らの船を合流点の

中よりに押し戻しました。

 

するとそこでわが夫の

『押した』船の

船尾に人が出てきて

「そんな乱暴に船を

押してもらっては困るなあ!

これはレンタル船じゃなく

個人所有の船なんだぜ!」

 

言われた夫は涼しい顔で

「それなら違法係留を

しないほうがいいんじゃ

ないですかね!」

 

・・・道交法で行くと、

駐車違反をしている車を

他の車がこすった場合、

過失の度合いは

何割何割なんですっけ・・・?

 

 

ともあれ我々の船は

エンジンの力と追い風で

最初の6時の位置に戻りました。

 

 

「思った以上に風が強いな。

今度はもう少し速度を出してから

舵を切ってみよう!行くぞ!」

 

義父の宣言を聞いたわが父

(イメージ武将:石田三成)は

「ほら、お父さんの

言ったとおりでしょう。

大事なのはスピードなんですよ」

 

「お父さん、わかったから

今はちょっと黙っていてあげて」

 

我らの狂騒・狂乱の場面は

ここに幕を落としたのです。

 

続く。

 

 

 

この三叉路において

私は写真をまったく

撮らなかったため

(正しくは

『撮れなかったため』)

文中の写真は本文とは

関係のない

運河風景となっております

 

個人的にはここからが

いよいよ佳境でございます

 

お帰りの前に1クリックを


ヨーロッパランキング