「どうか、うちの子を助けてください!」
――お母さんからの、悲痛な相談を受けることがあります。
不登校、リストカット、オーバードース、摂食障害、家庭内暴力……もちろん、一番苦しんでいるのは子どもなのですが、親も苦しみます。
我が子の将来への不安
助けてやることができない歯がゆさ
自分のせいではないかという自責の念……などなど。
なかには、「うちの子は、本当に命を落とすのではないかと心配です」といった、切迫したものもあります。
「死にたい」は、苦しんでいる子がよく口にする言葉です。もちろん、ほんとうは「生きたい」のです。生きたいけれど、生きるのが苦し過ぎるのです。
よく口にするからといって、「また、言っている」と軽く見たり、突き放すことは危険です。
切迫していると思われる場合は、「急を要すること」として、最初に次のことをお母さんに伝えています。
◆もしお子さんが「死にたい」と口にしたら、または、ひどく落ち込んでいたら、「死にたいと思うことはあるかも知れないけど、絶対に行動に移しちゃいけないよ。絶対にだよ」と、何度でも言ってください。
「死にたい」と思う人は、「そう思う自分は、ダメな人間だ、弱い人間だ」と思ってしまいます。それが、「死にたい」という思いに拍車をかけることさえあります。
死ぬことをと考えたことがない人なんて、いません。
「死にたいと思うことは、ダメなことでも、弱いことでもないよ。誰だって、そう思うことはある。でも、絶対に行動に移しちゃいけなよ」と伝えてください。
その上で、次の二つのお話をするようにしています。
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1)親の愛が足りないわけではない
人を愛するということは、「その人の幸せを願う」ということです。あなたが今苦しいのも、こうして私に相談してきたのも、お子さんの幸せを願えばこそですよね。
ということは、あなたはお子さんを心から愛しておられます。愛がうまく伝わらなかったということはあったかも知れません。でもそれは、あなたの愛が足りなかったということではありません。
お子さんは、「完璧な親」や「いい親」を求めているのではありません。今のあなたを、心から求めているのです。
ですから、今のあなたは、「人」として「親」として、何も変わる必要なんてないのです。変わるところがあるとすれば、考え方や物の見方や行動を、少し変えるだけでいいと思うのです。
「子育ては自分育て」といいます。親も、子どもと一緒に成長していくつもりで、いいのではないでしょうか。
2)家庭を「居場所」にする
これから何をすればよいかですが、ひとことで言えば、「家庭をお子さんの居場所にする」――です。
子どもたちの「苦しみ」の中身はさまざまですが、共通してあるのは「不安」です。不安が大きくなって、「恐怖」を感じていることさえあります。
愛する人から見捨てられる不安、自分の将来への不安、人間不信からくる対人恐怖、「こんな自分は生きる価値がない」という、生きることへの不安……などなど。
それに対して、「安心」を与えてくれる場所が「居場所」です。
「居場所」というのは、条件なんてつけずに「ここにいていいよ」と言ってもらえる場所です。「いまのままでいいんだよ」と、ありのままの自分を受け入れてくれる場所です。
ですから、「いい成績をとらないと受け入れてくれない」とか、「リスカをしたら受け入れてもらえない」では、居場所とは言えません。
居場所は、自己肯定感が育つ場所でもあります。自己肯定感は、「私はここで生きてていいんだ」「私はわたしのままでいいんだ」と自分の存在を肯定する気持ちですから。
居場所がひとつでもあると、人は生きていけると言われています。でも、居場所は多いほどいいですよね。
本来なら、家庭も、学校も、友人関係も、地域社会も、お子さんの居場所であるはずでした。ところがお子さんは、傷つけられる体験が続くなかで、居場所をなくしてしまったのです。
まずは家庭を、安心できる居場所にしてあげてください。居場所を増やしていくことが、お子さんが回復するということであり、お子さんが幸せになることだと考えてください。
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では、家庭を居場所にするためには、どうすればいいのでしょうか。
( 「第346話」へ つづく)
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