第366話）信じられる人がいません

「信じられる人がいません」
「人を信じられません」

あなたが、そう感じる時があるかもしれません。
お子さんが、そう口にすることがあるかもしれません。

「信じられる人がいない」と訴えているとき、その人は、そういう心情を事実として伝えたいのではなく、その状態が苦しいのです。

信じられる人がいない状態は、なぜ苦しいのでしょうか？

「信じられる人」というのは、「嘘をつかない人」でもなければ、「正しいことを言う人」でもありません。自分を認め、自分の幸せを応援してくれる人のことです。

ですから、まわりの人から悪口を言われたり、けなされたり、裏切られたりすると、信じられる人がいない状態になります。

言いかえると、「信じられる人がいない」という状態は、敵に囲まれている状態です。いつ攻撃されるかわかりません。安心できません。いつも身構えて緊張しています。これは苦しいですよね。

それに、悩みを打ち明けたり、喜びを共有する人がいません。これは寂しいですよね。

先日、高校生の女の子から、「学校に信じられる人がいません。どうしたらいいでしょうか」という相談を受けました。

次のように答えました。

-------------------------------
そうか、学校には信じられる人がいないんだね。ということは、信じられる家族はいるんだね。

信じられる人が少ないことは、苦しくて寂しいことだけど、ダメなことじゃない。

人を信じられない君に、なにかダメなところがあるわけでもない。

だから、無理をして人を信じる必要はない。

今、信じられる人（君の味方）が一人でもいるなら、その人を大事にするといい。

そして、少しずつ、信じられる人を増やしていけばいい。あせらずに、ゆっくりと。

人を見る時、「敵か味方か」ではなく、その人に中にある「信じられるところ」を探してごらん。君を応援してくれてる人が、意外と多くいることに気づくと思うよ。

人は誰でも、いろいろな気持ちをあわせ持っている。また、その気持ちも、時と場合で変化する。

君だってそうだよね。

たとえば君に、それぞれが大学進学を目指す友だちがいたとしよう。その友だちが、第一志望の大学に合格した。

君は、「おめでとう！」と祝福するよね。でも心のどこかに、ねたむ気持ちも合わせ持っていると思う。

もしその時、君に不合格通知が届いた後だったら、そのねたみの気持ちは、より大きくなるのではないだろうか。

祝福する気持ちの後ろに、ねたむ気持ちがあったとしても、君はその子を裏切ったわけじゃないし、その子の敵になったわけでもないよね。

行動には責任を伴うが、感情に善悪はない。
友だちの合格をうれしいと思う気持ちも、ねたむ気持ちも、自然なことだよ。

君のまわりの人も、それと同じで、いろいろな感情を持っている。

もしまわりの人を、「敵か味方か」「白か黒か」で見るとどうなるだろう。

もしその人の心の中にある、ねたみや嫉妬（しっと）といった、黒い部分がちょっと見えただけで、その人を、「敵」と思ってしまう可能性がある。

人の心はいろいろな色で彩られ、オーロラのようにゆれ動いていると想像してみてごらん。

いつも君を傷つける人（君にとっては黒い部分の多い人）と、無理に仲良くする必要はない。距離を置けばいい。

ただ、そういう人の心も、真っ黒なのではなく、白い部分や虹色の部分もあると思うと、少し気持ちが楽になるんじゃないかな。

君が、人を信じられなくて苦しいのは、「本当は信じたい」という気持ちがあるからだ。信じたいのに信じられないから、苦しいんだ。

本当は信じたいと思っている自分を、信じればいい。

そして、「信じられる人」（信じられる部分を多く持っている人）を、これから少しづつ増やしていけばいい。

-------------------------------

（完）

◆少しでも多くの人に見てもらえるよう「人気ブログランキング」に登録しています。
1日1回、ここをクリックして応援（投票）してもらえるとうれしいです。

◆　「親も子も輝く子育て」の記事一覧
子どもへの接し方を少し工夫するだけで、子どもの目は輝き始めます。親も、優しい気持ちと自信を取り戻します。

◆　「バックナンバーへようこそ」
過去記事をカテゴリーに分けて、読みたい記事を見つけやすくしてあります。

◆　心に寄り添うメッセージ集～シリーズ「君へ」
生きる希望を探している子どもたちに贈る、私からのメッセージ集です。
でも、子どもたちが一番求めているのは、お母さんやお父さんから、こう言ってもらえることではないでしょうか。

◆講演のご依頼をお受けします
子育て講演、PTA講演、生きがい講演、中高生向けのキャリア講演をうけたまわります。心あたたまる感動と、やさしい気持と、夢と希望をお届けします。

◆みやたあきらの facebook はこちら