古巣カシマ病院へ戻ったばあちゃん。
心配していた経管栄養への切り替えも
何とか順調に経過していた。
初めは疑問ばかりの鼻腔経管だったが
点滴でも1年半を過ごすことが出来たということは
(それも途中、結核を発症してもなお)
ばあちゃんの『生きる力』は
まだまだ潰える時を迎えてはいないということ。
ならばその時その時で
講じる手段が変化するのは致し方ないことか。
人の寿命を勝手に決められない現実。
自分がもし
ばあちゃんの立場だったらどうなのか?
食べたいものも食べられない
言いたいことを伝えることも出来ない
痒いところがあってもかくことさえかなわない
そんな地獄は1日でも早く終わりにしてくれと
おそらくブチ切れていると思うのだが。
個室は少々お高いだけあって
元いた『4人部屋』とは雰囲気がかなり異なる。
4人部屋はお世辞にも環境が良いとは正直思えなかった。
看護師さん介護士さんなどスタッフの対応も
目に見えて違っていたのだ。
転院して2週間ほど経った頃
と、打診があったが
としお氏と相談して
もう1ランクお安めの『個室』に移してもらうことにした。
ばあちゃんの年金 + α 分。
じいちゃんの老健入所費用よりちょっと安い。
老人ホームの利用料金ほどでもない。
ギリギリ妥協点の出費は
地獄を味わっているばあちゃんへの
せめてもの償い?
いや
分館病院の相談員さんの言葉が引っかかっていたのもある。
ここを出されることになったら
在宅も視野に入れた上で
次の居場所を考えなくてはならない。
そんな不安があった。
じいちゃんがお世話になってた老健で
諸般の事情を垣間見ていたのもあったから
だからちょっとでも
この病院に長く置いてもらいたいシタゴコロもアリ。
だけど病院に関しては
個室大部屋の差があまりないのが分かったのは後のこと…。
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