〜脳脊髄液検査による臨床診断・治療開発への応用期待〜


これまで、神経難病の一つであるパーキンソン病の原因としてαーシヌクレインというタンパク質の凝集体が脳内に蓄積することが注目されてきました。

重病な患者さんほどαーシヌクレイン凝集体が多く蓄積していることが亡くなられた後の病理解剖から分かっていますが、生前にその程度を検査する方法はこれまでにありませんでした。また、パーキンソン病の発症時点では蓄積がかなり進んだ段階にあることも知られています。

今度、大阪大学大学院医学系研究科の角田渓太医員、池中建介助教らの研究グループは、同大学蛋白質研究所の後藤祐児教授らとの共同研究で、超音波を用いた全自動蛋白質凝集検出装置を用いてパーキンソン病患者さんの脳脊髄液中から原因タンパク質αーシヌクレイン凝集体の検出に成功しました(2019年4月12日リリース)。

さらに、パーキンソン病患者さんの脳脊髄液中のαーシヌクレイン凝集体の程度と、実臨床で用いられる指標の相関を示しました。

この実臨床で用いられる指標と脳内のαーシヌクレイン凝集体蓄積量は相関することが知られていることから、本手法を用いて検出した脳脊髄液中のαーシヌクレイン凝集体の程度は、脳内の凝集体蓄積量を反映する指標となり得ることを示しました。

今後、パーキンソン病の診断・重症度評価・治療開発への応用が期待されます。