陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

SNS嫌いの二次創作者、ひとりでは萌えない愛のパズルを抱いて

2020-07-01 | 二次創作論・オタクの位相

先日、SNS嫌いの二次創作者に肩入れするような記事を書きました。(SNSだけが萌えの爆心地ではなく、二次創作者の咲き誇る場所でもない
以前から申し上げていますが、二次創作者のSNS使用をけなす意図はありません。SNSをいいかどうかは、そこでの人間関係に恵まれるか否かによります。しかし、どんな場所であっても居心地をよくするかは各自次第。ラジオやテレビでの失言をする有名人が絶えないように、叱責や不興を買うのは場所だけのせいではないのです。集団行動が苦手で、人との距離感が詰まるのが息苦しいひとは、あまり向いていません。

私はばっちりSNS苦手派に属しますが、そうかといいまして、大手を振って旧式のサイトやブログでの二次創作活動がいいかとも推奨できかねます。
お前はいったいどっちなんだ、旗幟鮮明にしろ、と言われそうですね。なにかを嫌いなひとは、それを嫌いだ、いいね!と同意してくれるひととお友だちになりたいもの。だとしたら、SNSを嫌ってもSNS愛好者と考え方は同じですね。SNSをやめたからといいまして、SNS思考は抜けていません。今回はそのお話をします。

二次創作者ならば公式側の最新情報チェックは欠かせないもの。
しかし、個人サイトやブログで自作の創作のみに専念していると、うっかり時期を外してしまうことがあります。フットワーク軽いひとは公式がツイッターで爆弾情報を落として波がくると、ここぞとばかりに自作の宣伝ツイートをタイムラインに載せていたりしますよね。公式のサイトやブログのコメント欄に自作の同人誌やファンアートなどを宣伝しにきたら反感を買うこと間違いなしですが、ツイッターならば「他人の場所」を侵略してはいないのでセーフです。ハードボイルド気どってみたり、うるさいのが嫌いといいましたりしても、賑やかで楽しそうな祭りには惹かれないことはないわけで。だってヲタクだもの(by相田みつを)。

ツイッターやピクシブはしばしば数字の競合が争いの種になりますが、二次創作を探すのにはとても便利なツールです。
グーグルで画像検索しても、無関係な記事がヒットしてしまうことがあり、良作が埋もれてしまうこともあります。ツイッターやピクシブでは、タグ付けがあれば評価数にかかわらず平等に探しやすい。特にうれしいのは、海外のファンの創作物の掘り出し。作品感想にしても、短いので読みやすくサクッと大量のリサーチができるので、たとえば、読者受けのいい二次創作を書きたい人には下調べしやすいといえます。あるいは続編やスピンオフなどの商品化があった場合、アマゾンレビューとは別に、てらいのない意見を聴取することもできます。無名の掲示板と違い、個人が仮名とはいえ特定されるので、信頼に足る意見かそうでないかの見極めはつきやすい。とくに、自分とは異なる見方に触れるのは刺激になります。

思い起こせば、個人サイトやブログでのファン活動かまびすしい頃は。
先駆的なサイト運営者や情報収集に長けたブロガーが流してくれるので、最新の動きをキャッチできたということがありました。みんなが集まっている場所に近づかないので、耳よりニュースが入ってこなくなっただけで。

スマホが当たり前にあるSNS世代とそれ以前の世代では、ファン活動に対する意識がやや異なるかもしれません。
個人サイトやブログは個人の牙城なので、そこでのお付き合いはホスト(家主)とゲスト(客人)。うっかりサイトのアクセス数がよくて、同人誌即売会で顔が知られたサークル主さんともなると、一般人やライト層もいるSNS界隈でも過去の貯金でうっかり大きな顔をしてしまいがちです。自己の見解がファン総意であるかのように言論形成しようとしたり、原作者がわに対抗するような空気感を生んだり。塀に囲まれた我が家にいればわからなかった振る舞いが、あからさまに見えてしまいます。

我がままで独善的な言葉は、個人サイトで隔離されていれば、よそのお宅で犬が吠えているぐらいにしか感じません。
が、ツイッターなど繋がり空間でやらかすと、聞き手によっては直接浴びせられているようにうけとれるので、その反動が怖いです。二次創作者どうしのこじれもそうですが、公式に対して牙をむくようなことをうっかりしてしまうと、作品上で読者の期待を裏切るというかたちで跳ね返ってくるのかもしれません。下手にストレートに言い返すよりも、諧謔的に創作で殴りつけるほうがおもしろいし、道義的な復讐です。それならまだいいほうで、言動いかんによっては名誉毀損罪で訴訟に発展しかねないかもしれません。

SNSをやるのにもそうでないのにも、メリットとデメリットはあります。
自分のいる場所の高さと尊さとを誇ることによって、他人とは違う優れた自分を演出したい。たとえば、平均所得のひとしなみ高めの都会人が田舎者をけなすように、学校の偏差値や会社のネームバリューで差別されるように。無論それは事実でありますが、偏見によって見失うものもあります。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとか、酸っぱい葡萄にするとかではなしに、かつて全否定したものを拾って教えられることもあるのです。

個人サイトやブログ引きこもりになると、二次創作者は情弱かつ独善的になりやすい。
最新トレンドやトリビア情報からも遠ざかり、疑問点の解決が得られずに孤立する恐れもあります。しかし、それでもなお、二次創作者は置かれた場所で熱く楽しく咲けばいいのではありませんか。


【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。



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