陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

人気作のスピンオフだらけにもはやついていけない

2020-11-29 | 二次創作論・オタクの位相

(『メガミマガジン』2009年9月号表紙)


SNSでファン活動の交流をしない私は、どうしたってヲタク情報の入手に疎くなります。
アニメ雑誌すらも買っていませんし。熱を入れていて応援したのに、公式サイトも覗かなくなったりする。ファンの心は秋の空、すぐ移ろってしまいます。

下手をすると、数年後に古本屋で見かけて、え、こんな続編出ていたの?と驚くことも、ここ数年珍しくなくなりました。作家の皆さんには申し訳ないですが、イチ推しでその作家のSNSをずっと監視してもいない限り、気づきません。さらには、近年は漫画を電子書籍サイトで公開することも多く、単品だけ読む人も増えたので、他作品をつまみ食いする機会も減っただろうかと思われます。多頭飼いのファンの皆さん、すべての作品の公式情報をチェックしていたら時間が足りなくないですか?

最近、古書店巡りをしていて、ふと以前(…というか今でも好きではあるが)ハマったアニメのスピンオフ漫画を見つけました。




このアニメは、国民的人気を誇る声優さんが主題歌を歌って話題になった人気作です。
2009年ごろには第四期としてスピンオフ漫画が二本立てで、別々の雑誌で連載スタート。しかし、うち一本はコミックス六巻までで未完結になっています。今回発掘したのは、その未完結になった漫画の漫画担当者が、同じ原作の別のスピンオフ漫画連載させたもの。全巻揃っていましたので、もちろんオトナ買いしました。アニメ無印をコミカライズしたものですが、多少加筆した部分もあって、なかなか楽しめます。絵がカタいなという印象はありますが…。

この作品が初巻から最終巻まで刊行されたのは2014年から2016年。
行政書士ふくめた資格試験の受験やら会社員としての再就職活動でかなり忙しくて、漫画をほとんど買っていなかった時期ですね。ブログ更新はしていたけれども、正直、ヲタク趣味どころではなかったです。

いま掲載しているのは、そのコミックスに挟んであった折込チラシ。
カラーのつづら折りになっていて、漫画の単行本にはよく附属していますよね。このチラシ、かなりの情報源でして、同時代にどういった作品群が並んでいたのか、よくわかるシロモノです。おそらく、この古書は、状態がかなりよかったので、書店が在庫をそのまま新古書店へ持ち込んだものでしょう。



そして、このチラシを見て驚いたのは、当時のこの人気アニメのスピンオフの多さ!!
なんと、ここでわかる限り、四作品。「リリカルなのはViVid」と「リリカルなのはForce」がすでにスピンオフなのに、さらにそれのスピンオフまであったのか、と。リリカルなのはは劇場版のコミックスもあったし、さらに、ゲーム版とか、カードバトルっぽい漫画もあったはずです。これを全部買い揃えて読んでいた方、いたのでしょうか。いたら、尊敬します。

リリカルなのはは、そもそもアニメ無印じたいが、ゲーム作品の派生作品だったので枝分かれはわからなくもないですが、ここまで「リリカルなのは」シリーズに含める必要あるのかという気がしないでもありません。




ついでに、この同じチラシで見えたのは、人気アダルトゲームでアニメ化もされた「Fate」シリーズ。
噂に聞く、赤フェイトさんってやつですね。あと、魔法少女ものになってるのは、衛宮士郎の異母妹のロシア系の幼女なんでしたっけ。

ただ派生作品が雨後の筍のように濫造される背景にあるのは、プロの作家どうしのネットワークと延命措置で、新人さんの実績づくりのために作品を産み出しているのかもしれませんよね。商業紙連載しないことには経験値も積めないと。

しかしまあ、びっくりです。「進撃の巨人学校」なるものもあるらしいですが、その人気アニメの名前さえついてれば、作風やら世界設計を変えて、なんでもかんでも売り出しちゃえという。しかも、売れるのをいいことに、だんだん、裸ばかり増えたり、ストーリーが飽きてしまったりするという。いつまでも好きでいるのって難しいですよね。




ちなみに、いま『電撃マオウ』誌上で連載中の「姫神の巫女」も、正式に「神無月の巫女のスピンオフ」を標榜していますが、きちんと公式の、といいますか、もともとも版権者が製作しています。

スピンオフ作品のいいところは、それが続編で人気キャラのその後が拝めるのはいいとしても、作画担当が変わってしまうともう別の作品にみえて、ちょっと醒めてしまうことなんですよね。上記のリリカルなのはの「F」と「V」はまだいいとしても、絵柄が好みじゃないとか、二次創作者がネタで思いつきそうなのを公式がやらんでも、とかいろいろ考えてしまいます。

人気が出ればアンチ意見も増えるので、偏見をもってしまうこともあるんですよね。
数年経って冷静にていねいに読んでいたら、ネットで悪評ぶられたほどひどい作品でもないなと、今更気づいたりもします。

「キャッツアイ」とか「ドラゴンボール」とか、技術のある二次創作者さんが公式になってスピンオフを描くケースが増えていますが、やはり、以前に比べたら見劣りがします。漫画家さんには、末永く、人気作を描きつづけられるよう、ご壮健でいてほしいものです。

今回の記事は、ヲタク活動にお金をかけない吝嗇な二次創作者のたわごとなので、権利者およびファン活動者の皆さんはお気になされないように。






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