陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

会社の社会保険に加入したのに、なぜか国民年金保険料が引き落とされた話

2020-11-27 | 政治・経済・産業・社会・法務

私は正社員として総務事務職の経験があります。
社会保険や労働保険にはそれなりに詳しいつもりでした。社会保険手続きの公的機関にいましたし、社労士の勉強もしました(合格に至らず)。しかし、実務上、思いがけぬ事態が発生するものです。今回はそんなお話をします。

会社員として就業し、社会保険適用加入用件を満たすと、健康保険および厚生年金に強制加入します。自営業の入る国保や国民年金に比べたら、休業手当金もありますし、労使折半なのでお得とも言えます。

これまでの就業先では、健康保険はといえば、協会けんぽか組合けんぽのいずれかでした。
協会とは、全国健康保険協会。各都道府県に支部があり、県ごとに保険料が異なります。組合とは、全国健康保険組合。日本年金機構などの公法人や、大企業などが加入しています。一般の中小企業は、協会けんぽがほとんどです。

ところが。
会社員でありながら、なぜか健康保険が国保になってしまうことがあります。
自営業や学生さん、アルバイト(週の労働時間や事業所規模により適用あり)、無職者などは国民健康保険です。それとは別に、業界団体ごとに国保の組合があるんですね。一例をあげると、医師、弁護士、芸術家、建設業など、同種同業の組合員で構成されています。協会けんぽや組合けんぽよりも、標準報酬月額に対しての自己負担額が低いこともありますが、ネックなのは別世帯の家族を被扶養者にできない、任意継続被保険者および特例退職被保険者制度がないこと。なお、士業事務所であっても、従業員5人以上か、法人成りしていれば協会けんぽの強制適用事業所になるので、必ずしも、これらの業界で国保組合に加入するとは限りません。

今回のネタ話は、この国民健康保険組合加入の業界で働いたときの、びっくり出来事です。
国保組合員になると、厚生年金には加入するけれども、健康保険は国保に加入する。なので、「健康保険被保険者適用除外認定証」を提出します。4月1日付け入社ならば、もちろん厚生年金の被保険者資格取得日も、その入社日です。会社は、従業員の入社日から5日以内に届出せなばなりませんので。

しかし、その4月分の給料から厚生年金の自己負担分が控除されていたのに。
なぜか、国民年金保険料が口座引落されていたのです! 国年を納付書で払っていればそんなことはないのですが、口振のほうが多少の減額があるので便利でした。ひょっとして、勤務先は厚生年金の加入手続きを怠っていたのでは…? 

直接、年金事務所へ問い合わせしてみることにしました。
すると、「国民年金の被保険者資格喪失日は当月18日付けです。日本年金機構が金融機関に口振依頼をかけるのが毎月10日前後。すでにある自動引落手続を中止するのを10日までにしないと、そのまま国民年金は月末引き落とされてしまいます。ですが、のちほど還付請求できますので、1箇月ほどお待ちください」との回答。

もちろん、これまで転職を繰り返した私は、任意継続被保険者の健康保険料の還付請求および、前納の国民年金保険料の還付請求もこなしてはきたので、今回のような「過誤払」でも返金はあるだろうと踏んでいました。しかし、厚生年金加入しているのに、国年が引き落とされる! 二重払いになる?! という事態に直面したことはなく、大変動揺しました。疑ってしまった勤務先の人事担当者、ごめんなさいです。

就職前はたいがい収入がなく、国年を免除にされていれば、このような面倒なことは起こらなかったのでしょう。しかし、個人事業主兼会社員で副業をきちんと確定申告していれば、社会保険料は逃れられないので、払わざるを得ないんですね

余談ですが。
今回のような事態があるので、心配性の人は、会社に提出する書類、とくに入退社時の手続きに関するものは、かならずコピーをとっておきましょう。毎月の給与明細書も、勤務先が社会保険や労働保険の加入を忘れていた場合に、給与からの控除が認められれば2年ぐらいさかのぼって被保険者期間として認知されることがあります。






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