陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

労働条件通知書は必ず貰うべし!

2020-08-06 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

新型コロナウイルス感染症の影響は、アベノミクス効果でつづいた好景気にピリオドを打ちました。大企業でも赤字転落が増え、ぼちぼち倒産も増えているようです。有効求人倍率も1倍を切ってはいないものの、昨年よりは落ち込んでいます。就活生の皆さんはなかなか大変だと思います。昨年は猛暑で苦しかったけれど、今年も豪雨災害もあり、なかなか厳しいですね。

私も中途採用に応募したときは、一遍に何社も応募書類を出しました。
年齢が高くなると、書類選考すら通らなくなるのはそのとおりです。面接に進んでも、不合理な条件を提示されたり、転職歴が多いことを指摘されたりすることはあります。しかし、内定ゲットはもちろんですが、その企業の見学や事業主と会うよい機会ととらえて、前向きにいきましょう。

今回はめでたく採用が叶ったあとのお話をします。
私は中年になっても資格が活きたせいか、正社員をふくめて同時に複数の内定をいただいたことがあります。そして、いざ入社してみたら、ありえないと思う企業もありました。そもそも、内部の人間関係なんて面接では見えないんですよね。面接に登場するのは経営者や役職なわけですし。

めでたく内定をいただきましたら、まず知っておきたいのは。
雇用条件通知書がいただけるか、お伺いしてみることです。ハローワークの求人票には必ず雇用条件通知書で具体的な労働条件を確認してくださいとあります。入社前に雇用条件を確認しないまま、うっかり労働契約書に署名押印したり、口約束で請け負ったりすると、のちのちトラブルになりやすいのです。

正社員のみならず、パートタイム労働者や派遣労働者でも同じことです。
学生アルバイトであっても、原則、被雇用者ですので書面で明示する必要があります。

労働基準法第15条の1では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とあります。この明示すべき労働条件には、絶対的なものと相対的なもの(定めがあれば明示)とがあります。

【絶対的明示事項】
・労働契約期間
・期間の定めのある労働契約の更新の有無
・就業場所、従事すべき業務
・始業終業の時刻、所定労働時間超えの有無
・賃金(退職手当をのぞく)の決定、計算、支払日・方法、締切日および昇給
・退職(解雇事由をふくむ)

この絶対的明示事項のうち下三点は、就業規則の絶対的必要記載事項で、被雇用者すべてに適用されます。なお、正社員とは別に有期雇用、短時間労働者のみの就業規則を別途作成は可能です。

【相対的明示事項】は会社に定めがある場合で、「退職手当」や「臨時に支払われる賃金」「職業訓練」「休職」に関するものなどです。

内定通知を出して、人手不足なのか、内定承諾書の提出や社会保険の加入を急がせる企業もあります。
しかし、なるべくならば、事前に労働条件通知書を請求しましょう。労働契約締結につき、労働条件を書面で明示するのは法律で定められています。一つ注意点は、法律上は、「締結に際し」であって「あらかじめ」ではないので、事前に企業が労働者に明示しなくても違法ではなく、労働契約締結時に見せるという企業があります。しかし、入社日当日、労働契約書を見せるまでは給与や業務内容がわからないままでは不安ですよね。意味不明な賃金控除があったり、通勤手当が出ていないことになっていたりとか。短期の仕事ならば一時期がまんしてさよならなので、それでいいかもしれませんが、長期間あるいは期間の定めのない正社員ならば、不当な労働条件では働いても、かならず長続きしません。

正式な書面でいただくのが望ましいですが、入社前に来社が難しいのであれば、PDFにしてメール添付で確認したいのでとお願いしたほうがいいのかもしれません。出し渋っている企業は少々疑ってみたくなりますね。私も過去に、電話口で口頭でのみ伝えるからとか、作成がめんどうなので送りたくないとか言われ、あるいは送られてきた条件が面接で聞いたものと異なるがために内定を辞退したことは何回もあります。そもそも、労働契約違反になれば労働者がわから即刻契約解除にできなくはない。また、不当な労働条件によって自分から退職を申し出ても、会社都合退職にでき、失業給付の給付日数も伸びる可能性があります。

コロナ不況で募集が少なくなり、求職者の皆さんには厳しい時期です。
しかし、真剣に一緒に働きたい仲間を探している企業はたしかにあり、応募者のことを思ってきちんと書面を提示してくれる会社もあります。労働条件通知書が示されたら、疑問点はしっかり質問し、納得してから入社しましょう。一生の長い時間を捧げることになるのですから、遠慮してはもったいないです。業務内容をとるか、通勤時間を優先するか、それとも高給を狙うか。ある程度の妥協点は必要ではありますが、あいまいなままなんとなく入ってしまい公開して離職と転職を繰り返してしまうことになります。就職氷河期世代で複数のキャリアも職場も渡りあるいてきた私だからこそ言えるのですが(苦笑)。

ちなみに書面で条件確認は、雇用されないフリーランスでも同じこと。
業務委託契約書をきちんと作成して、双方で合意の上で仕事を請け負うようにしたほうが、のちのち泣きをみなくてすみますよね。





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