陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

哲学者の言葉は人生の道しるべに

2021-01-16 | 読書論・出版・本と雑誌の感想

【注】この記事は、内容不備のまま予約投稿していました。このたび、修正して再掲載しております。既読の方はご注意ください。




NHKの教育番組で「哲学者に人生相談」という番組がありましたよね。
視聴者からの悩みにつき、哲学者の学説を紹介しながら、その対処法を教えるというしくみで、哲学者の思想にふれながらも、人生の課題解決もできるという、なかなか面白い番組でした。コメンテーターの大学教授が、挫折経験のあるひとで、噛み砕いた説明がわかりやすかったものです。ただ、司会のタレントがややおふざけ気味でしたけれども。哲学者の似顔絵つきのパントマイムの人がインパクトありました。

学生時代、美学・美術史の学徒であった私は、当時よく哲学書を読んでいました。
覚えている限りで列挙しますと、ハイデッガー、アーレント、サルトル、デカルト、ニーチェ、ベルクソン、カント、ヘーゲル、プラトン、パスカル。大学の授業の一環としても指定されていましたし、自分の興味で読みひろげたものもありましたね。同級生はバタイユが好きだという人もいました。学生といえば背伸びしたくなるもの、お堅い本を読めば賢くなった気になれるという。でも、理解しているかといえば…。

当時はポストモダン思想がもてはやされた時代。
ドゥルーズ、ジャック・ラカンなど。そういえば、現代を代表する思想家って誰になるのでしょうか? 「銃・鉄・病原菌」のジャレド・ダイアモンドなのか、「これから正義の話をしよう」のサンデル教授なのか。最近ではドラッガーやアドラーもブームですよね。アドラー心理学はもともと子どもの発育に関わるものだったのですけれども、多様な人間関係に揉まれ、ともすれば立ち位置を見失いがちな現代人全般に行き渡りそうな勢いです。紹介者による「嫌われる勇気」というタイトルは誤解を招きそうですけども。

現在の私のひそかなマイブームは、東洋哲学だったりします。
学生時代に仏教の空観思想にはハマりましたが、そうした仏教ではなくて。西田幾多郎や、幕末の思想家・佐藤一斎の『言志四録』。孫子の兵法も組織論などに流用されていたりしますよね。若い頃会った経営者さんは、荘子が好きだとおっしゃられていました。私は研究したのが日本美術ではなかったので東洋哲学には疎かったのですが、海外ではけっこう人気らしいです。たとえば、スティーブ・ジョブズが鈴木大拙の禅の思想に傾倒していたことは有名ですね。

しばしば、私は就職に役立たない人文科学を専攻したことを自虐的に語ってはいます。しかし、学生時代の自由な時間に、たっぷりとこうした思想書に触れられた時間はやはり宝物だったと考えています。

お気に入り哲学者の名を聞けば、そのひとの大切にしているものがわかる。最近は初心者にもとても読みやすいビギナー本が増えて、親しみやすくなっています。嬉しい限りですね。


(2020/10/24)



読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。



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