堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

音楽療法に参加している失語症のAさんが
言葉を取り戻した事例とその理由について
お話しをします。

ある高齢者施設で
失語症のAさん(80歳代)女性が
セッションに参加しています。

Aさんは10年前に脳梗塞になり
言葉がうまく話せない後遺症
が残っています。

音楽療法でのAさんの様子

セッションには1年前から参加

セッションには1年前から参加していますが
最初は名前も言わず、うんうんとうなずくだけでした。

また
質問しても話そうとする意欲もなく
何度か同じことを質問すると
手を振って拒否する反応をされていたのです。

3回目のセッション

3回目のセッションから
お名前を質問すると「あ」という風に
口を開けるようになった
のです。

私は「これはしめたと」思い、
次のセッションから
「あ」の母音だけで歌うプログラムも
取り入れることにしました。

すると
Aさんは「あ」と口を開けるだけでなく
声も出すようになったのです。

その後、母音だけの歌唱を2ヶ月ほど行なった結果

その後
母音だけの歌唱を2ヶ月ほど行い
しばらくたったある日のセッションで
嬉しいことが起こりました。

Aさんが
「富士山」の歌の冒頭「あーたまーを」を
歌ったのです。

その声を聞いた時
私は驚きと嬉しさでウルッときました。

それからは
富士山のようなゆっくりしたテンポの曲を
最後まで歌えるようになりました。

そして
自分の名前や短い会話ができるようになったのです。

そのため
介護職員さんもケアしやすくなったと
喜んでいました。

ということで
Aさんは十数年ぶりに
再び話せるようになりました。

なぜAさんが再び話せるようになったのか

ではここで
なぜAさんが再び話せるようになったのかを
考えてみたいと思います。

次の
2つの理由があるのではないでしょうか。

1、リラックスできる雰囲気だった

音楽療法は教育とは違い
「正しい答えを求めない」
という特徴があります。

そのため
クライアントはどのような反応や答えを
しても点数をつけられることはありません。

なので
なんの気負いも緊張もなく思ったことを言ったり
反応したりできます。

つまり
リラックスした状態でセッションに参加していたので
言葉や声も出しやすかったのではないかと思われます。

2、母音だけの歌が発声練習になった

「あ」だけで歌うプログラムは
発声練習には適しています。

なぜなら
失敗がないからです。

Aさんの場合も
「あ、あ、あ」と短い声からはじめて
「あー、あー、あー」と少しずつ長い発声に
なっていきました。

少しずつ声を出す経験が
自信になっていったのではないかと思います。

以上
この2つの理由が
Aさんの言葉の再獲得につながったと
考えられのです。

失語症の方の後遺症改善にも音楽療法は有効

このように
失語症の方の後遺症改善にも音楽療法は有効
です。

しかし
失語症の方の後遺症の改善のためには
失語症の症状や脳卒中についての知識が必要になります。

でも
脳卒中についてや脳のことをどうやって
学んだらいいのかわからない
と言われる方もいらっしゃると思います。

そんな場合は
音楽療法セラピスト®養成講座
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この講座では

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  • 中途障害の方の心理とは
  • 失語症について
  • 失語症の方の音楽プログラムの作り方
  • 高次脳機能障害とは
  • 高次脳機能障害の方の音楽プログラムの作り方

などを学ぶことができます。

特に

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    いらっしゃる場合
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    中途障害の方に関わる場合

には必要な知識ですので
ぜひご参加ください。

必要な知識を学んで
サポートされる人もサポートする人も
気分良く過ごしませんか。

音楽療法セラピスト®養成講座
「脳血管性障害の音楽療法」

それでは
今日も元気にまいりましょう。

音楽療法セラピスト® 堀田圭江子