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ちゅら星(154)
近くの縞模様に明るい球体が降りてきた。
僕らは巨大真珠ごと明るい球体の中に入ってみる。
表示されたパネルの最上階をタッチする。
一瞬で新しいフロアが目の前に広がった。
巨大真珠は球体からフロアに移動する。
「お席へご案内します。」アナウンスが聞こえて、巨大真珠は自動で誘導されていく。
しばらく明るい通路を進むと、ゆっくりと停止したあと、右側に引き込まれる。
「うわ、キレイ。」
ブルーが際立つ、ロイヤルなテーブルセットが用意された個室だ。
ここで僕らは巨大真珠から出る。
「水玉模様の景色が一望ね。」
大きな丸窓からは、丸みがかった惑星の地平線が一望だ。
「ちょっとこれ見てよ!」ユニヴァの声。
僕と黄色いクチバシが窓の景色を見ている間に、ユニヴァはテーブルに浮かび上がったメニューを見ていた。
「首長竜の煮込みって・・・。」
「あのニョロとかポニョとかの仲間って事?・・・。」
「ええ、食べられそうになったアイツを食べちゃうのぉ?」黄色いクチバシが目を丸くして言う。
ユニヴァがメニューの画像に触れると、詳しい説明が現れた。
『114番目湖は、古くから首長竜の目撃者が多く、辺鄙な場所にもかかわらず、伝説の生物を一目見ようと多くの観光客で賑わいます。
また、大ウナギが採れることでも有名です。
首長竜の煮込みは、114番目湖産の大ウナギを使用し、首長竜をイメージして大胆にカットしたものを、完熟トマトで煮んだおすすめの一品です。』
「なんだ、大ウナギなのか・・・。」ユニヴァがちょっと残念そうに言った。
「114番目湖って、僕らが出てきたところのことかな?」
「さあ・・・。」ユニヴァはそう言ってメニューのページをめくった。
首長竜から興味がそれたようだ。
それからだいぶ長く考えた結果、ユニヴァはマリモラーメンに決めた。
そして、僕はワカサギの天ぷら、黄色いクチバシはザリガニのパスタを注文した。
しばらくすると、白いスーツの女性が現れた。
「お待たせいたしました。」
そう言うと、部屋の奥にあった扉から料理を運び出してきた。
そして配膳を終えると、一礼をして部屋から出て行った。
ユニヴァはマリモラーメンの真緑色のスープを見つめている。
「まるで、ここの湖みたい。」そして、レンゲでスープをすくった。
するとスープは透明で、小さな丸いマリモが数個浮かんだ。
ユニヴァはそれをすすって、満足そうにフフッと笑った。
黄色いクチバシのザリガニのパスタは、だいぶ小ぶりのザリガニがパスタを埋め尽くすように載っている。
「殻がカリカリで食べやすいぃ。」いい音をさせて黄色いクチバシが頬張る。
僕のワカサギの天ぷらには、ご飯とそれにマリモが6個浮いているお吸い物が付いている。
知らない星のワカサギだが、特に違いは感じられなかった。
「ところで、クーさん達どうしてるんだろうか?」僕が言う。
黄色いクチバシがザリガニをカリカリやりながら僕を見た。
「なんか温かそうな湖にいるみたいぃ。」黄色いクチバシが言う。
「赤道付近の湖かな?」僕が言う。
「う~ん?温泉見たいなぁ・・・。」
それから、湖料理を堪能した僕らは、再び巨大真珠に乗り込み、上がってきていた近くの球体に入った。
「すぐ下に展望ラウンジがあるから、行くわね。」ユニヴァは言って、パネルのボタンに触れた。
ラウンジに出ると、ピラミッドの壁面にあたる傾斜が全て窓になっていて、大パノラマが広がっている。
「ホントに水玉な所ね・・・。」
パノラマに沿って進むと、その先はバーラウンジになっていて、窓に沿ってカウンター席が続いている。
「そろそろ日も傾いてきたし、いい時間じゃない?」ユニヴァはそう言って、適当な席に着く。
僕と黄色いクチバシも、ユニヴァを挟んで両側の席に着く。
僕らの前には、オススメのグリーンボールというマリモが一つ浮かんだ飲み物が並んだ。
「何しに来たのか忘れるわね。」ユニヴァは言って、ぐっと呑む。
「そう言えば温泉みたいな所って言ってたよね・・・。」僕が言う。
「簡単に見つかりそうね。」ユニヴァは軽く言って、もう一口飲む。
もう日も暮れてきたから、捜索は明日だ。
僕も、景色を堪能しながらグリーンボールを呑んだ。
「あちらのお客様からです。」低い声が聞こえて、赤いショートカクテルが3つ届いた。
あちらのお客様の方を見ると、見慣れた二人が手を振っている。
GackNtとニャントロだ。
「現れるわねぇ・・・どんなところにでも。」ユニヴァが小さい声で言った。
それから、GackNtとニャントロは僕らの席に移動して来た。
「偶然の出会いに乾杯!」GackNtはそう言って、僕のグラスでGackNtのグラスを鳴らした。
「ごちそうざま。」ユニヴァはそう言って、赤いショートカクテルに口を付けた。
「それはオーロラと言ってね、偶然の出会いを意味するカクテルだよ。」GackNtが言う。
「こ~んなところで合うなんて、本当に偶然なの?」ユニヴァが言う。
「良ければ、運命の出会いって言うのもあるけど・・・。」またGackNtが言う。
「せっかくだから、それも頂こうかしら。」酒豪のユニヴァが言う。
しばらくすると、オレンジ色の飲み物が5つ届いた。
いつの間にか、だいぶ日も暮れて、湖の水玉模様が、星の光を受けて銀色に輝いていた。

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【2019/12/24 15:00】 | ちゅら星物語 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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