海外展示会のパンフレットは内容(コンテンツ)で勝負!しっかり作って、使い回そう!

中小企業が海外の展示会に出展しても、準備不足で機会を活かせない事例をよく見かけます。例えば中国語などの外国語パンフレット。どう進めればいいかも含めて、実際の経験を基にした迫真?のフィクションを基に考えていきましょう。

ツッコミどころ満載のパンフレットとの出会い

台北で開かれていた食品関係の展示会であるパンフレットが目に入りました。やる気のなさそうな通訳さんが配るパンフレット。いろいろツッコミどころ満載で、本当に分かりづらく、オフィスの壁に貼っても私以外誰も気にも留めない、せっかく作成したパンフレットなのに何が悪かったのでしょうか?

台北の食品関係の展示会で配布されていたパンフレット(大幅に改変)
台北の食品関係の展示会で配布されていたパンフレット(大幅に改変)

文章は段落単位で分け、見出しをつけると読みやすい

例のパンフレットで一番目立ったのは、文章を全く改行していないこと。そして見出しが全くついていないことでした。これにより読みやすさが大いに損なわれていました。

以下2つは全く同じ文章ですが、段落分け・適宜改行&空白行を挿入・最初に大見出し挿入+段落毎に中見出し挿入、とすると読みやすさが大いにアップすることは一目瞭然だと思います。

見出し無し(文章はWikipediaより)
見出し無し
見出し付き (文章はWikipediaより)
見出し付き

ひょっとすると改行しなかったのは説明を限られたスペースに詰め込むための工夫だったのかもしれませんが、ここまで読みやすさを犠牲にするくらいならその分スペースを拡大した方が良かったのではないかと思います。

パンフレットは現地の言葉で用意

例のパンフレットは、英語・日本語のみで、中国語の説明がありませんでした。台湾の展示会・見本市に出展するのに日本語や英語の資料しか用意しない会社もあるのですが、特に台湾向けをメインにした展示会・見本市では不利になります。ちゃんと現地に合わせた言語で準備しましょう。

根拠もなく「台湾は日本より英語ができる人が多い」、「台湾人は日本人より英語が上手」という人がいるのですが、各種調査でも作者自身の実体験から見ても、日本と同程度のように思います。これは英語が母語・公用語ではない国でも同様に考えるべきだと思います。やはり相手の立場に立って考えるのが「おもてなし」の第一歩です。

ウェブサイトも外国語で準備

例のパンフレットにはウェブサイトのURLが記載されていましたが、行ってみると日本語版しかありませんでした。ウェブを見たという時点で興味を持ってもらえているのに、これはもったいないです。台湾向けであれば中国語版も用意しましょう。

ウェブサイトはパンフレットと違い、スペースの制限がないし、印刷代もかからないので、パンフレットより詳細・専門的・より踏み込んだ内容が掲載されているのが望ましいと思います。

さらに言えば、ウェブサイトはいつでも内容の更新が可能です。ブースに来た人からの質問・意見などで気づいたことがあれば、それを反映するなど、徐々にコンテンツを増やしていき、製品・サービスや自社の魅力を発信するには良いメディアだと思います。

直訳ではなく、相手国の言語で書き直す

例のパンフレットでは右上に産地で書かれていたのですが、日本人の私も一見してどこにあるか分からない場所で、さらにひらがなで記載されていました。地名が知名度が低い上にひらがなで記載されていれば外国人にはますますピンとこなかったと思います。台湾であれば漢字で「日本・XX縣 ・○○村」など国名や県名も書いておくべきだったと思います。

また食感や口当たりに関する説明を日本語の擬態語、例えば「とろとろ(Toro-Toro)」を使って説明していました。ただでさえ少ないスペースなのに「とろとろ」の説明にかなりの文字数を使っていたのです。

いくら「『とろとろ』は水の淀みで流れきらない様子が語源で・・・」などと説明されても日本語を使っていない人には結局ピンときません。まず相手が見てどんな食感かある程度想像できないと説明の意味がないのです。言語によって効果的な表現も大きく異なります。日本語をそのまま直訳しては通じないこともあります。

外国語で一から書き直すくらいでちょうど良いくらいです。マーケティングの目的や狙っている効果を確認し、原文の訴求点は尊重しつつも、現地の人の心をつかむ、「ささる」表現を翻訳者と一緒に考えるのが良いと思います。

内容(コンテンツ)はしっかり作って、しっかり使いまわす

パンフレットはデザインは後回しにして、まず内容(コンテンツ)に力を入れることをお勧めします。宣伝文句などに始まり、商品や自社の詳細説明、日本での使用事例など、色々なコンテンツを作成するのが良いと思います。

パンフレットに使えそうな写真などもこれを機に収集しておくと良いと思います。写真はデジカメで撮影していると思いますが、縮小など加工は一切せずに保管しておくとよいでしょう。特に印刷などでは解像度が低い・小さな写真ファイルはぼやけて見えてしまうこともあります。

関してはこうやって作成したコンテンツはパンフレットだけでなく、ウェブサイトなどいろいろな場所で使うことができます。どうせ予算・時間・手間をかけるなら、良いコンテンツを作ってしっかり使いまわして元を取りましょう。

ブース通訳(説明員)への事前教育にも流用できる

しっかり準備していない出展者によくあるのは、ブース通訳兼説明員に当日口頭で展示内容や注意事項を泥縄で説明する光景。例えばしっかり作りこんだパンフレットを読んでもらい、想定問答を行うだけでも随分違うはずです。

どれだけ語学力が高くても事前のインプットがないまま、通訳に臨むのはストレスが溜まります。事前の下調べができなければ上手く通訳できない可能性もあります。逆に言うと事前準備がしっかりしていればそれだけ自信を持って堂々と話してもらえる可能性が高まります。

またブースでの通訳は、毎回同じ事を中国語と日本語で2回言うことになるので基本的に時間が2倍以上かかります。これでは効率が悪すぎます。例えば、簡単な説明は中国語で完結させ、商談や突っ込んだ話になったの場合のみ日本側が入る方が効率的です。

またこうすることで、

(A)日本語能力が少しできる説明員→簡単な説明に専念、
(B)高スペックの通訳 → 商談・突っ込んだ話、

という形で分業し、予算もメリハリをつけることができます。

展示会におけるブース通訳の役割分担や使い方については別の記事にまとめていますので、ご興味あれば是非ご覧ください。

自社の強みを分かりやすく整理する良い機会に

また内容(コンテンツ)を作りこむと、自社の強みを分かりやすく海外の方に説明するシミュレーションにもなります。通訳を通す場合でもある程度海外の人に分かりやすい言い方を心掛けていれば伝わり方がずいぶん違うのです。

あと隠れた効果として自社の強みを整理する良い機会にもなります。自分の強みは意外に自分では見えづらいものです。このように海外に挑戦する機会を利用し、海外の目を借りて自社を見つめなおす。こうすることで日本国内の事業にも良い刺激になると考えます。

この辺の話はは別の記事でも触れていますので、ご興味あれば是非ご覧ください。

参考文献 (クリックすると一覧を表示)
  • 日本人はなぜ“とろとろ”が好きなのか!?|HATENAVI|ZIP! (http://www.ntv.co.jp/zip/onair/hatenavi/404368.html、2019年09月05日閲覧)
  • 日本橋 (東京都中央区) – Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%A9%8B_(%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%8C%BA)&oldid=73993388、2019年09月05日閲覧)
  • EF EPI 2018 – EF 英語能力指数 (https://www.efjapan.co.jp/epi/、2019年09月05日閲覧)

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