「落下世界 下」
ウィル・マッキントッシュ、著 2019年
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内容(「BOOK」データベースより)
フォーラーが落ちていった先にはたしかに別の島々があった。だがそこでの思いがけない人々との出会いで、世界の謎はさらに深まってゆく。一方ピーターの世界は、戦争と生物兵器による疫病で壊滅の淵にあった。それらすべてを解決するピーターの夢の新技術はしかし、途方もない事態を招く…。世界激変、自らの過去、フォーラーたちはすべての答を求め、空中世界を落ちてゆく!
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シンギュラリティ=特異点。
要は小型のブラックホールのようなものを作り出した科学者ピーター。
彼は当初その力を利用して、物質複製装置を作り上げる。
全てを複製出来る装置だ。
そこには人間も、その記憶さえ含まれる。
その装置を使って、不治の病に罹った友人の妻を、健康な状態で複製しようとしたピーターは……。
空中に浮かぶ島々に人々が暮らす世界。
空中に浮かぶ島々しかない世界。
文明崩壊後にばらばらになって、断片に分かれた世界。
その世界を、パラシュートを背負った男・フォーラーが落下して行く。
他の島を目指して。
でも、ファンタジーではないのだ。
SFなのだ。
SF……なのか?
シンギュラリティとか言えば、全て許されるわけじゃないよ?
「その」せいで、世界はこのようになった。
と説明されてもなあ……。
と言う気はする。
気はするけど、これ、本当に面白いのだよなあ……。
特に後半。
一歩間違えばギャグになりそうな展開だが、実にシリアス。
手に汗握る。
ピーター軍団VSフォーラー。
でも、全員同じ容姿。
とか。
それ以前に何故こんな世界が成立し得る?!
とか。
フォーラーの正体などは、初期段階で誰にでもわかる。
何が起こったのかも想像出来る。
でも、足りないピースがある。
実に上手い作り方だ!
ネタバレになるから書かないけれど。
でも、これ。
ネタバレになっても困らないと思う。
謎はそこにはないも同然だから。
で。
ネタバレになっても面白さが変わらないと思う。
なんたる力技!
荒唐無稽と書いてウィル・マッキントッシュと読む!
シンギュラリティとか言えば、全て許されるわけじゃないよ?
でも。
面白いから許す!
『落下世界 上下』。
本当に面白かったです♪♪♪