私がパーソナリティを務めさせていただいている

エフエムあまがさきの番組

「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。

昭和の歌をお送りする番組です。

 

今この歳になって聞くと面白い「昭和の歌詞」を

番組内で深堀りするコーナ。

時には、この頃めったに聞くことがないけれど、

個人的に大好きな曲、名曲と思っている歌に

スポットを当てる時間です。

 

昨日は、スターダスト・レビューの『今夜だけきっと』を掘り起こしました。

 

『今夜だけきっと』は1986年6月にリリースされました。

アルバム『VOICE』からのシングルカットです。

同じくスターダスト・レビューの『夢伝説』には及ばないながら、

CMやドラマの主題歌に起用されたりしていて、

聞けば「ああ、この曲!」と思う方が多いと思います。

 

私はスターダスト・レビューの大ファン、というわけではないけれど、

ボーカル根本要さんのお声の素晴らしさには感服しております。

一度聞いたら忘れられない声、

いつどこで聞いても「あ、これはスターダストレビューだ」とわかるサウンド。

素晴らしいではないですか。

 

ただ、あまりにも声が清々しくて、

歌の内容が今ひとつ頭に残っていないのが正直なところ。

昨日深掘りするまでは内容はもちろん、

今夜だけきっと〜悲しいの〜♬

だけしか覚えていなかったのでした。

すみません。

 

爽やかな曲調と声で目隠しされがちですが、

この歌は、男性にとってかなり辛い失恋の歌なのです。

 

歌詞を見ていきましょう。

今回は興奮したり歌の世界と現実が混濁する心配はなさそうです。

 

 

『今夜だけきっと』

        作詞:根本要、手島昭 作曲:根本要

 

今夜だけきっと 悲しいの

明日になれば 忘れられるのに

ため息ひとつ 手のひらに

そっとこぼれて 風に消えた

 

低く晴れた空 ちぎれた雲ふたつ

「まるで明日からの二人ね」とつぶやく

海に向けた目は ふいに軽いめまい

あいそわらいの君 この胸つき落とす

ねえそっと ほんのジョークと

耳もとで ささやいてよ

 

今夜だけきっと 悲しいの

明日になれば 忘れられるのに

ため息ひとつ 手のひらに

そっとこぼれて 風に消えた

 

いつもなら君のひとみ 話好きで

ほおづえつくよな タイプじゃないくせに

思わせぶりだね その腰つきやめて

二人のすき間は 体じゃうまらない

 

ふり返るほど せつなくて

すれちがうほど わかりあえなくて

今夜だけきっと 悲しいの

せめて今だけ 思うままに

今夜だけきっと 悲しいの

明日になれば 忘れられるのに

ため息ひとつ 手のひらに

そっとこぼれて 星になった

 

 

付き合っている二人が、海辺のリゾートホテルにいます。

せっかくのオーシャンビューの部屋にいても、

二人は全然楽しそうじゃない。

だって、もう別れるって決まったから。

 

この旅行は、まだ二人が仲の良い時に計画していたのかもしれません。

年明けか、春頃に予約していたのねきっと。

男性は、ちょっと頑張って高級リゾートホテルを予約したんじゃないかなぁ。

 

部屋の窓から並んで海を見てみると、

空は晴れております。

晴れてはいますが「低く晴れている」んですって。

変なの。

普通晴れているときは空は高く見えるものなんでしょうに。

 

雲があるんですね、低い位置に。

元々ひとつだった雲が、二つに千切れているのを見て

愛想笑いをしながら「まるで明日からの二人ね」ですって。

彼女は冷めきってますねぇ。

 

いつもだと瞳をキラキラさせながら話す彼女が、

ほおづえついてしまっています。

そんなタイプの女性じゃないのに、

よっぽど彼と一緒の時間を持て余している感じ。

 

だったらなぜ一緒に旅行に行くんだヨォ。

旅行に行く前に別れてあげれば良いじゃないのよ。

きっとこの女性、高級リゾートには一度行ってみたかったのよ。

どうせ旅行代は彼持ちだから、

別れる前にちょっと行ってみるか、と思ったけど

「あー。別れる人と一緒にいても退屈なだけだったワ」

なんて、図太い。

ひどいオンナだなぁ。

 

それに比べて彼の気弱なことよ。

 

この歌詞は主語が省かれています。

大体は男性の気持ちが描かれているのだけど、

ところどころ女性が主語の部分があり、

ちょっと混乱しちゃうけど、

考えながらじっくり読んでみれば

「ふいに軽いめまい」に襲われているのは彼ですよね。

きっと旅行に出かける前から気持ちがすれ違っていると

薄々感じていたのに、場所が変われば二人の関係も改善するんじゃないかと、

甘いことを考えていたのだわ。

だけど、彼女の気持ちは冷めているのを思い知らされ、めまい。

ことここに至っても冗談よって耳もとで囁いてくれたらなぁ、

なんて思っています。

そして付き合い始めた頃から順番に思い起こして、

切なくなっております。

 

そして言うの。

「悲しいのは今夜だけ。

 明日になったら忘れられるさ」

潔いけど、彼はきっと涙目よね。

 

それにしても手のひらにこぼした ため息が、

風に消えたとか、星になったとか、

この彼は随分メルヘンチックな人ですね。

もしかしたら彼女が愛想を尽かしたのは、

そのあたりに原因があったのかもしれない。

 

 

先ほど、この歌詞には主語がなさすぎて、

どちらの行為なのか考えないとダメ、と書きましたが、

それ以外にも、日本語として表現が足りないと思う部分が多数。

 

そもそも

「今夜だけきっと悲しいの」

悲しいのはきっと今夜だけ、という意味だとしたら

「きっと」の場所が変だと思う。

 

「あいそわらいの君 この胸つき落とす」も。

僕の胸(心)を絶望につき落とす、くらいの意味でしょ?

オーシャンビューのホテルのベランダから、

薄笑いを浮かべた女性が、

男性を突き落とすシーンを思い浮かべちゃうじゃないの。

 

「いつもなら君のひとみ 話好きで

 ほおづえつくよな タイプじゃないくせに」

も、なんとなく主体がずれている気がする。

 

しかし根本さんの声できく出だしの

「今夜だけきっと 悲しいの♬」は、

そういう細かい部分を全てうっちゃり、

土俵の外に投げ飛ばすくらいのインパクトがあります。

 

結局、この部分だけが印象に残るんです。

それが良いことか、悪いことかはわかりませんが。

 

 

ところで、同じ別れの予感に苛まれていても、

以前深掘りした杉山清貴&オメガトライブの

『ガラスのPALM TREE』や『SUMMER SUSPITION』の主人公と、

全然違いますね。

杉山清貴さんの爽やかな声で中和されていたけれど、

あちらの男性はネクラで(死語?)しつこかったわ。

 

同じ別れるんだったら『今夜だけきっと』の男性の方がいいなぁ。

 

 

それではYouTubeでお聞きください。

アップ主様ありがとうございます。

今夜だけきっと/スターダストレビュー

 

もし時間がおありでしたら、対極のしつこい男性の深掘りも

読んでくださいまし。

昭和歌謡あれこれ Vol.36 杉山清貴&オメガトライブ『ガラスのPALM TREE』

 

昭和歌謡あれこれ Vol.66 杉山清貴&オメガトライブ『SUMMER SUSPICION』

 

 

 

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