サピを倒すには(サピ以外の塾の心得) | お受験ブルーズ

お受験ブルーズ

現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「Allegiance Reign」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 先日の記事(https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12572674835.html)では、さもサピックスが最強で他塾では勝てないのような書き方に見えたかもしれませんね。今日は、他塾の方が気を付けるべき、具体的な上位への行き方と心構えを、参考までに書いてみたいと思います。

 

 先に申し上げておきたいのは、これだけ優秀な子の頭数が増えると、結構中堅にも雪崩式に優秀な子が多くなっている、という事実です。これは、以前より中堅校でも大丈夫な側面があると思っていて下さい。

 

 これは、中高6年というのが、不安定な時期(何が起こるかわからない)であることを考えると、しっかり地に足のついた勉強が6年間できれば、仮に中堅校しか受からなかったとしても、いくらでもその後で逆転要素があることを意味します。

 

 名門校にたとえ受かっても、勉強しなくなったり、読書しなくなったりする子も多いです。そういう子には、中堅校でも頑張っていれば簡単に勝てます。

 また、カリキュラムも差はほぼなく、優秀な友達も、10年前に比べれば多いことでしょう。そういう友達も、第1志望に落ちたくやしさなどをもっていたりして、分かち合えると、これは、何が起こるか大学受験ではわかりません。

 

 大事は、大学受験です。大学の学歴の方が大事に決まっていますので、親御さんは自身の健康に気遣いながら、長い目で中学受験を見て欲しいと思います。

 

 では、大手の他塾ごとに「サピに並ぶため」の方策を書いてみたいと思います。逆に以下のことさえ気を付けていれば、サピ以外でサピに勝つことも可能です。また、「並ぶこと」が大事であり、大勝ちしたり出し抜くことまで考える必要はあまりありません。志望校に五分五分の状況を作ることが、まずは大事です。

 

 ま、最近に増えた膨大なコンサルなどの影響もあり、実地でけっこうな数の経験できています。そのへんのネット記事や雑誌記事より、的確なことが書けていると思いますので、長くなりますが、サピの方もそうでない方も読んでみていただければと思います。

 

 同業者の方には、パクッていただいて大いに結構です。中学受験事情が良くなっていけば幸いです。また、グノーブルは、ほぼサピと同等に扱います。

 

 

・日能研ー大手で最もカリキュラムの変更がないが、堅実なカリキュラム

 ……まずは、地方にお住みの方がもっとも多く見かけるであろう日能研からです。全国系と地方系に校舎がわかれているのですが、長所短所はそんなに変わりません。

 

 日能研の特徴は30年以上変更がないカリキュラムが多いことです。その分、地方では良いものの、サピが中心となった関東の中学受験では時代遅れな部分が出てきています。無理がない親切なカリキュラムは、個人的には好きなのですが、漫然とやるとサピの子に勝ちにくい状況になっています。

 

 大手の中では最も教科書の情報量が少ない反面(あんなに分厚いのに)、特に算数では段階が丁寧で、普通にやっても落ちこぼれることはまずありません。また、6年からまた復習課程も丁寧で、クラス分けも少なく(まああって2から3クラス)、親御さんには負担の少ない安心なカリキュラムとなっています。

 

 日能研でそんなに進学実勢が落ちないのは、上位の子を○○特訓、という形で引き上げる方式をとっているからです。○○特訓(関西なら灘特訓など、小4、小5からあるはず)、のカリキュラムはバランスもよく素晴らしいのですが、そこに入れなかった子は、うまく上がっていけないことになります。

 サピは、この難度のものをひとまず全員に渡していて、○○特訓という形でのカリキュラムの区別が小さい(小6からはありますが、差は小さい)、ということが言え、その分、優秀な子の頭数が多いのです。

 

 また、注意点としては、「メモリーチェック」を小6の8月からやる、という点です。これは関東以外ではまあいいのですが、関東では勝てません。メモリーチェックというのは、完成度は高いのですが、所詮はチェック教材であり書いていない事項も多いです。それだけで大きく学力が伸びるものではありません。

 

 これを校舎によっては、3周させ(2周はデフォ)、提出まであるのでやらざるをえない、というのが、サピとの決定的な差になります。

 御三家を狙うような子には、時間の空費になります。サピのコアプラスの方が、情報量が多く、チェック(所詮はチェックであることも注意)にしても量が多いのです。

 

 まず、上位を狙うならば、スタートをGWか7月前半にし、とっととメモチェを終わらせて、四谷の4科のまとめなどにシフトした方が良いでしょう。メモリーチェックのワンレベル上版を創れば(同レベルのものや、ややレベルの低いものはいろんな種類があるが、所詮はどれも二番煎じ)、かなり今の関東なら売れると思うので、やってほしいですね(笑)

 

 また、過去問ですが、やたら丁寧な「直し」を要求してくる校舎が多いです。これも気になっています。

 サピでも直しセットでの過去問提出を要求する先生は多いのですが、意外に「出さなくても」平気です。上位の子は、ちまちま直しなどさせるより、その時間も問題演習に使った方が良いです。特に、国語の直しで多くの時間を使い、後半に学力が伸びない子を多く見ています。

 

 基本は育成テストでしっかり7割くらいをとれるような勉強をしていけば、小6の後半に追いつくことができます。公開模試ではやや難度が平易なので、上位狙いの方は小6の7月と9月以降にサピのオープン模試を受けるのも良いと思います。

 が、対応はしにくいので、悪かったとしても落ち込まないようにしましょう。問題の「感じ」に触れるだけで十分です。

 

 

・四谷系(予習シリーズを使っている)塾ー難度はサピとそんなにかわらないが、落ちこぼれやすさもサピと変わらない

 ……数年前の予習シリーズの改訂で、実はレベルにおいてはサピとそんなに変わらなくなりました。公民をやるタイミングが、四谷の合不合にあわせて性急になり、小6開始時に慌ただしい側面があるものの、レベル自体は、最高難度のものまでやれば、さほど変わりません。

 

 ただ、改訂後は、例題をやっていても急に難易度が跳ね上がることが多くなり、普通にやっているとわからないものがたまって、落ちこぼれる感じになりやすくなりました。まあ、類題を付けたのは使いやすくはなったのですが、サピと同じ欠点(例題の解答をみても、子供だけでは理解ができない)を持つようになりました。

 

 教科書が分冊化され、応用、基礎などができたのですが、応用は異常がつくくらいに難しく、まず大人のフォローがないと厳しいです。サピのレベルを超えたものも結構多いです。やれば勝てるとは思いますが、なかなかしんどいと思いますので、小6までは「標準の予習シリーズ(普通のやつ)」をしっかりやるようにするのが良いでしょう。

 

 社会が全塾の中でもっとも早い進度で進む(グノーブルを除くw)ので、公民がやっつけになり、定着が薄いのも気になりますが、そんなに苦にはならないはずです。

 そこで仮に身につかなくても、四谷には最強の総合復習教材「4科のまとめ」があり、そこで夏から復習が可能です。

 

 現行では、この4科のまとめが、その辺のチェック教材よりは出来がよく、カラーにもなって勉強しやすいです。ただ、算数は、現状では上位を目指すうえでは抜け(パターン数が少ない、中堅用なら十分)が多いので、東京出版の「ステップアップ演習」「プラスワン問題集」で代用したほうが良いでしょう。

 

 4科のまとめを、「夏以降」に3周できれば、大抵の良い学校に受かります。(ま、3周できる子は少ないですが)

 

 基本は、小6以降の合不合模試を基準にしていきましょう。御三家レベルの方は、サピの「○○模試(開成模試など、名前ありのやつ)」を受けると、直接のライバルと戦えて、いろいろと学べることでしょう。

 

 サピックスオープンを受けるなら、5年のものがよく(5年の方が難しいのでw)、6年以降は受けるなら「○○オープン(上記と同様)」が良いでしょう。

 

 YTの受講はやっていると、ペースはつかみやすいですが、値段に見合う効果がやや薄い印象です。小6夏以降は、どちらでも良いでしょう。

 全国統一小学生テストも、ま、難易度的に小4以降の中学受験生は時間の無駄感が大きいですが、どちらでも良いですかね。6年で受ける必要はないでしょう。(四谷直系では強制)

 

 

・新演習シリーズを使っている塾(栄光ゼミナール、各個人塾など)ー教材の完成度は他塾と同等。勝手に自粛せず、全部やってみる気概をもつべき

 ……栄光ゼミナールの開発部が作っている新演習シリーズですが、かつては四谷と同じような進度でかつ、類題が丁寧で使いやすいのが売りの教科書でした。今は、四谷の方が改訂してしまったので、やや進度などでずれてしまった部分があります。

 

 基本的には、練習問題まで全部隅から隅までやって、やっとサピの真ん中らへん、という印象です。落ちこぼれにはなりにくいので、計算日記などをしっかりやって、まずは標準の習得を目指し、小6以降は、プラスで東京出版系の算数教材(ステップアップ演習、プラスワン問題集→雑誌中学への算数)をやっておくことが必要です。

 

 宿題チェックが甘いところが多いので、宿題をさぼりはじめると、簡単にこの辺は落ちこぼれていきます。まずは宿題ですね。

 

 また、夏以降にするコンプリーションシリーズは、偏差値50までの子には最適な教材ですが、トップを目指す子には、遊びみたいなもんです。メモリーチェックよりは、身につきやすい印象ですが、これもとっとと8月上旬くらいで終わらせて、4科のまとめに移行し、終わるころ(10月くらい)には算数も雑誌の中学への算数を数か月分こなしている、という形が作れれば、御三家でも戦えます。

 

 おそらく、普通の教材でも「きつい」と思っている方が大半だと思いますが、サピはその10倍くらいのきつさです。まずは、毎週の確認テストを裏表完璧にしていけば、中堅校でも良いところには行けるので、まずは安心な状況をつくり、余裕ができたら上位を狙う、で良いと思います。

 

 上位狙いの方は、首都圏模試より、合不合模試を受けていきましょう。

 

 

・他のオリジナル教材系の個人系の塾(ジーニアス、エルカミノ、市進など)

 ……あまりこのブログでは書いていませんが、僕はこっそり中野などにある『ジーニアス』を評価しています。先生方の世話焼き具合や算数の段階の踏み方など、非情に丁寧かつ合理的で小4で比をやるのも関西の人間としては、わかる部分があります。

 

 ただ、ここに限らず、どの個人系の塾も若干、サピが中心になった中学受験に押されつつあると思います。これの原因も僕はいろんな塾や進学校のやり方を見てきているので比較検討ができ、見えている部分があります。そのうえでの見解を述べさせていただきます。

 

 一言でいうと、時代遅れ、なのです。サピの隆盛で関東の受験事情はかなり変わってきているのですが、ベテランの先生ほど、四谷中心時代、日能研中心時代の感覚のままなのです。

 また、大学受験事情も変わっていて、そこから逆算してものを考えないと見えないことが多いと思います。

 そこらへんを、僕が完璧にできている、とは言えないのですが、まあ、自分よりわかっていない方に対しては、「わかってないな」、とはっきりわかります。

 

 今は、中堅層の子でも、できれば中学への算数などでハイレベル教材に触れさせて、能力を開発して、上位生の数自体を増やして勝負するべき時代です。

 現状レベルが低い子がいたとしても、こいつはどうしようもない、と決めつけず、たまにハイレベルなものに触れさせたほうが良いと思います。

 

 難しい問題でも、大人がちゃんと解説すれば、意外に子供たちはできるようになるし、そこから上位生も生まれることもよくあります。これを日常的にやっているのがサピックスの強さです。

 

 その分、準備ができずに落ちこぼれていく子が半分以上でそれを引き上げる仕組みがない、のがサピのダメなところでもあるわけです。そこは個人塾であれば、その落ちこぼれ率を限りなくゼロに近づけられるし、そちらに舵をとらないと生き残ってはいけないと思います。(学力崩壊まで行った子のフォローのしんどさは、僕もわかる部分があり、想像を絶しますが)

 

 これらの個人塾でも、秋以降にやたら標準レベルのものばかりをやって、応用をしない、考えさせることしない、パターンのカリキュラムをする傾向があります。上位生はそれだけでは勝てません。

 

 しっかり考えさせる問題(できれば論述も)に数多く触れさせることが大切です。

 つまりは、東京出版の中学への算数くらいのものを5割くらいの子にさせることが大事でしょう。でないと、御三家レベルのサピックスの子には勝てません。

 

 個人塾の先生方には、そういう良問を独自で編集したりする気概が欲しいところです。それを上位生だけでなく、中堅の子にも触れさせるチャンスを与えるべきでしょう。

 

 また、概して理社が弱い傾向になりますので、4科のまとめなどでフォローしておきましょう。

 

 

<総括として>

 また、サピでは式を書く、図を書くことが定着しにくいです。より効率的に点数をとろうとするあまり、視野がせまくなり、式を書かなくなる→応用力は伸びにくい、というパターンがあります。これがサピの7割くらいの子に見られます。

 それでも膨大なハイレベル演習量なので、そこそこ勝ててしまいます。大学受験の想定もすると、良いことではありません。

 

 だからこそ、他塾では、逆に式や図の徹底化を図り、ハイレベルのものに触れさせれば、勝つ可能性ができるはずです。

 関西の塾では依然としてそのような塾が多く、「数学の関西」(と昔から言われている)という現状は、まだ厳然としてあります。これは、式と図の徹底、はじめての問題でも考えさせる土壌がある、のが要因の一つであろうと思います。

 

 また、100字から200字の文章を毎週書かせる経験が中学受験生にはあった方が良いのですが、これが、サピではほぼできません(ちょっとやってます)。

 そこをあえてやると、サピとの差別化が図れ、突破口があると思います。(サピがこれをやってきたら、もう勝ち目なくなりますがw まあ構造的に無理だし、やる必要もないでしょう。やってもポーズにしかならない)

 

 

 ということで、この情報過多の時代では、どこの塾でも勝てますし、最近ではデジタルアーカイブで塾なしでも上位に食い込む子が出てきています。

 N高から東大生がでたことからも、集団授業の重要度が薄れ、個人で勉強する、個人で頑張って結果を出す、僕らはそれをサポートする、という時代にシフトしてくることでしょう。

 

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

リブログ、リンク、引用等は基本自由です。もちろん、一報いただけると助かりますが、特におしらせいただかなくても大丈夫です。

 

スーパーコンサル2020、今年も受け付けております。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。もちろん、2度目3度目の方も歓迎です。ご希望の方は、下記記事を参照の上、メールをください。(読んでない方が多いです。一度はぜひお読みください)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12446458308.html

メールアドレス、hasetomo2009☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)

 

また、小6から定期指導(月2または月4)をご希望の方は、早めにその旨お伝えください。できれば、新学年前に一度コンサルなどで課題点や学習計画などを相談したほうがうまくいきやすいです。家庭教師の方は下記をご参照ください。(2019年現在、毎週の指導は厳しい状況です)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12514934840.html

 

足軽割引き(僕のバンドのライブに来てくれた方やバンド関係者の優遇)を行っています。数回ライブに来ていただければ、誰でも関係者になれます(笑) 下記記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12528522329.html

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしている場合もありますので、返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、茨城、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

お勉強BLOGЯanK お受験ブルーズ-ランキング1 お受験ブルーズ-ランキング2にほんブログ村 教育ブログ 家庭教師へ
にほんブログ村   ←たまにクリックしてもらえるとうれしいです