『法律学習Q&A』

著者:横田 明美 ,小谷 昌子,堀田 周吾

発行所:有斐閣

発行:2019年03月25日初版

法学学習Q&A | 有斐閣 立ち読みあり

>大学で法学の授業を受けるけれど,これから何をしたらいいの? という学生の疑問に,3人の先生とろけっとぽっぽーが答えます。勉強のコツを知りたい人にも,もっと力を伸ばしたい人にも役立つQ&A集。先生たちが実際に学生の生の質問に答えた「特別ゼミ」も必見!

学び方の「答え」は一つではない――【自著を語る】『法学学習Q&A』を貫くコンセプト | レビュー | Book Bang -ブックバン-

 

 大学生向けだけれど、役に立つところがあるかなと読んでみた。デザイン・視認性良し合格、読みやすい。

 法学学習の「推し本」紹介が充実していてとても良い。入門書から隣接領域までかなり幅広い分野を網羅。

 結論。おススメ!!!ラブラブ

 

 twitter発、雑誌付録経由というだけだって、とても現場目線。

 Part3の法学学習ゼミ、「ノートのとり方」って大学生でそんなに悩むようなものなの…?とびっくり。本当に勉強に不慣れな人に向けても細かくアイデアやtipsがたくさん。

 

 著者Twitter

 ⇒横田明美 Akemi YOKOTA

 ⇒まずい職人 お名前は違うけれど、小谷昌子さんのアカウントかな…?

 ⇒堀田周吾

 

 

 推し本の中から、読む予定の本を。『うつヌケ』があるのはびっくりした。

[新版]法学の世界|日本評論社 

 

法律学習マニュアル第4版 | 有斐閣 

 

映画のなかの医事法学・plus ―医療・福祉・生命倫理+人生・青春・恋愛・アニメ 直接リンクが貼れないので検索から。(フレーム方式なのはわざと…?)内容的にはどストライクだけど、さてどこまで踏み込んでいるか。風の谷のナウシカ、ルパン三世カリオストロの城、千と千尋の神隠しなど有名どころのアニメもあり。

『法とは何か 新版』

著者:渡辺 洋三

発行所:岩波書店

発行:1998年2月20日

法とは何か 新版 - 岩波書店

>現代社会の法の体系とはどのようなものか.私たちの生活とどう関わり,どのような影響を及ぼしているのか.著者は,長く読みつがれてきた『法とは何か』(1979年刊)を構想もあらたに全面改訂,社会生活のなかの法など,データを一新するとともに,あらたに人権また国際法の分野をくわえて,現代社会人のための法学入門として提示する.

 

Ⅰ 法とは何か 
Ⅱ 法の歴史的変動──欧米型と日本型
Ⅲ 現代日本の法システム
Ⅳ 国家統治の法と国民の権利
Ⅴ 国家と人権
Ⅵ 法の解釈と裁判
Ⅶ 国際法と国内法のはざまで

 

 法律入門書的な読み物。中高生くらいでも読めるけれど、社会人の方がすっと入ってきやすいかな。具体的な事例を挙げつつ、社会における法律というものの成り立ちや意味を解説していくスタイル。ただ、勉学としての「法学」入門としては微妙。著者の個人的な意見も前面に出ている。岩波新書だし、まあお手軽に法律モノの本を乱読するのに一冊入れるならいい感じ。参考文献の記載はほぼ無し。

 

 

 

『伊藤真の法学入門[補訂版]』

著者:伊藤 真

発行所:日本評論社

発行:2017年2月25日第1版補訂版

 

第1編第2章:法と規範

 第5編を読んでから戻ってきました。

 「権力による強制力」にやたらと嫌悪感を示す人たちがいます。その内容がどういった方法によって成立したかとかいう経緯や理由には一切興味がなく、ただ「俺がやりたいことをやりたいようにやれない」ことに対して反発する。病院でも、病気に対して生活指導をするだけで怒ったり、入院中に病棟の規則を守れなくて好き放題する人たちがいます。実際は医療側には何の法的な権力もないので嫌なら病院を受診しなければいいのですが、ルールには従えないが自分の健康は守れ、何かあったら訴えてやるぞ!と息巻く方たちも少なくありません。コロナ禍なのでマスクをしてくれと頼んでも拒否したり、自分の快・不快のみが判断基準で、他人に害を及ぼす可能性については一切考慮しない人たちもいます。人々の健康を守るために働いている我々とは全く異なった価値基準の人たちです。そういった方々にも当然に医療を受ける権利はあり、どう対応していくか悩むところです。

p9:「医師は~(中略)普通の医療行為ならばあまり迷うことはない」いえ、迷うこと多々ありますよ。「治療するくらいなら死んでもいい」という方はよくいらっしゃいますし、でもそういう方々も“どのように死ぬか”具体的な想定までしていないので、やはりある程度は説得しないといけない。本人が治療を拒否していて必死に説得しても無駄で、結局その病気で亡くなったりした時、訴えられることもある。「どこまで治療するか」「回復の見込みがない時にも救命処置や延命治療を行うか」などは特に高齢者の入院患者(実際は家族と相談することがほとんど。本来は本人の意思を確認しなければいけないのですが、これがまた種々の問題で難しい)は全員にDNARの確認を取ることになります(これについてはここで簡単に語れることではないので別の機会に)。医療における選択肢が増えただけに、実際の現場では多様な価値観や生き方と向かい合うことになります。「医師会や学界の(中略)除名処分のように不利益を受けるかもしれません」、いや、そんな生ぬるいものではなくて、患者や家族に訴えられまくります。医療的には標準的なものを提供して明らかなミスはなく、どう考えても避けることは難しい、そもそも原因は病気そのものであったりしても、ルールに従っていても、訴えられます。民事事件だけではなく刑事事件にもなり、それは同業者の目からみても、たとえ自分が患者や家族だったしても「それはどうしようもないことだ」「それが訴えられるのであれば医療など行えない」レベルであっても訴えられます。金銭的なことは保険で賄えても、患者さんのために頑張って行ったことで訴えられるという心理的負担はとてつもなく重いです。そうして産婦人科医はいなくなり、救急も消滅していくのです。……医療に関しては思うことが多々ありすぎてとっ散らかってきたのでこの辺で。実際に色んな層の方々と接する仕事であると、利益と不利益を天秤にかける、なぜルールに従わなければいけないか、ということを思索するという“発想”すらない方々の対応を日々行うことになります。

 

p13:カントはあのカントだろうけれど、トマジウスって誰…。そしてどの文献にそのことが載っているのか注釈がなくて困る。自分で調べる力をつけろということなのだろうか。

クリスティアン・トマジウス - Wikipedia 法学者だからこの人かな?とりあえず代表作を読むかと思ったけど、著作物305点!

>トマジウスは、参照した他の著作家たちの名前をほとんど挙げず、かつ、引用文であってもそのことをなるべく明記しないという大胆な手法を採った

 文献を載せないのはこの流れだったりする?たぶん違うだろうけど。

『ボワソナードと近世自然法論における所有権論 ――所有者が二重売りをした場合に関するグロチウス、プーフェンドルフ、トマジウスおよびヴォルフの学説史』 出雲 孝 / 国際書院

 代表作っぽい『神法学提要』(1688)は見当たらず、取り扱っているものも現在すぐに入手可能なのはこれくらい。父親ヤーコプ・トマジウスが有名な哲学者らしくそちらもちょくちょく出てくる。初心者は文献を探すのも大変なのだから載せてくださいお願いします。入手不可能でも国会図書館とかで探します。

【史料】トマジウス『魔女罪論』(1701年) - 比較ジェンダー史研究会 

成瀬 治著『伝統と啓蒙-近世ドイツの思想と宗教-』 - J-Stage

 

イマヌエル・カント - Wikipedia Wikipediaさんは情報が不正確なことも多々あるけれど、各種資料へ繋がるための取っ掛かりとして重宝してます。カントは山ほど解説本も出てるから、また近いうちに片っ端から読むとしますか。

筑摩書房 カント入門 / 石川 文康 著 まずは最初に入門本から。こういう類は中高生の頃に山ほど読んだけれど、社会人になった今読むと受け取るものや考えることがかなり違うと思う。

筑摩書房 カントはこう考えた ─人はなぜ「なぜ」と問うのか / 石川 文康 著 上記と同じ著者・出版社。

>カントの根源的な問いとは何だったのか。『純粋理性批判』の核心を読み解き、「理性」の起死回生ドラマをわかりやすく解き明かす画期的入門書。

 

純粋理性批判 (上) - 岩波書店

カント 実践理性批判 - 岩波書店

判断力批判 (上) - 岩波書店 

 そして基本のこの三著。西洋の文学全集や哲学全集とか、内容よりも翻訳が読みづらくて、活字中毒の私でも途中で断念したことがある。こればっかりは読み比べてみるしかない。あと、古い全集はあの独特の紙が苦手でした。たぶんこれらも読んだことがある筈だけど、当時はさらっと表面しか追えていなかったと思う。

 

100分de名著 カント『純粋理性批判』 2020年6月 | NHK出版 ハイデガー『存在と時間』で知ったNHKのシリーズ。

名著98「純粋理性批判」:100分 de 名著 

 

カント・哲学早わかり | Philosophy Guides 参考になったブログ。他の記事も読んでみたい。

 

 字数制限で引っ掛かるので一旦切ります。 やっぱりまだ数ページしか進んでいない。

『伊藤真の法学入門[補訂版]』

著者:伊藤 真

発行所:日本評論社

発行:2017年2月25日第1版補訂版

 

第1編:法を学ぶことの意義

 やっと本編へ。である(sein)、ドイツ語か、懐かしい。ハイデガーの『存在と時間(Sein und Zeit)』、昔読んでるはずだけど今ならまた違うだろうから近いうちに。

筑摩書房 存在と時間 (上) / M・ハイデッガー 著, 細谷 貞雄 著 ちくまさんも懐かしい~!

存在と時間 (一) - 岩波書店 岩波のこれは読んでない!面白そう!表紙も好み。2013年刊行。

>生まれでる思考の彩りをも伝える正確な訳文に,注解・訳注,さらに全体を見通す梗概を付した,画期的な新訳.(全四冊)

名著118「存在と時間」ハイデガー - 100分de名著 - NHK NHKのこれも面白そう。

 ……こうやって寄り道しているからいつまで経っても進まないんですね。積ん読状態の哲学書もむしゃむしゃしたい。

 「である(sein)」と「こうあるべき(sollen)」をごっちゃにして議論する方をお見掛けする。社会のあらゆる問題では両方の問題を検討することが必要だけれど、お気持ちをのみ前面に出して普遍的な法則を丸っと無視するのはいただけない。

 法哲学における「存在と当為」論、中々に面白そう。色々文献を当たってみたい。

「存在と 当為」 再 考 - -論理的な観点から一 

存在命題」と「当為命題」との、即ち - J-Stage  

 ⇒命令論理 - Wikipedia ヨルゲンセンのジレンマ 

 ⇒高橋 文彦 (Fumihiko TAKAHASHI) - マイポータル - researchmap たぶんこの方かな?

「存在」 と 「当為」の間隙につい て - J-Stage  

新版 法哲学概論[オンデマンド版] <全訂第2版補正版> | 弘文堂 上記の参照文献、これも読んでみたい。全訂第2版補正版2刷が2003年4月出ている。オンデマンド書籍あり。

 

法哲学 | 有斐閣 有斐閣アルマだから読みやすそう。他のシリーズも全部読みたい。

 

法哲学 | 有斐閣 こちらも安心の有斐閣。初心者向け教科書で面白そう。これも読む。

>「わかりやすく,おもしろい教科書」--謳うのは簡単,でもそれがいちばん難しい--だからこそ,挑戦しました。「そうか!」という瞬間が本書には必ずあります。なぜならあなたと一緒に徹底的に考えるから。わからないことほど楽しい,そんな知の世界へ飛び込みましょう。

 

『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』(住吉 雅美):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部 芸能人推薦という時点で一気に読む気をなくしてそれでも一応試し読みを開いてみたら縦書きだったので、まあ図書館とかで機会があれば。

 

 ……あの、なんか、際限なく本が増えていきそうなんですが。本編3ページ進んだだけでこれ。

 EBMゴリゴリの世界で仕事しているけれど、実際は多様な価値観と生活の人々が患者さんなわけで、なので色んな価値観を知りたくてSNSやら生の声がそこら中に開示されているネットは非常に勉強になるのです。法律は人間のあれこれが凝縮されたとっても生々しいものだと思っているのだけれど、どうやら世間のイメージは「堅苦しい」の方が多いのかな。なぜ法律を学ぶのか分からない人にもまずこの本はおススメ。

>勉強方法については第5編第1章をみてください。

 はーい、了解です、飛びます!

『伊藤真の法学入門[補訂版]』

著者:伊藤 真

発行所:日本評論社

発行:2017年2月25日第1版補訂版

伊藤真の法学入門[補訂版]|日本評論社

>2010年刊行以降、初学者、資格試験受験者から確実に法学の核心が理解できると高い支持を得ている入門書が法改正などに対応して補訂。

 皆さんご存知、伊藤真の入門シリーズ。行政書士の勉強をしていて、資格用のテキストでは法学の基本が身に着かず、以前に『伊藤真の民法入門』を愛読していたのと、Amazonの「法学」ジャンルで売れ筋ランキング上位だったので早速購入。

 

pi:>法学の学習というと、条文を覚えることをイメージしがちですが

 法律の勉強をしているとこの類の文言をよく見掛けて謎なんだけれど、学校の勉強の延長で「暗記科目」に対する嫌悪イメージがあるのかな。法律って生ものなので「なんでこの法律ができたんだろう」って考えたらおのずとその法律が活きてくる場面が浮かんでくるし、条文の細かいところはその都度六法で確認すればいい気がするけれど(医療で実際にその病気の患者さんを担当した時にガイドラインを読むようなもの)、試験だと「暗記」せざるを得ないってことかな。専門医試験もテキスト持ち込みできないしね。法律の勉強は楽しい!!社会に生きているという実感!!世の中の解像度がぐんぐん上がる!!

pii:そう、市民への法教育。義務教育でもっと踏み込んで欲しい。憲法の暗唱はしたけれど、法律を実際に活かすための

piv:個人の尊重はとても大事、主体性も大事。但し、それが公衆衛生に関わることだったり科学分野だったりすると、基礎知識や考える力によって間違った方向へいってしまいがち。専門的な分野というのは圧倒的な勉強量と経験に裏付けられるので、素人さんの思い付きは往々にして現実と乖離する。コロナ禍でそれを如実に感じる。自信満々に根拠として出してきた論文やデータの読み方が間違っていることも多々目にする。その点法律は比較的入り口が広く、専門家でなくても学習を進めやすい気がする。そのためにはとにかく基礎!法律の考え方を身に着けること。資格書だけではそこが得られにくい。よってこの本を買いました。

 

pv:何の前触れもなく「フラー教授」とやらが出てきたので調べてみる。

ロン・フラー - Wikipedia ここに載ってる文献も一通り読んでみたい。

 ⇒法律・社会科学・人文を中心に書籍を出版-京都の法律文化社- 上記に出てきた文献の出版社、見慣れないところだったので一通りチェックしてみる。

ロン・フラーの法理論 - 東京大学社会科学研究所 検索で見つけた。東京大学社会科学研究所の刊行物『社会科学研究』の一部かな?きちんと引用・参考文献が示されている。これだよこれ!!!文章も平易でとても読みやすい。素晴らしい。

 ⇒東京大学社会科学研究所:刊行物一覧:『社会科学研究』 第64巻からはオンラインでの刊行に移行しているので、無料で全文が読める。凄い!!ありがとうございます!!面白いテーマが盛りだくさんなのでじっくり読んでみる。全部が読む価値あり。これだからネットサーフィンはやめられない。

 ⇒社会科学研究所図書室 | 東京大学 東京大学本郷キャンパス内の東京大学社会科学研究所3階にある。本郷三丁目駅から徒歩8分。

  ⇒利用案内(学外の方へ) | 社会科学研究所図書室 | 東京大学 学外者も利用可!!!閉架式なので事前に書誌事項、所蔵状況、貸出状況を東京大学OPACで確認する必要あり。

 

 遵法精神の低い人というのは、反社会的な性格のみならず、このページで述べられているような法律の成り立ちや意味を理解していないのではないかな。投票率の低さもそう。コロナ禍での反自粛や反マスクの一部も「なんだかよく分からないが、上から嫌なことを押し付けられた」という反発感が含まれている気がする。「なぜそれが必要なのか?」を突き詰めて考えた上で主体的に判断し行動を決定するのでなく、それより遥か前の地点で脊髄反射的に反応しているような。自らが社会の中でどこに位置し社会にどう影響を与えているのか、日頃から考えて行動しないタイプの人は一定数いる。コロナ禍でそういう層が思っていたよりずっと多いことに気付かされてしまった。意識高い系とかじゃなくて、社会の中でどう生きていくかを考えることは全ての人に必須など思っているのだけれど、そういった価値観を家庭や義務教育の中で得る機会がないのかもしれない。

 随所に著者の思想が入り込んでいるけれど、一説として読んだり思索のきっかけになるので面白い。

 

pvi:「コンプライアンス」は医療現場でも出てくることはあるけれど、「CSR」はあまり身近ではない。ある意味社会のインフラとして常に考え続けるものであるので一般企業とは意味合いが違ってくるのかもしれない。

第1章 企業のコンプライアンスと社会的責任(CSR) CSRの概要が掴みやすい。参考文献あり。

 ⇒調査研究成果|労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働政策研究報告書、調査シリーズ、資料シリーズ、労働政策レポート、ディスカッションペーパーなど各種研究成果・レポートあり。検索もできる。

CSR検定:サステナビリティとSDGs CSR検定なんていうのがあるんだ、初めて知った。 

>――それは企業・組織や一人ひとりの社会人を「強く」するためです。
>日本社会やビジネスは国際化・グローバル化の波に洗われています。激動する国際社会の中で多くの企業や組織が持続可能(サステナブル)になるために、「CSR検定」は、次のことを目指しています。

 

 本編に入る前に「はじめに」だけでだいぶ費やしてしまった。派生して知りたいことがどんどん増えていく。

 

伊藤真の民法入門[第7版]|日本評論社

 こちらも持っているのは古い版で、最新版は2020年4月施行の新民法の解説と新情報を織り込んで改訂しているので再購入予定。