チェックライドやり直し | プライベートジェット機長が見た「超」大富豪の投資の世界

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世界を動かす「超」大富豪の投資の世界とはどんな世界か?
大富豪の象徴であるプライベートジェットの機長として日本人で唯一、
世界最速で大富豪を生み出す国・中国でフライトをマネージする
Captain Kayが、日本では決して見ることができない世界へあなたをいざなう。

前回、国を出ることができないパイロットの定期訓練について書いたのであるが、私の場合、普段中国のライセンスでフライトをしており、現在中国におり、中国に訓練設備がある、というラッキーな状態であるためいつも通り中国にて定期訓練および審査(チェックライド.....以下「チェック」と呼ぶことにする)を行ってきた。

 

ところが今回、中国へきて初めてこのチェック、やり直しになってしまった。

理由はと言えば、チェック中にダイバート(代替空港へ着陸)したため時間切れとなり「もう一回やろうか?」ということなのだ。

 

プロのパイロットの方なら「シミュレーターチェックで普通、ダイバートはないでしょ?」って思うだろう。

私もそう思う(笑)。

なんせ時間食っちゃうからね。

 

ただ我々のチェック、(エアラインのように自社内の審査機長ではなく)毎回CAAC(中国の航空局)の審査官が来て行われる。だから「暗黙の了解」というルールが存在せず、建前を通さなくてはならないのだ。

(このあたりのニュアンス、パイロットの方々ならわかってくれるよね...............)

 

↓夜間飛行を模したシミュレーターってこんな感じだ

 

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今回、フライトコントロール関係の機材の故障とシステムデグレード(Flight Director故障つまりRaw Dataのみ)、夜間、および強い横風・低視程(CAT Iギリギリ)という天候での進入をしなくてはならないという状況だった。

できないわけではないがかなりチャレンジングな状況だ(PMのキャプテンも同じことを言っていた)。

ちなみに以前在籍していた日系の会社では、このような状況では社内規定によってこの進入はできない状況だった(つまりその空港への進入はあきらめて代替空港へ向かう、ということ)。

 

まあ、そのあたり、我々はPart 91 Operationであり、機長判断ということになる(結構、自由なのだ)。

 

ということで1回目に進入を試みた。

進入灯は見えたものの、進入が不安定になり着陸復行(ゴーアラウンド)を行う。

 

↓ホント、こんな感じだったからねー

(白い点々が進入灯)

 

これだけ不利な状況が重なるとさすがに危険だ。

と判断し、燃料が乏しくなる前にすぐにダイバートを決めた。

近くにある代替空港の天候を調べると、目的地より良好だ。

だったら危険を冒して目的地への着陸にこだわる必要はない。

ということで代替空港へダイバート(もちろん、機材故障は抱えたままだ)し、無事に着陸ということになった。

 

チェック終了後、審査官がなにやら電話で話をしている。

どうやらわが社のチーフパイロットと話をしていたらしい。

その後、

「あのゴーアラウンドとダイバートの判断はいい。無理にねじ込むような着陸はしてはいけないからね。ただ、時間切れになっちゃったからもう一回やろうか?」

 

ガーン!

 

まじか?

 

じゃあ、ダイバートしなきゃよかった.......(苦笑)

 

いわゆる「チェック・インコンプリート(imcomplete)」ってやつだな。

 

 

ということで次に審査官のスケジュールが空くのを2か月待って先日再度のチェックを行ってきた。

審査官曰く、あれだけ不利な状況での操縦技量が見たかったからもう一回、だったんだそうだ。

2回目のチェックはその操縦の部分と前回のチェックで行うことができなかった課目を行った。

無事、合格だったよ。

 

 

 

 

でもねえ............

 

ダイバートせずに無理してでもチェックを終わらせるべきだっただろうか?

それとも今回のようにやり直しをして、それでよかったのであろうか?

 

なんか今でもどちらがよかったのであろうかと考えている自分がいる。

 

 

 

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