【若紫86-3】古文単語「追風」☆
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、古文常識に絡めて意識する古語☆
【今回の源氏物語】
君の御追風いとことなれば、内の人々も心づかひすべかめり。
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今回出てきた古文単語
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■【君(きみ)】…源氏の君。光源氏
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御追風(おんおひかぜ)】…光源氏の動きにつれて辺りにただよう香のかおり
※【追風(おひかぜ)】…人の動きにつれて辺りにただよう香のかおり
■【いと】…とても
■【ことなれ】…ナリ活用形容動詞「ことなり」已然形
※【ことなり】…格別だ
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【内の人々】…家の中の人々
※【内(うち)】…なか
※【の】…連体修飾格の格助詞
※【人々】…人々。ここでは女房たちをさす
■【も】…強意の係助詞
■【心づかひ】…気遣い。他人などに気を遣うこと
■【す】……サ変動詞「す」終止形
■【べかめり】…~はずのようだ。~ようだ
※【べか】…推量の助動詞「べし」連体形撥音便無表記
※【めり】…推定の助動詞「めり」終止形
◇ 今回は「べかめり」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「追風」 ☆
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そらだきもの、いと心にくく薫り出で、名香の香など匂ひみちたるに、君の御追風いとことなれば、内の人々も心づかひすべかめり。
問)次の傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.光源氏が万事につけてすばらしくていらしゃるので、
2.光源氏の御威光が特にすばらしくていらっしゃるので、
3.光源氏が動くたびに漂う香のかおりが特にすぐれているので、
4.光源氏の通ったあとに漂う香のかおりがまことに異様なので、
5.光源氏の名は女房たちにも知れわたっているので、
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
「空薫(そらだき)」とは、
前回の重要古語にてお話ししたとおり、
「それとなく漂ってくる香り」のことですが、
ここでは、光源氏が来るということで、
南面に、「空薫物」を焚きしめて、
室内を、名香のいい薫りで満たしていたんですね。
そこへ、光源氏の「追風」が加わります。
古文で「匂ひ」というのは、
視覚的な美しさをさす場合がある、と
以前の記事で説明したことがありますが、
ここでは、明らか「嗅覚」の匂いですよねー!
そらだきもの、いと心にくく薫り出で、名香の香など匂ひみちたるに、君の御追風いとことなれば、内の人々も心づかひすべかめり。
「空薫物」「薫り出づ」「名香の香」「追風」
これらはすべて、嗅覚の【匂い】に関連する語。
こういうのを、
文脈から嗅ぎ分けていく力も
時には必要なんですよ!
【答え】…3
君の御追風いとことなれば、内の人々も心づかひすべかめり。
● 過去記事リンク
■いと
■ことなり
■人びと
■べかめり
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