あらすじ 

その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

 

感想 

「メッセージ」「ブレードランナー 2049」などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF叙事詩的小説の映画3部作の第二弾。

 

2作目を観終わるまで、1作目の評価もしづらい感じがあり、2作まとめて感想を残しておきます。

 

先にPART1から

公開当時Dolbyシネマにて鑑賞し、PART2公開に合わせて改めて配信で観直しました。

初回鑑賞時は若干長いようにも感じましたが、砂の惑星の世界観の説明を台詞だけでなく、映像と上手くリンクさせて、説明臭くならないように随所に工夫の跡が見られ、過去のデヴィッド・リンチ版を観ていなくても、小説を読んでいなくても、観やすいSF娯楽作品になっていて、長尺ながら許せる範疇かと思いました。

 

ロケーションやロケセットの壮大で美しい表現に見とれることもあり、場面が転々と変わっていくため、常に新鮮な驚きで飽きにくい構造になっていることも、最後まで観ていられる要因のようでもありました。

 

メカニカルなギミックは比較的現実よりで、幻の「ホドロフスキーのDUNE」のデザインの魅力には敵わないが、今の時代に見合ったものになっており、衣装などもコスプレ感はないに等しいのは、良いところでした。

 

初見で長く感じたのは、その情報量の多さも原因ではあるので、2時間強くらいに収まるとより良かったように感じました。

 

PART2

娯楽的に楽しめたPART1に比べて、PART2ではほぼ砂の惑星だけのお話となり、特に前半は地味な印象でした。

主人公が砂漠の民たちからの信頼を勝ち取り、予知夢や母親の宗教祖の力も借りつつ、敵軍に反旗を翻すまでのサクセスストーリーをリニアに見せていくのですが、その能力そのものが、砂漠の民にお墨付きを得られるほどのものなのかが、懐疑的に見えてしまい、あまり納得できる感覚は得られませんでした。

 

宗教や奇跡的な勝利、力による支配そのものが、欧米における植民地支配のような縮図として描かれているとも言えて、後に待ち受ける全面戦争に対しての責任や免責を感じる次回作まで観ることで、主人公の運命の先の暗闇まで見通せない現時点では、砂漠の民はバカ正直すぎるようにも見えてしまうし、主人公の成長も早すぎるように感じてしまいます。

 

リンチ版のようなダイジェスト映画にはなってはいないものの、心情や物語の重みを見せようとするSF娯楽とSF叙事詩のクラシカルな文脈のバランスの難しさを感じてしまい、少しどっちつかずの印象が残りました。

 

中盤のオースティン・バトラー演じる帝国側の跡取り息子の決闘シーンがモノクロシーンが今作のピークだったように感じました。

 

前述したように、3作目が無事製作されるなら、盛り上がる内容になると思いますし、胎児だった妹が、どのように活躍するのかも観てみたいとは思いますが、相変わらずの情報量の多さを処理しきれない場面も多く、主人公の呼び名が複数あることとか、上手く交通整理をして、完結編ができあがればより良い結果になるのではと思います。

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  あらすじ

東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出こやま・かどでと“おんたん”こと中川凰蘭なかがわ・おうらん
学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の事態を引き起こした
巨大な〈母艦〉が浮かんでいた。
非日常が日常に溶け込んでしまったある夜、仲良しクラスメイトに悲劇が起こる。
衝撃と哀しみに打ちのめされる二人。
そんな中、凰蘭は不思議な少年に出会い「君は誰?」と問いかけられる。
その途端、凰蘭の脳裏に、すっかり忘れていた門出との過去が一瞬にして蘇る――!

  感想

なんで今までアニメでやらないの?と思ってた浅野にいお原作の同名コミックの映画2部作の前章といいつつ、原作未見です。

 

3年前の8月31日に突如現れた巨大母艦の恐怖の中で女子高生ライフを送る小山門出と中川凰蘭のクラスメイトに悲劇が訪れる中、日常が脅かされていくというようなお話。

 

シナリオ大変良かったです。

女子高生の日常の中に影を落とす東京上空に現れた巨大母艦の存在。日常と非日常が混ざり合うブレンドに無理がなく、アニメだから表現できることに溢れていて、実写特撮とかにならなくて本当に良かったです。

 

原作の要素をかなり削ぎ落としていると想定するのですが、特に後半の小学生時代のパートからラストまでの流れ、漫画「イソベヤン」と異星人の関係から、登場人物のドロッとした奥底の感情が見えてくる描写に唸りました。

 

2ヶ月後の後章が公開されるというのも、印象が残ったまま続きが見られることの良さも感じます。

 

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あらすじ 

浅草フランス座演芸場東洋館(通称:東洋館)を活動拠点に、漫才協会に所属する芸人たちが連日舞台に立ち続けている。
事故で右腕を轢断し、舞台復帰に向けてリハビリに励んでいる大空遊平。39年間コンビとして活躍し、相方を亡くしてもなおピン芸人として舞台に立ち続けるホームランたにし。離婚後も同居を継続し、コンビで舞台に立ち続けるはまこ・テラこ。結成3年の若手コンビ・ドルフィンソングなど、幅広い世代の芸人たちの横顔をカメラが追う。さらにナイツの師匠でもあり、最後まで舞台に立ち続けることにこだわった漫才協会名誉会長・内海桂子への思いなど、漫才協会に集った芸人たちの過去、現在、そして未来が描かれる。

 

感想 

漫才コンビ・ナイツの塙宣之初監督作品。

自ら会長を務める漫才協会、活動拠点である浅草東洋館の舞台に立つ芸人たちにスポットを当てたドキュメンタリー映画です。

 

著名な芸人も登場しますが、主に舞台でしか見られない方や事情があって舞台を離れている方も多く、密着ドキュメンタリーらしい部分と、漫才協会そのものの歴史や活動、貴重な映像もあり、塙さんの人脈により加入された方のインタビューなどもあり、お笑いが好きな方にとっては見逃せない内容にはなっていました。

全体として、漫才協会や東洋館の舞台裏を知るという意味では明解で見やすい作品で、劇場に行きたくなるような魅力に溢れた作品だと感じましたが、個々のエピソードが雑多に詰め込まれた印象があり、YouTube動画の引用などもあって、1本の映画としてのまとまりはあまりよくないようにも感じました。

 

角川シネマ有楽町では、上映前に漫才協会所属の芸人による漫才が見られるイベントがあり、暖まった空気感の中で映画に入っていけたのは良い試みだと思いました。

 

 

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  あらすじ

抑圧的な恋人と婚約したばかりの主人公の女性・楓が、夜道で出会ったひとりの女から犬のように吠えられ、それ以来その女のことを忘れられなくなってしまう姿を描いた「犬」、とあるパーティに出かけた夫婦が、大勢の人々で賑わう会場で得体の知れない狂気に包まれていく「Rat Tat Tat」、湖のほとりで飲み会を楽しんでいた若者たちが、仲間のひとりが溺れかけたことをきっかけに水の呪いに飲み込まれていく「洗浄」、不慮の事故で友人を亡くした高校生・麻木の周囲でおかしな現象が起こりはじめる様子をつづった「VOID」の4作品で構成される。

 

  感想

不条理ホラー短編作品集。

短編ながら4作連続で観る体験は少し脳が疲れました。

短めに感想書きます。

 

全体的には、不条理な世界観をどのように映像に溶け込ませるかというところと、限られた時間内に消化できる内容になっているかが気になるところでした。

作品ごとの向き合い方は違いがありますが、短編であることで登場人物の境遇やその側面としての現状からの打破、変容としての切り取り方は良かったと思いました。

 

「犬」

婚約したばかりの女性が、夜道で出会ったひとりの女から犬のように吠えられ、その女性のことが忘れられなくなってしまうというお話。

 

またしても小川あんさん主演作。

抑圧された主人公の境遇と犬のように吠える女性からの影響を端的に描いていて、現実と非現実の曖昧さが精神的な不条理さを感じさせるところは良かったですが、主人公自身の抑圧環境描写はもっとあからさまに描けていれば、その落差で終盤の残酷さが際立ったと思いました。

 

「Rat Tat Tat」

あるパーティに出かけた夫婦が、大勢の人々で賑わう会場で得体の知れない狂気に巻き込まれるというお話。

 

正直あまり良くなかったです。集団圧力を描くのに、人間関係が分かりにくく、誰からの視線カメラなのか、どこまで映すべきかということが、恐怖に結びついていない感じが最後まで続いた印象でした。タイトル文字も凝りすぎていて読めないのもマイナスだと思います。

 

「洗浄」

湖のほとりで飲み会を楽しんでいた若者たちが、仲間のひとりが溺れかけたことをきっかけに水の呪いに飲み込まれていくというお話。

 

映像と音響が際だっていて、不条理ホラーというテーマには一番即していたと思いました。

主人公の女性の立ち位置が、グループから距離を置いている感じや、水や音響の際立たせ方が効果的で、短編としてのまとまりも良かったです。

 

「VOID」

不慮の事故で友人を亡くした高校生・麻木の周囲でおかしな現象が起こりはじめるお話。

 

友人の死に対して未整理な高校生の境遇と周囲の人たちの温度差という点においては明解だったと思いますし、不可解な死が学校で起こり続けることの不条理さは見応えがあったと思いましたが、周囲の大人たちの説明的な台詞は余計に感じて、学校内の事象や混乱やその違和感だけでも充分、その不条理さは伝わったように感じました。

 

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あらすじ 

日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男ボーは、つい先ほどまで電話で会話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想なのかも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。

 

感想 

「ミッドサマー」「ヘレディタリー 継承」のアリ・アスター監督最新作。

 

不安症の男ボーが離れて暮らす母親の怪死を知り、一刻も早く駆けつけるためにアパートを出るが、日常とは違う光景に苛まれ、行く先々で災難が降りかかるというお話。

 

過去2作よりも圧倒的に良かったです。

精神的ホラーが内包されていて、かなりダークなコメディというような味わいでした。

 

ボーが抱える不安や恐れというものを歪曲化した世界の旅そのものが観る側に対しての裏切りになっているものの、過去2作よりホラーから離れた分、母親という絶対的な立場を極端な設定ながら際立たせたことで、立場による見え方の違いが倒錯した世界を作り出していて、投げかけっぱなしになっていないところに好感が持てました。

ここから先、ネタバレを含む感想となります。

 

様々の映画のオマージュを含んでいる作品といえますが、大枠は現代的な「トゥルーマン・ショー」であるといえます。

映画そのものが、母親が牛耳っているらしい大企業の管理下にあり、映画ロゴから劇中内の製品パッケージ、ポスター、ニュース映像などなど、確信犯的な大胆さでダークな仕上がりになっていることが見事です。

 

あと、中盤のアニメ合成パートは、「オオカミの家」の監督2人が手がけており、こちらもダークな「オズの魔法使い」のようで、ボーの意識の飛躍混沌ぶりに拍車をかけている描写は素晴らしかったです。

 

弱い立場の人=性善説からの裏切りがあり、観る側の意識との乖離を引き起こすことで、アリ・アスター監督らしい気持ちの置き場の難しい映画とも言えますが、前述したように映画そのものが母親によってコントロールされた仕掛けであるとするなら、子育ての苦しみからくる愛情のねじれにも、意外と納得のいくお話と言えると思いました。

もちろん、ボーにとっては災難そのものでしたが。

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  あらすじ

合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が・・・。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?

 

  感想

『リンダ リンダ リンダ』『苦役列車』などの山下敦弘監督最新作。

原作未見ですが、聞いたところによると原作はBL色が強いようですが、映画自体はそんなことは感じさせず、コミック原作ながら不自然さは少なめな印象でした。

 

合唱部部長の岡聡実がヤクザの成田狂児にカラオケに誘われ、組のカラオケ大会で負けないようにレッスンを受けることになるというお話。

 

思っていたよりは面白く感じました。

ただ、合唱部部長で大会目前なのに、部活サボりすぎで、映画観る部のほうが魅力的に感じたり、変声期でボーイソプラノの声が出なくなることに、意外と冷静でドライなキャラクターなのが気になりましたが、まあ許せるレベルかと思いました。

 

どこまでが原作通りでどこからオリジナルかは分かりませんが、合唱部よりも、カラオケや映画のエピソードで中学生とヤクザとの関係性、交わりにくい要素を上手く結びつけていると感じましたし、X JAPANの「紅」の使いどころ、音楽映画的な見せ場も充分あって、観やすい映画になっていると感じたのと、映像で見せるところも多く、説明過多になりすぎていないのも好印象でした。

 

ただ、音楽映画としての熱さでは『リンダ リンダ リンダ』の方が上ですし、合唱部の変声期の男性性の苦悩を描く映画なら『独立少年合唱団』をおすすめします。

 

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  あらすじ

フォトグラファーを夢見る日和(古川琴音)は、派遣バイトで働きながら、 自分の写真をSNSにアップする日々。職場の上司ムツミ(新恵みどり)の パワハラにうんざりしながらも、先輩の栗井(大下美歩)と密かに 仕返しすることぐらいしかできず、何者かになりたい気持ちを持て余していた。 ある日、急な雷雨から逃れて忍び込んだ店で、 顔にピエロのようなメイクをした雨森(廣末哲万)と出会った日和。 思わずカメラを向けた彼の写真が思いがけずバズったことで、 このチャンスに賭けようと一念発起し、 街頭で風船を配るピエロ姿の雨森と再会する。 雨森を利用するために接近したはずなのに、 二人で過ごす自然体で穏やかな時間は、次第に日和の心をほぐしていく。 日和はいつしか雨森に惹かれている自分に気づくが、 彼の抱えるショッキングな秘密を打ち明けられ、 事態は予想外の方向へ転がっていく--。

 

  感想

映像ユニット「群青いろ」による新作が2作連続劇場公開されるとのことで、「雨降って、ジ・エンド。」の初日に鑑賞しました。

 

写真家を目指す日和が、顔にピエロのようなメイクをした雨森と出会い、瞬時にカメラで撮った写真がSNSでバズり、雨森を利用して投稿を続ける中で、深く交流していくうちに惹かれていくというお話。

 

変則的なラブストーリーに、「群青いろ」らしい、他者への不通、伝わらないパーソナルな心情をどのように解放していくかという要素が混ざり合い、観る人の立場によって、賛否の分かれる作品でありながら、重苦しいテーマを恋愛要素を通すことで、彼らなりの答えが示されていて、痛みを感じつつも開放感のあるラストは素敵だと思いました。

ここから先、ネタバレを含む感想となります。

 

「イット」を意識したピエロの影の部分、性的マイノリティ(小児性愛者)が生き続ける苦悩を昇華していくプロセスが、現実の残酷さと恋愛としての複雑な想いを交錯させていて、2人の関係性の中にある生き方の選択として、世間的な否定でも肯定でもないところに着地していることが、清々しく感じました。

 

主人公日和を演じた古川琴音さんと雨森役の廣末哲万さんの存在が際立っていて、それ以外の脇役の方々が記号的に見えてしまうことだけが、気になるところでしたが、前述したとおり、物語としての重くなりがちなテーマを軽やかに仕上げていることの手法の鮮やかさがあり、商業映画で描きにくいところに挑戦されていることは賛辞しかないです。

上映前に舞台挨拶があり、2019年の撮影ながら廣末哲万さんの演技と渡り合う当時新人だった古川琴音さんの堂々とした存在感が映し出されていて印象的でした。

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  あらすじ

かつて大学で映画を教えていたモート・リフキン(ウォーレス・ショーン)は、今は人生初の小説の執筆に取り組んでいる。映画の広報の妻スー(ジーナ・ガーション)に同行し、サン・セバスチャン映画祭に参加。スーとフランス人監督フィリップ(ルイ・ガレル)の浮気を疑うモートはストレスに苛まれ診療所に赴くはめに。そこで人柄も容姿も魅力的な医師ジョー(エレナ・アナヤ)とめぐり合い、浮気癖のある芸術家の夫(セルジ・ロペス)との結婚生活に悩む彼女への恋心を抱き始めるが…。

  感想

もう日本で公開されないのかと思ったウディ・アレン監督2020年の作品。

 

かつて映画を教えていたモート・リフキンは、小説を執筆中。映画の広報の仕事をする妻のスーに同行し、サン・セバスチャン映画祭に参加するが、フランス人監督フィリップとの浮気を心配する一方、診察を担当した美人の医師に恋心を抱き始めるというお話。

恋愛感情がこじれていく様がウディ・アレン監督らしく軽やかな語り口で進行する内容ですが、この心情描写として主人公のモートが愛するクラシック映画の場面が物語に浸食していくのが、今作ならではの魅力になっています。

 

初見ですべての映画の場面を判別できた訳ではないですが、単なるオマージュに収まらない愛すべき映画そのものが人生の縮図であり、哲学的な問題をはらみつつ、死の影までもコメディに償還していくところに、語り口の鮮やかさを感じます。

 

もう完成している次回作は、早めに公開されることを祈ります。

 

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  動画投稿しました

Instagramなどの投稿しているちい活(ちいかわ推し活動)の写真投稿をTikTokアプリを利用して、おまかせで編集したものをショート動画として投稿しました。

 

編集意図とか考えずに、無尽蔵に動画が作れてしまうことの怖さはありつつも、可能性を広げてしまう機能としては、良いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  あらすじ

旅行でバルカン半島を訪れたマカオ出身のエヴァは、そこで映画監督のジェイと出会う。その後、パンデミックと戦争が世界を襲い、ジェイはエヴァにメッセージを残して姿を消してしまう。彼を捜すためバルカン半島を再訪したエヴァは、かつて自分が出演したジェイの映画が「いつか、どこかに」というタイトルで完成していたことを知る。ジェイの行方を追ってセルビア、マケドニア、ボスニアを巡る中で、エヴァは彼の過去と秘密を知る。

  感想

リム・カーワイ監督による『どこでもない、ここしかない』(2018)、『いつか、どこかで』(2019)に続くバルカン半島3部作の完結編。

 

バルカン半島を訪れたマカオ出身のエヴァが映画監督のジェイと出会うが、パンデミックと戦争が世界を蔓延する中で姿を消してしまう。その後、彼を捜すためバルカン半島を再訪したエヴァは、かつて自分が出演したジェイの映画が「いつか、どこかに」が完成したことを知るというお話。

旧ユーゴスラビアの戦争記念碑として、各所に建設されたスポニメックでの撮影シーンが印象的なのですが、映画における時間の流れの中での過去と現在が上手く表現されていて、残された建築物の圧倒的な存在感の有り様と完成した映画における作品そのものとしての実存と喪失感が、ロケーションの場所としての重みも相まって、多重的に見える構造が効果的に感じられました。

アジア人の俳優たちと現地の人たちとの交流にも違和感がなく、撮影で訪れた食堂での現地の老人のインタビューが映画内に挿入されることで生まれる意味合いにより、単なる観光的映画になっていないし、戦争やパンデミックが人々に与えた影響の大きさを、身近に引き寄せるほどに魅力的な物語だったと感じました。

 

上映後には、リム・カーワイ監督と「マイスモールランド」の川和田恵真監督とのトークがあり、主演のアデラ・ソーさんも参加されて、貴重なお話を聞くことが出来ました。

 

あと、リム・カーワイ監督のバルカン半島3部作の特集上映が横浜であるらしいということも聞けたので、時間が許す限り駆けつけたいと思いました。