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『グローバリズムのトリニティ①』三橋貴明 AJER2018.12.4
https://youtu.be/gbihwGhHhbo

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三橋TV第28回 【水道民営化で日本を滅ぼす売国奴たち】

https://youtu.be/1Yg3wQemHZA


 昨日の解説 を踏まえて、本エントリーを読んでください。


 日本の「人手不足」解消のために、移民受入が必要という議論は、別に最近始まったわけではありません。80年代から、「経済」「生産性」等に無知な識者が、無責任な移民受入論を主張し、それに西尾幹二先生や、故・西部邁氏が反対する構図があったのです。


 西尾先生の「「労働鎖国」のすすめ」 から、移民推進派の宮島喬氏の発言を引用します。


『「今までの日本の社会が閉鎖的であったことを考えると、外国人労働者を一定程度受け入れることは日本の社会を国際化する、開かれたものにするという意味でいい刺激になるとおもいます。」
「将来の日本人の高齢化、高学歴化、経済のサービス化、この三つが進みますとどうしても外国人労働者が必要になる熟練度の低い職種が出てくるでしょうから(単純労働)だからだめというのは硬直した考え方だと思います。むしろ将来に備えて、低熟練の外国人が日本に入国して、一定の訓練や教育を受け、必要な職種に就いていくための受け入れ体制を作っていく必要があると思います。」(「国際人流」平成元年四月号)』


 何というか、わたくしに言わせれば物凄い「人種差別主義」「職業差別主義」だと思います。
「熟練が低い低賃金の職で、日本人が就きたがらない」
 のであれば、生産性向上で賃金を引き上げ、その職に日本人が就けば「家が建つ」状況にするべきなのです。それが資本主義です。


 ところが、宮島氏は「低賃金の非熟練職は外国人にでもやらせとけ」と言っているわけで。露骨なまでの差別主義者でございます。


 さて、現実の日本は宮島氏の望む方向に進みまして、宮島発言の四年後に「技能実習制度」が始まりました(1993年)。


 結果的に、我が国は「生産性向上により、国民の実質賃金を引き上げる」という資本主義の王道を歩むことができなくなり、「低賃金の非熟練職」で技能実習生という名の"奴隷的労働力”が活用されることになりました

 結果、日本の国民経済は、
「企業が外国人はもちろん、日本人も安くこき使うことが可能となり、短期的な利益を拡大した」
 と同時に、
生産性向上の投資を怠り、中長期的に競争力(=単位労働コストの削減)が不可能になった」
 のです。


 上記の二つが同時に進むと、「国内の購買力は国民の実質賃金低下で縮小し、消費という需要が縮小。さらに、生産性向上が不要のため、投資という需要も縮小」という形で、デフレが継続しました。


 もちろん、デフレ継続の理由は移民(技能実習生や留学生)受け入れだけではないですが、一因であることは間違いありません。

 


 さて、そもそも技能実習制度は、国際貢献を目的に「発展途上国」の若者を「先進国」日本に呼び、技術、技能を身に着けて頂き、祖国で貢献してもらうという主旨の制度です。現実は単なる"奴隷的労働者"ではないか、そもそも日本はまだ先進国なのか等々、突っ込みは尽きませんが、とりあえず建前はそうなっています。 


 技能実習生の技能実習は、法律で「労働力の需給の調整手段として行われてはならない」となっています。とはいえ、現実には「人手不足」をカバーするために活用されてきました。


 また、技能実習生の多くは借金を背負い、来日します。パスポートを取り上げられ、過酷な低賃金労働を強いられ、転職や辞職の自由もない。


 まさに"奴隷的労働力”である実態が、移民法の国会審議で暴かれました。


 今回の"移民法”の特定技能1号は、所詮は技能実習制度の延長です。移民は家族帯同不可。最長五年滞在で、祖国に戻されます。(特定技能2号へのバージョンアップの道もありますが、本件は本日は省略)

 特定技能1号は、「受け入れ機関」や「登録支援機関」により管理されます。賭けてもいいですが、この「受け入れ機関」もしくは「登録支援機関」で大儲けする企業の一社は、名を「パソナ」というでしょう。


 それはともかく、各種機関は、特定技能1号に対し支援を行いますが、その中に「非自発的離職時の転職支援」というものがあります。

 特定技能1号の「自発的意思」に基づかない転職の場合、機関側が支援してくれるのです。ならば、「自発的」の場合は?


 特定技能1号の規定の中に、「受け入れ機関等を変更する際に審査を経る旨の規定」というものがあります。自発的転職の際には、申請と審査を経なければならないのです

 この辺りの細かい措置は、今後、法務省令で決まっていく(これも問題なのですが)ことになりますが、特定技能1号の「自発的転職」はほぼ不可能という制度になったところで、全く驚きません。


 そもそもの発想が、転職や帰国の自由すらない技能実習生の「滞在期間延長」を目的に、特定技能1号という制度が作られるのです。


 なぜ、断定するかといえば、日本「社会」が過去に技能実習生という形で、
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
 と、憲法で定められている「基本的人権」を保有せず、しかも低賃金の外国人の雇用を活用してきたためです。すでに、我々は罪びとなのです。

 

 実際、特定技能1号の四割は、技能実習生からのバージョンアップになります。何しろ、3年の技能実習を終えた者は、無試験で特定技能1号になれるのです。


 外国人や特定職業を蔑視する、宮島氏らの発想で日本は移民を受け入れ続けてきた。そして、今後もそうする。


 この「邪(よこしま)な発想」こそが、日本国を狂わせている。日本国の未来を壊しているのです。


 さらに言えば、日本の生産者(労働者)は、人権を制限された外国人労働者との「競争」を強いられることになります。洒落になりません。


 今回の移民法は、来日する移民、迎える日本国民の双方にとって「不幸」な結果をもたらします。だからこそ、諦めずに反対を続けなければならないのです。


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