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一般参加可能な講演会のお知らせ。
2019年6月18日(火) 17:30~ ワールドフォーラム40周年記念講演会
対談:三橋貴明 x 山本太郎

http://mtdata.jp/data_64.html#2019618

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令和の政策ピボット、資料室を「ピボット情報室」としてリニューアル致しました。
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三橋TV第103回【主流派経済学は財政支出を憎悪する】

https://youtu.be/yDBsbOJ1Egc

 

 重大な事件が連続しています。

 香港の自治、あるいは一国二制度が事実上「終わり」となる「逃亡犯条例」改正案を巡り、大規模デモが発生。香港警察が催涙ガスやゴム弾を使用し、デモ隊と衝突しています。

 当防犯条例が改正されると、香港市民のみならず、例えばトランジットで空港に降り立っただけの外国人を含む、香港に「身体」的に滞在する全ての人が、中国本土に送られるリスクが生じることになります。法治国家の住民が、人治国家、全てが共産党の「政治」で決まる中華人民共和国の司法の世界に放り込まれることになるわけです。

 司法の独立がない、中国本土と同じ司法制度の下で生きることを強いられる。耐え難い未来を回避するため、香港市民が抗議活動に出たのです。
 
香港大規模デモ 中国化への危機感が噴出した
 中国の意に沿わない人物が、犯罪者に仕立てられ、中国本土に移送される。そんな事態が日常化することへの危機感の表れと言えよう。
 香港で、1997年の中国返還後、最大規模とされる抗議デモが行われた。香港から中国本土への容疑者の引き渡しを可能とする逃亡犯条例の改正案に反対し、撤回を求めている。
 改正案が審議されるのを前に、多くの人が議会周辺の道路を占拠した。警察との衝突で負傷者が出るなど、混乱が続く。(後略)』
 
 ホルムズ海峡で、日本の海運会社、国華産業(東京)が運航するパナマ船籍のタンカーを含む二隻が攻撃を受け、乗員は退船しました。
 
日本タンカーに攻撃=ホルムズ海峡近く、別の船も-爆発や火災、全員避難
 中東の原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡近くのオマーン湾で13日、タンカー2隻が攻撃を受けた。報道などによると、砲弾で攻撃されたもようで、船体が大きく損傷した。国土交通省は、このうち1隻は日本の海運会社「国華産業」(東京都千代田区)が運航するケミカルタンカー「KOKUKA Courageous」(パナマ船籍、総トン数1万9349トン)で、複数回の攻撃を受けたと発表した。(後略)』
 
 アメリカ政府は、イランが関与した公算が大きいと判断しているようです。アメリカとイランが軍事的衝突に発展する可能性が生じ、原油相場が上昇。

 ホルムズ海峡は、石油の海上輸送の約四割が通過する要衝です。ホルムズ海峡付近で船舶が攻撃を受けたのは、過去一か月で二度目となります。

 ホルムズ海峡を日本向けタンカーが通れなくなったら、どうなるのか。以前、電力関係者の方に確認したところ、日本の備蓄は一か月しか持ちません。

 常識的に考えて、原発を再稼働する必要があります。しつこいですが、わたくしは別に原発推進派ではありません。原油やLNGが日本に運ばれてこなくなるという「現実にありうる危機」において、原発再稼働無しでエネルギー安全保障を確立する方法があるならば、是非、教えて欲しい。

 そんなものはありはしないのです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 令和の政策ピボットのエネルギー安全保障政策は、
 
『(1) 原発政策:
将来的な原発ゼロを含む科学的、技術的なエネルギー安全保障強化を議論し、同時に短期的なベースロード電源確保のため、原発を順次、再稼働します。将来的な原発ゼロを可能にするため、使用済み核燃料の処理技術、廃炉技術については、政府の責任で、電力会社と共に開発します。使用済み核燃料の最終処分については、科学的な根拠に基づき、政府が地層処分場を選定しますが、日本国外からの使用済み核燃料を受け入れる「ビジネス」は認めません。』
 
 と、なっていますが、将来的に原発ゼロを目指すのは、一向に構いません。とはいえ、短期的なベースロード電源確保のためには、とりあえず原発を再稼働する必要があります。

 本来、取り壊さなければならない全国の老朽化火力を騙し騙し使っている我が国は、もはや発展途上国でございますよ
 
 しかも、昨年の北海道地震で全道ブラックアウトが発生し、さらにホルムズ海峡の通過リスクが高まっている状況で、原発再稼働を政治家が議論しないという時点で、無責任極まりないと思うのです。

 原発再稼働以外で、現実に日本のエネルギー安全保障を強化する政策があるというならば、是非とも教えてください。

 どうせ、「ピコーンッ!閃いた!」系の適当な案か、もしくは「未来の超技術依存」「LNGや原油の輸入途絶の可能性を無視した手法」しか出てこないんでしょうけれども。
 
 日本政府は、東日本大震災時の福島第一原発の事故を受け、不法に全国の原発を停めました。代わりに、何らかのベースロード電源を用意するのかと思えば、何と原発の代替には全くなりえない太陽光や風力を普及させるために、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を導入。

 あまりに奇想天外な斜め上に、眩暈がしましたよ、わたくしは。

 夜はもちろん、雪が積もると発電できない太陽光発電を、「安定電源」が必要な時期に普及させるべく、国民に負担を強いる(FITの買取料金は、我々が再エネ賦課金として負担しています)。

 日本中の森林が伐採され、美しい田園に醜い太陽光パネルが敷き詰められる。その上、日本のエネルギー安全保障強化には何ら寄与しない。

 一体、何をやっているんだ、日本人。

 というわけで、わたくしは原発再稼働とFIT反対を主張し続けてきたわけですが、カネ儲けが目的のFIT推進派、イデオロギー的な反原発派の双方から攻撃されることになりました。
 
太陽光発電の買い取り終了へ 入札制度で価格競争促す
 経済産業省は太陽光や風力発電の事業者がつくった電気を大手電力があらかじめ決めた価格で買い取る制度を終了する。買い取り費用の増加で消費者の負担が高まっており、新たな競争入札制度を導入してコスト低減を進める。2020年にも関連法を改正する。政府は再生可能エネルギーを今後の主力電源として拡大する方針だが、遅れが目立つ送電網の整備などまだ課題も多い。(後略)』
 
 ようやく、典型的なレント・シーキングであるFITが終焉に向かいつつあります。すでにして、我々の家計や企業が負担する再エネ賦課金は、2.4兆円に膨張しています。

 我々はデフレ下で減り続ける所得から、エネルギー安全保障の強化、電力供給の安定化には全く寄与しないFITの電気の買取料金を強制的に支払わされているわけです。FITも、一種の増税でございますよ。

 もっとも、税金とは異なり、FITで我々から奪われた所得は、メガソーラなどに投資する余力がある投資家(※外国資本含む)に支払われます。

 現実を見ずに、思考停止状態で防衛、エネルギー安全保障強化を怠り、外国資本を含む一部のレント・シーカーを富ませる政策ばかりを推進した。繰り返しますが、一体、何をやっているんだ、日本人。

 ホルムズ海峡の話に戻りますが、日本国が「国家」として本気で国民のエネルギー安全保障を守る気があるならば、大げさでも何でもなく中東に「海軍」を送らなければならないのですよ。何しろ、他に日本への原油、LNGを安定供給する道はありません。

 それとも、これまで通り「アメリカ様」にお願いしますか。トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」である以上、自国の国益を害してまで、日本のためにシーレーンを守ってはくれません。というか、自国の国益を損ねてまで他国のために動く国家のリーダーなど、わたくしが知る限り現役では安倍総理のみです。

 自国や自国民は、自分たちで守る。この当たり前の事実を早急に日本国民は理解する必要があるのです。
 
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