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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第124回【新・貧困ビジネス「シェアリング・エコノミー」】

https://youtu.be/kX96O0oANbQ

 

 いわゆる、氷河期世代とは、主に「二期」に分けられると思います。
 一期目が、橋本政権の緊縮財政で日本経済がデフレ化した97年から小泉政権前期。
 二期目が、もちろんリーマンショック後。
 
【日本の若年層失業率(%)】
 
 ちなみに、三橋TVをご覧になっている方はご存知でしょうが、一期目がsayaさんで、二期目が高家さんですね。

 97年以降と言えば、派遣社員の規制が緩和された時期と一致します。小泉政権下では、製造業の派遣解禁という決定的な規制緩和が強行されました。

 デフレが継続し、企業が正規社員の雇用を回避するようになった「需要」の拡大に合わせ、派遣産業は大発展。
 
 派遣のポジティブリストがネガティブリストに変えられたのが、99年。2004年には、製造業派遣解禁。

 派遣事業の売上高は、97年は約1兆3千億円だったのが、17年には約6兆5千億円に達します。まさに、成長産業です。

 派遣会社が急成長する反対側で、「商品」として扱われた日本の労働者が所得を中抜きされ、貧困化していきました。
 
 正規社員になれなかった若者は、結婚できず、少子化が加速。少子化白書によると、
 
『男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率をみると、正規の職員・従業員では25~29 歳で30.5%、30~34歳で59.0%となっているのに対し、非正規の職員・従業員では25~ 29歳で12.5%、30~34歳で22.3%となっており、それぞれ正規の職員・従業員の半分以下となっている。』

 となっておりますので、まさに正規職と非正規職では「階級が違う」と表現しても構わないような状況になっています。

 本当に腹立たしいのは、緊縮財政によるデフレ継続、労働規制緩和という「政策」により日本の若者を非・正規職に追いやり、「同じ国民」を貧困階級に追いやっておきながら、
「まともな職がないのは、若者の自己責任」
 などと切り捨てる「大人」が少なくなかったことです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツとして「MMTポリティクス(第二回)」が視聴可能となっています。是非、ご入会下さい。
 
 そして今、新たなる稼ぎ口が生まれようとしています。
 
氷河期100万人就職支援、政府 研修業者に成功報酬
 政府はバブル崩壊後に高校や大学を卒業した「就職氷河期」世代の就職支援を本格化させる。30代半ばから40代半ばの人たちは、他の世代に比べ国内外の厳しい経済情勢の影響で不遇な労働状況に置かれたとみて、年齢層を絞る異例の対策を講じる。正規雇用で半年定着したら、研修業者に成功報酬型の助成金を出す。支援対象は100万人規模で、経済や社会保障の支え手になってもらう狙いがある。(後略)』
 
 ピキピキッ、とこめかみが切れかけたのは、わたくしだけではないでしょう。

 間違いなく、パソナを初めとする人材派遣会社が「参入」してくるでしょう。今回の仕組みは、非正規雇用者に訓練、職業実習をした時点で、最大20万円が支払われます(もちろん、民間会社に)。加えて、正規雇用に就かせ、半年持たせれば、さらに40万円。

 民間会社にしてみれば、とにかく「訓練・職業実習をした」という実績ができた時点で20万円。うまくいけば、プラスで40万円。

 自分たちの邪なビジネスのために、貴重な若い人材を「商品」として扱い、手数料を抜き続け、
「氷河期世代が問題だ」
 という話になると、今度は政府にカネを出させ、「教育するから、成功報酬くれ」とやってくる

 国民をネタに、マッチポンプ。まさに、悪魔も怯えるほどの邪さでございます。

 氷河期世代という「同じ国民」を助け、人材に育て当てるための正しい施策は、すでに提示されているのです。

 すなわち、MMTが提案するJGPです。

 政府が最低賃金以上の水準で、国民を雇用し、完全雇用を実現する。現在の日本がJGPを採用すると、少なくとも以下のメリットがあります。
 
● 失業という「社会的排除」から国民を救う
● 国民の雇用・所得に対する安心感を醸成し、消費拡大によりデフレ脱却実現
● ブラック企業根絶(ブラック企業のホワイト化)
● 氷河期世代の救済
● 介護、医療、インフラ整備など、極端な人手不足の業界で強制的に処遇を改善するため、人手不足解消
● (東京圏ではなく)地方自治体が中心となり、良質な雇用環境を整えることで、東京一極集中解消
● 失業等給付費が不要になる
● BIとは異なり、企業が「政府の支出」を利用し、賃金を抑制することを許さない。
 
 JGPについては、明日の三橋経済塾を皮切りに、解説をしていきますが、いずれにせよ「緊縮財政」が続く限り、JGPなど夢のまた夢です。
 というわけで、またもやボトルネックは緊縮財政

 緊縮財政が続く限り、昨日のシェアリング・エコノミーのプラットフォーマーやシェアエコ伝道師、あるいは本日の竹中平蔵氏が会長を務めるパソナなどが「自己利益最大化」のための政策を政府にねじ込み、日本国の衰退と国民の困窮は続かざるを得ません。

 国民を救う政府を実現するためには、「カネを使わない政府」ではダメなのです。
 
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