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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20
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 横軸のナショナリズム:今を生きる国民同士の助け合いの気持ち

 縦軸のナショナリズム:過去の先人に受けた恩を、将来世代に返す気持ち

 

 先日のチャンネル桜「【Front Japan 桜】日本国家の店じまい (他) で解説しましたが、主要国で日本ほど農業を保護していない国はありません。
 
【農業に対する政府支出の国際比較】
 
 欧州では、所得補償により農家が「公務員」のようになっていますが、これでいいのです。日本以外の先進国は、食料安全保障を正しく認識し、政府の財政で農業を支えています。
 
 アメリカは所得補償は少ないですが、生産価格(農家の再生産を可能にする価格ということで、目標価格とも呼ばれます)を下回る分を政府が補助金で補填しています。しかも、補助金は輸出農家にも支払われているため、事実上の輸出補助金です。

 農産物に対する輸出補助金は、WTOで禁止されているのですが、アメリカは、
「あ、これ、生産価格を下回る分を補助しているだけで、輸出補助金じゃないから。その何よりの証拠に、国内市場向けの農家にも支払っているでしょ」
 という詭弁で通しています。

 結果、アメリカの農業予算対GDP比は、先進国で最も高くなっているのです。

 要は、高関税政策が難しいならば、「まともな国」であれば、所得補償や補助金で農産物の生産を財政で支援するのが「当たり前」なのです。

 そして、まともな国ではない我が国は、農業を支援するという当たり前のことができていない

「いや! 嘘だ! 日本の農業は保護され過ぎている!」
 などと寝言を言う人には、
「じゃあ、数字見せろ」
 で終わりです。

 日本が農業を保護していない何よりの証拠に、日本の食料自給率は統計を取るごとに下がっていっています。
 
【日本の食料自給率の推移(%)】
 
 上記が「事実」であるにも関わらず、恐ろしいことに日本の政界には、
「日本は農業を保護し過ぎている。農協や農家を市場競争にさらし、より付加価値の高い農産物で世界に打って出なければならない」
 といったことを平気で言ってのける愚者が少なくありません。

 財政破綻論同様に、間違った情報、しかも「数字」「データ」の裏付けがない情報をインプットされ、それについて疑いを持たない思考停止の政治屋が本当に多いのです。(まあ、政治家のレベルは国民のレベルでもありますが)

 価格や所得を保証されず、過度な外国との競争にさらされ、それにも関わらず、
「日本の農業は保護され過ぎている!」
 などと、横軸のナショナリズム(今を生きる国民同士の助け合いの気持ち)を失った国民や政治家から攻撃され、頼みの農協も「農協改革」で解体に追い込まれようとしている。
 この状況で、農業に参入しようという生産者が少数派なのは当然です。

 挙句の果てに、新規就農者を支援する「農業次世代人材投資事業」の2019年度予算が減額され、「約束した支援金」まで支払えなくなっているのです。
 
 というわけで、このままでは我が国では農業の技能継承がなされず、現役の農家が引退した時点で、
「食料生産ができない。やり方も分からない」
 という国に落ちぶれることになるでしょう。

 

 さらには、農業の人手不足を理由に、移民国家化する、と。

 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
 もっとも、まともなことを言う政治家もいます。
 
『2019.08.21 食料安保を根幹に【国民民主党・玉木雄一郎代表】
--参院選では農業の現場で何を感じましたか。
 今の安倍農政に対する不満と不信が根強くあることです。どうしても産業型、大規模型を追求するので、いわゆる地域政策としての農政が不十分で、中山間地域は非常に不安を感じていました。
 米政策については、米の直接支払い交付金がなくなり生産調整もなくなって、今年は果たして米価が維持できるのかという不安が、米どころを中心に非常に広がっていると感じました。安心して営農継続できる所得補償の仕組みが必要だということではないでしょうか。
 要は何でもかんでも市場原理だけではうまくいかないというのが農業、農政の実態です。産業政策に偏ったいまの農政を、地域政策とバランスがとれたものに変えていく必要があります。
 一方で、野党がばらばらになっているので、とにかくまとまってくれ、という声もありました。私は野党を再編していく起爆剤、接着剤の1つは農政だと考えています。地方の多くの農業従事者が感じている農政への不安、それに対する答えをしっかり提示してまとまることが、野党が浮上していくきっかけになると思っています。(後略)』
 
 別に、三橋TVに出演してもらったからというわけではないですが、何てまともなんだ玉木代表。少々長いインタビュー記事ですが、是非とも全文お読みください。

 玉木代表の見解が野党の共通政策になれば、JAや農家の票はみんなひっくり返せます。というか、未だにJAや農家が自民党を支持している時点で、信じられないのですが。

 もっとも、玉木代表の農業に対する見解、政策がどれほど正しくても、現在の日本では実行に移すことができません。もちろん、食料安全保障の強化よりもはるかに上に「緊縮財政」という国是があるためです。

 まあ、玉木代表は財務官僚出身なので、十分に理解しているでしょうが。
 
 
 そして、日本最悪のボトルネックである「緊縮財政」を打ち破る鍵が、MMTという「現代の貨幣に関する単なる説明」なのでございます。
 
 とにもかくにも、日本は財政で農業を保護するという「当たり前の政策」を推進しなければ、亡国まっしぐらです。
 
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