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三橋TV第170回【日本国民のメモリーを奪う皇統断絶を許すな!】
 
 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
 
 昨日の続きですが、日本でもすでにアマゾンフレックスやウーバーイーツなど、搾取・無責任ビジネスが広がりつつあります
 ちなみに、わたくしはAmazonの当日配送等、高度なサービスを否定するわけではありません。とはいえ、
「高い品質のサービスを提供するならば、フィー(料金)を取るべき」
 と、主張しているわけです。顧客から高く代金を頂き、運送業、現場でラストワンマイルを運ぶ「生産者」に貢献するべきでしょう。

 十分なフィーが取れるならば、ヤマト運輸や佐川急便などの大手が引き受けるでしょう。ペイしないようなフィーしか払わないのでは、大手は「従業員」を守るためにAmazonの荷は受けません。

 というか、受けた場合はヤマトや佐川が「搾取」型になってしまいます。

 適正フィーを払うのは嫌、でも大量の荷をさばいて儲けたいという、実にエゴイスティックな理由で、Amazonは「個人事業主と契約し、リスクは全部事業主側に押し付ける」形でアマゾンフレックスを始めたわけです。搾取・無責任型といわれても仕方がないでしょう。

 また、個人的にアマゾンフレックス以上に問題だと思うのが、ウーバーイーツ。
 
 Amazonはまだしも「自分のビジネスの荷」を個人事業主に運ばせているわけですが、ウーバーは違います。ウーバーは、飲食店と顧客の間をつないでいる、本格的なシェアエコになります。

 先日、ウーバーイーツの報酬体系見直しを受け、ウーバーイーツの労働組合ウーバーイーツユニオンが、渋谷のウーバー・テクノロジーズを訪れ、団体交渉を求める申し入れ書を提出。連合の神津会長も同席しました。
 
ウーバーイーツの労働組合、報酬下げの説明要求
 ウーバーイーツの配達員らがつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は5日午前、米ウーバー・テクノロジーズの日本法人(東京・渋谷)を訪れ、団体交渉を求める申し入れ書を手渡した。ウーバー側が一部地域で報酬体系を見直しており「一方的な切り下げ」として説明を求めている。(中略)
 ウーバーイーツユニオンに参加する6人は、ウーバー日本法人で、団体交渉を求めたもののオフィスへの立ち入りを断られ、5日午後に会見を開いた。執行委員長の前葉富雄氏は「合理的な説明もない報酬引き下げに強く抗議し、違法な団交拒否を止めるよう求める」とした抗議声明を出した。ユニオンの弁護団は20年1~2月にも労使紛争の解決機関である労働委員会に申し立てる方針を示した。
 また、同日の会見には連合の神津里季生会長も出席。ウーバーイーツの配達員について「労働者性をもった働き方で、本来団交拒否というのはありえないと思っている。連合としてもいろんな場で協力していきたい」と話した。(後略)』
 
 ウーバー・テクノロジー側は、ウーバーイーツの配達員について、
「労働組合法上の『労働者』に該当しない」
 と、団交を拒否する姿勢を見せています。
 
 法的に見た場合、個人的にはウーバー・テクノロジー側が正しいように思えます。ウーバー・テクノロジーは配達員と「業務委託契約」をしているわけで、いわば外注です。外注先の「労働者」にまで責任を持てといわれても、普通は無理です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
 とはいえ、実体として配達員たちはウーバー・テクノロジーの「従業員」も同然でしょう。神津連合会長の言う通り、「労働者性をもった働き方」です、間違いなく。

 要は、この種のグレーゾーンを活用し、真面目に働く生産者を搾取し、自己利益最大化を狙うというモデルなのです。そもそも、ウーバー的な雇用形態を認めない、という方向に世論を動かす必要があります。
 
 ちなみに、ウーバーイーツ的な働き方を「ギグワーカー」といいます。ギグワーカーとは、
「インターネットを通して単発の仕事を受注する労働者」
 という意味なのですが、要するに不安定雇用・不安定所得を「いい感じ」に言い直しているだけです。ギグワーカーの経済をギグエコノミーと呼びますが、マスコミでは例により、
「ギグエコノミーにコミットしよう」
 というアホ丸出しの煽りがなされているため、今後も広がっていく可能性が濃厚です。

 結果、日本の労働者がひたすら搾取され、顧客も不便(あるいは危険)な状況になっていくのですが、加えてギグワーカーとやらは、派遣社員以上に「生産性の向上」が見込めないでしょう。何しろ、仕事そのものが不安定で、その上、企業へのノウハウ蓄積が前提になっていないのです。

 わたくしは、「人材」の生産性を高める最大の手段は、経験によるノウハウの蓄積だと確信しています。その機会を、奪うのがシェアエコというわけです。

 シェアエコならぬ「搾取・無責任型の外注」が流行っていくと、結局は日本企業のコア・コンピタンス(中核的能力)が痛めつけられ、真ん中で「抜く」プラットフォーマーのみがひたすらカネを儲ける「経済」になっていくのだと思います。
 
 シェアエコでもギグエコでも何でも構いませんが、この種の「国民を搾取し、経済力を落とす」搾取・無責任型ビジネスの拡大を食い止めなければなりません。
 
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