株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。
 
12月21日(土)シンポジウム「令和の政策ピボットは実現可能なのか?」が開催されます。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!
 
三橋TV第171回【安倍政権の「財政拡大志向」の裏を読み解け!】

https://youtu.be/miYaeilzpNM

 

 時局2020年01月号に連載「三橋貴明の経世論 第34回 MMTと日本国の潜在力」が掲載されました。
 
 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
 
 消費税増税後、10月のデータが公表されつつありますが、予想以上に大変なことになりつつあります。

 実質消費が2014年4月(対前年比▲4.6%)を上回る落ち込み、対前年比▲5.1%になってしまったことは「実質消費対前年比マイナス5.1%を受けて」で取り上げましたが、キャッシュレス決済のポイント還元という「一応」の消費落ち込み策を講じておきながら、14年を上回ったのは予想外でした。

 もっとも、消費の落ち込みを上回るほどに衝撃的だったのは、景気動向指数です。
「嘘だろ!」
 と叫びたくなるような惨状になっています。
 
景気動向指数の悪化幅 前回の増税を上回る 8年7か月ぶり
 消費税率が引き上げられた、ことし10月の景気動向指数は、ホームセンターなどの小売店で、日用品の売り上げが落ち込んだことから、前の月より5.6ポイント悪化しました。悪化の幅は、前回、5年前の増税後を上回って、8年7か月ぶりの大きさとなりました。
 内閣府が発表した、ことし10月の景気動向指数は、景気の現状を示す「一致指数」が、2015年を100として94.8となり、前の月を5.6ポイント下回りました。
 悪化の幅は前回、5年前の増税後の4.8ポイントを上回って、東日本大震災があった2011年3月以来、8年7か月ぶりの大きさとなりました。(後略)』
 
 内閣府は、例により、
「台風19号などの災害も、小売店の販売減少の要因とみられる」
 と、台風のせいにしていますが、台風が来たのは「今年」だけなのでしょうか?
 台風のせいで景気動向指数が落ち込むというならば、昨年は? 一昨年は?

「景気が良ければ、俺(政府)のおかげ。景気が悪くなったら、台風のせい」
 こういうことを言い出す連中を、一般的に「屑」と呼びます。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※2月15日まで、竹村公太郎先生の「日本文明の誕生~神話から歴史へ~」がご視聴頂けます。
 
 景気動向指数研究会は、18年に、
「前回の景気の谷から足下まで明確な下降はみられず、第15循環の景気の谷(2012年11 月)以降、2017年8月以前に景気の山はつかない」
 と、安倍政権を「イザナギ越え」と評価しましたが、
 
【景気動向指数(一致指数、2015年=100)】
 
 そもそも、図を見れば誰でも納得するでしょうが、日本は」2014年4月に「景気後退」に落ち込んでいるのです。理由はもちろん、消費税増税です。

 つまりは、2014年3月に「景気の山」をつけているのです。
 
 ところが、14年4月に景気後退に陥ったとなると、誰が考えても「消費税増税のせい」という話になってしまいます。
 
 我が国において、消費税増税で景気後退に陥るなど、あってはならないため、景気動向指数等研究会は14年4月以降の落ち込みを「見て見ぬふり」をしたわけですね。
 
 前回の景気後退(14年4月以降)は、16年8月くらいに底打ちし、つまりは景気の谷を打ったわけですが、その後は17年秋に再び山を打ったように思えます。理由は、消費税増税の影響が長引いていること、米中覇権戦争による外需停滞など、複合的なものだと思います。

 そして、景気がなだらかな下降線を描いているタイミングで、消費税増税(19年10月)。
 
 景気動向指数が、何と2013年春の水準に戻ってしまったというわけです。つまりは、過去七年の安倍政権の「経済政策」とやらの効果は消滅した、と。

 アホですか! ここまで愚かなのですか、日本政府は!
 愚かなのですが・・・・、残念なことに。何しろ、我々日本国民が「民主制」で選んだ政府でございますゆえ。

 怖いのは、この状況にありながら、未だに安倍政権は「消費増税」や緊縮財政の責任を認めようとしない点です。つまりは、
「台風や外需のせいであり、自分のせいではない」
 という姿勢を貫いているのです。

 12月5日に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」は、
 
『日本経済は、7年近くにわたるアベノミクスの推進により、デフレ ではない状況を作り出す中で、GDPは名目・実質ともに過去最大規 模に達しており、我が国の景気は内需を中心に緩やかな回復基調にあ る。(略)。こうした中、本年 10 月1日に実施した消 費税率引上げについては、軽減税率制度や臨時・特別の措置など各種 の対応策もあって、引上げ前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、 一部では台風の影響等もあって販売減がみられるが、現時点では全体 として前回(2014 年)ほどではないと見られる。引き続き、消費税率 引上げによる影響には十分注意しつつ、各種の対応策を着実に実施し ていく。 』
 
 という、狂った文章で始まります。

 というか、消費税増税の影響が大したことないというならば、別に慌てて経済対策打つ必要はないでしょうに。要は、選挙対策なんでしょうが。

 もちろん、政府関係者は、
「ヤバい!アベ・ショック、本当に来ちゃったよ、コレッ! ミツハシシネ!」
 とか青ざめているのでしょう。

 とはいえ、そんなことは口が裂けても言えないので、
「消費税増税の影響は大したことないけど~、でも対策は打っておくわ~」
 という、意味不明な態度に出ているわけです。

 正直、アベ・ショックが始まったことよりも、政府が「危機を見ないふりをしている」ことが恐怖です。(明日に続く)
 
「政府の危機を見ないフリに恐怖を覚える」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。