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「潜在成長率の誤解に殺される(前半)」三橋貴明 AJER2020.10.26

    

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本当の「狼」とは何なのか? 緊縮が戦争を招く! [三橋TV第320回] 中野剛志・saya
https://youtu.be/g0HUfAKHSLE
 

 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。10時半からLive配信です。

【Front Japan 桜 - 令和2年11月30日号】
https://youtu.be/A_iLcsl2oWg

 ステファニー・ケルトン教授の「財政赤字の神話」を読むと、アメリカと日本の「財政赤字」に関する誤解、呪縛、あるいは神話が「瓜二つ」である事実に驚かされます。


 まずは、国民の認識が同じです。同時に、本来は「インフレ率」のみが制限となる財政赤字拡大に、余計な「政治的制約」がかかっていることも同じ。
 アメリカの場合はペーゴー原則、デット・シーリング(連邦政府の債務の天井)など。日本はもちろんプライマリーバランス黒字化目標です。
 

 さらには、社会保障について、
「高齢化で社会保障支出が膨らみ破綻する~っ!」
 と、政治家や国民が「存在しない問題」に恐怖し、青ざめ、社会保障支出削減に邁進しているのも同じです。


 ちなみに、ケルトン教授の「社会保障問題」に対するアプローチは、わたくしと同じです。「インフレ」を防ぐための、供給能力(ケルトン教授は「実物資源」と呼びます)強化です。

参考動画:真の社会保障問題と解決策とは?[三橋TV第88回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/ywI3KHuGP3U

 日本の社会保障に「カネ」の問題はありません。理由は、我が国が主権通貨国(変動為替相場制の独自通貨国)であるためです。

『遅かれ早かれ、(社会保障)給付制度の費用は政府の手に負えなくなる。財源不足が避けられないなか、唯一の現実的解決策は制度を縮小し、「身の丈にあった」規模にすることだという声は多い。一方、支払い能力を維持するため、財源を拡充する必要があると主張する人々もいる。
 どちらも間違っている。社会保障も公的医療保険も資金を出しているのは政府だ。つまり、資金が不足することは決してない。(ステファニー・ケルトン「財政赤字の神話」P207)』

 日本やアメリカの場合、社会保障(医療、年金、介護)の「財源」問題は、政府が国債を発行することで解決します。しかも、政府の社会保障支出は、マクロ的に観ると国民の純資産増になるため、社会保障支出の拡大で、ストック面で国民の「財産」が増えるのです。(純資産が増えて怒る人、いる~?)


 フロー面で見ると、インフレ率が安定的に推移する場合、単純に国民の購買力が増強されるだけです。

【誰かの純資産は、誰かの純負債】


 何しろ、地球上で生きている限り「誰かの純資産は、常に誰かの純負債」です。


 日本国内の「民間経済主体(企業、家計など)」の純資産を増やすためには、政府もしくは海外(外国)に純負債を増やしてもらう必要があります。


 国内の民間という「世界」の内側で、全員が純資産を増やすことは不可能です。何しろ、誰か資産は、誰かの負債ですので、ミクロではともかく、マクロには「資産=負債」となり、そもそも純資産も純負債も発生しません。
 

 それに対し、政府が「国債発行&財政支出」をしてくれると、
「政府の純負債が増え、民間の純資産が増える」
 ことになるのです。(ちなみに、民間で増えた純資産が「誰に行くのか?」は重大かつ深刻な問題で、ケルトン教授も頁を割いて解決策含めて書いていますが、詳細は省きます)
 

 というわけで、我々が「民間というマクロ」として純資産を増やしたいならば、政府には純負債を増やしてもらわなければならないのですよ。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

特別コンテンツ「歴史に魅せられて、myが聞いてみた~第一回 歴史時事編~」公開中!

http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

 

 つまりは、政府の純負債が増える「政府の国債発行による社会保障支出拡大」は、ストック面では「我々の純資産が増える!」という話に過ぎないのです。無論、フロー面では、供給能力の強化(生産性向上)を怠ると、将来的にインフレリスクが出てきますが。


 社会保障に限りません。公共投資によるインフラ強化、防衛力強化、食料安全保障の強化、エネルギー安全保障の強化、科学技術・教育支出拡大、医療サービスの立て直し、そして公務員雇用と、政府が支出を拡大すれば、国民の純資産が必ず増えます。


 コロナ禍により、日本の公務員(というか行政サービス)の供給能力が、とんでもなく弱体化していることが明らかになりました。


 今の日本は、非正規雇用の公務員の正規職員化を進め、全体的な雇用数も増やす必要があります。そうすることで、フロー面ではGDP(の政府最終消費支出)が増え、ストック面で民間の純資産が積み上がります。


 所得が安定的に伸びていく公務員が増えるとは、「我々の顧客の購買力が高まる」ことを意味するのです。当然ながら、デフレ脱却の方向になります。


 ところが・・・。

維新、国会議員のボーナス3割減の法案を参院に提出
 日本維新の会は27日、国会議員の期末手当の支給額を当分の間3割削減する歳費法改正案を参院に提出した。維新は党所属国会議員の今年6月の期末手当について、3割を医療機関に寄付している。(後略)』

 こ、こいつら・・・・。相変わらず、国民の貧困に付け込み、ルサンチマン・プロパガンダで政治力を高めようとしやがる


 国会議員が「歳費削減だ!」などとやると、日本の政府・自治体全体に「国民が貧しくなっているんだから、自分たちも身を切らなければ」という空気が生まれてしまいます。空気に抗えず、公務員給与の削減が進むと、「需要縮小」に拍車をかける。
 

 しかも、GDP的には「政府最終消費支出」が減った上に、給料を減らされた公務員が消費を減らすため、「一粒で二度マズい」のです。「負の乗数効果」が働いてしまう。


 すでにして、海老名市が来年度の全常勤職員(約890人)の給与をカットする方針を決めています。結果、海老名市の「公務員も顧客であったサービス業」も打撃を受けることになる。
 

 各自治体が、国会や海老名市に倣っていくと、とんでもない事態になってしまう。


 ただでさえ「支出」する人が減っている恐慌期に、公務員給与を引き下げるなど「狂気」そのものです。


 誰かの資産は、誰かの負債。同時に、誰かの支出は、誰かの所得なのです。皆さんの所得は、誰かが支出しているからこそ創出されている。


 そして、政府は(インフレ率が適正水準以下である限り)純負債を増やし、国民の所得を創出する必要がある。それにも関わらず、「財政破綻論」(ケルトン式に言えば「財政赤字の神話」)により、国民の所得を減らす政策が進める


 この狂った状況に、終止符を打ちましょう。国会議員を含め、公務員給与の削減に賛同してはなりません。
 

 というか、国会議員は「身を切る~っ!」などと自己陶酔型スタンドプレーやっている暇があるならば、さっさと第三次補正予算を通せよ!

 

「さっさと第三次補正を通せよ!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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