(参考2884:コロンビアで続く社会運動指導者の殺害)

 

アルバロ・ウリベは、ふたたびコロンビア司法機関のルーペの下に置かれることになった。コロンビア最高裁は6月2日元大統領について、軍内で明らかとなった、政治家、ジャーナリスト、人権派弁護士にたいするスパイ行為に関係していたか、予備的な捜査を開始したと発表した。通常の裁判所での最高機関は今日、現在の上院議員が、「2019年の軍情報部による、違法な追跡情報の受取人」であったかどうかを決定する。5月中旬に決定された措置は、1ヶ月前の雑誌『セマナ』、匿名の文章に基づいたもので、すでにいくつもの陸軍部隊の調査がおこなわれており、軍情報部による傍受スキャンダルとなっている。

 

活動をおこなっていたスパイ網は、何人かの関係者によると、2019年の2月から12月まで、対象は130人以上であった。入手した書類には、不正確で根拠のない評価に満ちており、自宅、事務所、メールアドレス、友人の名前、家族、連絡先、そのほかの個人情報の詳細が含まれていた。「特別任務」として扱われ、サイバー情報部隊によっておこなわれ、おそらく上部の指示によって実施された。追跡は現在のイバン・ドゥケ大統領の大統領府官房長官ホルヘ・マリオ・イーストマンにまでおよんだ。これは軍のメンバーによる、違法で時代遅れの行為であることが明らかとなった。司法による疑いは、指揮系統への関係者、これらの行為の責任者と考えられる政治家が明らかにされなければならない。

 

この新しいスキャンダル、チュサダス[刺された]あるいは傍受の規模の大きさが明らかとなって、カルロス・オルメス・トルヒジョ国防相は、11人の現役高官の退役を発表し、事件を厳しく非難した。「これらの行為がナリニョ宮殿[大統領官邸]、共和国大統領の周辺までおよんだことは、非常に重大である」。ドゥケは2018年、ウリベの後押しによって大統領選挙に勝利した。大統領職に就任すると、ウリベが結党した「民主センター」(CD)のラジカルな部分が、国防分野のコントロールを強めることになった。FARCとの半世紀におよぶ武力紛争ののちのコロンビアにとって、国防は鍵となる部門であった。

 

2019年のあいだの軍の責任者は、ウリベに近い2人の人物で、いわゆるウリビスモの主要な人物であった。しかしギジェルモ・ボテロ前国防相は昨年末、解散したゲリラの反対派グループを爆撃した際、8人の未成年者を殺害したことを隠したとして辞任した。そして軍司令官のニカシオ・マルティネス・エスピネルはクリスマスに、家族の問題を理由にして辞職した。この後の人物は、事件への関与を否定しているが、検察から証言するように召喚されている。1月に開始された捜査において、「通信の違法行為の罪」、「発信器、受信機の違法な使用」に関連したものである。

 

元大統領は、これ以外にも裁判を受けているが、ソーシャルネットを通じて、今回の事案にたいして反論した。「裁判所はすべて漏れているものについて、なぜわたしにたいする2つの捜査が、臆病者の匿名に拠っているのか、説明しなければならない」。最高裁に関してツイッターに書いた。しかし弁護士のハイメ・エンリケ・グラナドス・ペニャは、予備捜査の開始について、特別な重要性を否定し、「これは裁判所が告発を認めたすべての場合の、通常の行動」であると声明で述べた。ただ弁護士は、さらにマスメディアをも批判した:「メディアのスキャンダルを大きくしようとすることに、強く反対する」。

 

ウリベは10年前にも、かれの2期目の大統領職のときに、別のスパイ事件に関係している。これは今はもうない治安保全局(DAS)が仕組んだもので、裁判官、ジャーナリスト、野党の通信を傍受した。かれの後継者フアン・マヌエル・サントスは、この組織を解散させた。10年後に違法な追跡はふたたびコロンビアを揺さぶっている。そして軍の活動にたいする疑問が。この組織は、この国の民主主義の機能について、鍵となるものなのだが。

(通算2954) (El PaisのFrancesco Manettoによる)