スコットランド旅行記 7:オークニー③ スカラ・ブレイ | 旅中毒

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2019/4/28

 

スカラ・ブレイはオークニー諸島で一番の観光名所なので、大きな駐車場もある。バスで乗り付けた団体さんも何組か見かけました。私はスコットランドの名所旧跡77ヶ所に入場できる観光パス 『ヒストリック・スコットランド・エクスプローラ・パス』 を事前にネットで購入済み。メールで送られてきたEバウチャーを印刷して持参し、最初の登録場所であるスカラ・ブレイの受付で提出すればパス使用を開始できる。

 

…のですが、手続きがうまくいかない。レジの女性は焦りに焦って私にやり方を聞いてくるんだけど、私も知らんてそんなもん。

  「こんな数字が出てきましたけど、これは何? 登録番号?」

  「190428ってそれ、今日の日付じゃないっすか?」

などと頼りない会話を繰り返すばかりで埒が開かず、ついに「処理できるスタッフを呼ぶから、先に見学してきてください。入っていいですから」とチケットなしで送り出されました。

 
で、スカラ・ブレイ。紀元前3100~2500年頃、新石器時代の集落の跡です。5000年前…。遺跡に続く道の脇に、「1000年前 ○○」 「2000年前 △△」 「3000年前 ◇◇」 みたいに、5000年前に遡っていく表示がありました。「遡っていく」という感覚だけでなく、ギザのピラミッドなどの有名な遺跡が、スカラ・ブレイに比べたらかなり新しいものなのだと知らしめる効果もある。
 
5000年前の人たちが住んでいたおうち…。
 
5000年と言う途方もない時間を過ごしてこれほど保存状態が良いのは、砂に埋もれていたからです。
 

 

1850年の冬、激しい嵐がスコットランドを襲いました。200人を超える死者が出るほどだったそうです。そうでなくてもオークニーの冬の海の荒れっぷりは凄まじいそうですよ。遺跡の案内役の女性によると「冬は波が荒れて、海岸はまるで煮えたぎっているかのように見える」とのこと。

 

 

その嵐で一帯の土が吹き飛ばされ、屋根を失った小さな家々が現れたのだ。土地の所有者だった人が個人的に発掘していったけど、18年後、4軒を掘り出したところで断念。その後、1913年には盗掘にも遭っており、1924年には再び大嵐に襲われて1軒が破損したため、プロによる発掘と保存が必要だとされて、1927年にエディンバラ大学の考古学チームによる調査が始まったのだそうです。土器やビーズ、石のナイフやシャベルなども出土されているって。

 

他にも埋まってないのかなーと思って聞いてみたら、周辺を掘り返してみたものの集落は見つからなかったって。当時とは海岸線も異なるだろうから、もしかしたら海の底にあるかもしれないけど、そこまでは調べていない、と。

 

 

家々が地下にあるのは、後年に土で埋まってこうなったわけじゃなく、最初から地下状態だったらしい。もっと古い貝塚の中に住居を作ったんだって。巨大貝塚の中だから周りを固められていて安定しているし、断熱効果もあるので極寒の冬の防寒にもなったらしい。雨に濡れずにお隣にも行ける。

 

 

家具も石を積んだ作り付けなの。棚や椅子やベッドが確認できる。玄関には平たい石のドアがつけられています。驚くことに、各戸にトイレも完備されていたんだって! 下水システムはかなり洗練されていたそうです。5000年前に実現していた快適な水回りを、人類はなぜその後に失ってしまったんだろう。

 

 

チュニジアのケルクアンで各戸にお風呂があるのを知った時もびっくりしたなあ(チュニジア旅行記 41:ケルクアン2。ケルクアンでは貝から染料を作っていて、かなり匂いがきついので自宅にお風呂が欲しかったんじゃないかと推測されていた。ではスカラ・ブレイは…? 冬の嵐の中で外の共同トイレになんか行っていたら死ぬから?

 

 

1つだけ、地下じゃないのもある…とのことでしたが、どれがどれだかもうわからん。この写真の中にはないかも。その家は収納スペースもないし、小部屋に分かれているし、骨や石の破片が出てきたので、そこは住居じゃなくて骨や石を使って道具を作る作業場だったと推測されるそうな。

 

 

団体さんが来ていると言ってもこの通り静かなものです。まだハイシーズンでもなかったしね。

 

 

遠くに見えているお邸はスカイル・ハウス。この後で行きました。あれも古いおうちではありますが、スカラ・ブレイに比べたら先月建てたみたいなもんですかね。