旅番組のローカル色 | 旅中毒

旅中毒

バックパックと少しのお金とパスポートがあればいい。行けば行くほど行きたい場所が増え、人生狂って後悔なし!

旅番組や外国の風景、街並みを紹介する番組が好きで、いろいろ見ております。

 

で、先日、「世界ふれあい街歩き ちょっとお散歩」(普通のは1時間番組だけど、これは15分の短いやつ)で、韓国はインチョン(仁川と書くと「にがわ」を思い浮かべる阪神間住民)の下町の街歩きをみておりました。

 
住宅街の歩道の脇の、少し高くなっているコンクリートの上に腰かけてお喋りしている5人くらいのおばちゃんに遭遇。彼女らの前にはヤクルト売りみたいなワゴンを引く女性がいて、どうやらソニワゴンからコーヒーを買って飲んでいるらしい。お茶請けはもちろんキムチ。
 
レポーター 「何を話していらっしゃるんですか?」
女性1 「出世した子供の話や、ダメだった子供の話」
女性2 「はっはっは、仕方ないことだよ」
 
レポーターがお礼を言って去ろうとしたら、
女性3 「ごはんはしっかり食べるんだよ!」
 
 
そして、「世界の山岳鉄道」の「中国・成昆鉄道」の回(初回放送は2001年)。お昼時に、乗客たちが車掌さんからお湯をもらってカップラーメンを作ったり、ホームの売り子からお弁当を買ったりしている。
 
テーブルにたくさんのおかずを広げてラーメンを食べているおばちゃん4人組にカメラが迫ると、
「あら、恥ずかしい。でも食べちゃう」
「いやだねえ、もっと若い人を撮りなさいよ!」
 
 
若者に人気の都会的なおしゃれカフェや最先端ファッションに身を包む人々ェもいいけど、外国人が見る番組としては取り上げてもつまらないんだよね。その土地に根差す個性を売りにしてはいないからさ。やっぱりローカル色あふれる下町の風情の方がエキゾチックで面白いんだよな。好みにもよるでしょうけど。
 
 
私の好きな番組の一つが「小さな村の物語」。2007年に始まった、イタリアの山間や海沿いの小さな村に住む人を毎回2人ほど紹介し、その生活に密着して村の暮らしを伝える番組です。コロナ禍で日本から現地に撮影に行くことができないから、今は、以前に紹介した村の人々の今の姿を現地スタッフが撮ってきて、前回の映像と合わせて紹介している。これはこれで、番組の長年のファンには嬉しいのでは。
 
私は毎回見ているわけでもないのでそこまでの感慨はないんですけど、先日見た13年ぶりに訪れるオルタ・サン・ジュリオ村の回ではちょっとしんみりしちゃった。紹介されていた3人のうち、湖の小さな島に浮かぶ修道院で一人だけ外出を許されているという修道女は(まだ見習いで世俗に近いのが理由だって)、昨年65歳で亡くなっていた。
 
対岸の村に住む観光船の船長は、毎日一人暮らしのお母さんの家に寄って昼食を食べていたけど、そのお母さんも今は亡い。コロナ禍で船長の仕事も大打撃を受けたけど、少しずつ観光客も戻ってきたって。先祖代々船に乗ってきた家系で、仕事にブレはない。
 
島で唯一の土産物屋を開いている女性は60を過ぎても手漕ぎボートで対岸に通うほど元気だったけど、足の骨を折って入院中。でも代わりに店番をする若い女性が「パワーアップして帰ってくるわよ。いつも『私の膝には人工骨が入っているのよ!』って文句を言っていたけど、これからは『骨を折ったのよ!』が加わるわね」と笑っていた。
 
役者さんとかをレポーターにしている番組だと、どうしてもレポーターを写す時間が多くなって、「いや、この人はどうでもいいから現地の風景を見せてくれよ」と思っちゃうんですけど、「ふれあい街歩き」や「小さな村」は、それがないのがいいね。「世界の車窓だけ」とか「空からクルージング」とか「ヨーロッパ トラムの旅」などは風景番組なのでまた色合いが違いますが、現地の様子を見たい人間向けって点では同じ。
 
町の歴史や建築物などに焦点を当てたドキュメンタリーとはまた違う楽しみがあるよね。「ふれあい街歩き」の方は興味がある場所の回しか見ていないけど、「小さな村の物語」はほとんどの回が私好みの古い小さな村(どう考えても小さな村ではない回もあるがw)。行きたい村がどんどん増えるよ。これの全世界バージョンを作ってほしいくらい。でもやっぱり、イタリアにはそれだけ、古い小さな村が昔の姿のまま残っているってことなんだろうねえ。自分で行った時も思ったもの。移動するバスから見下ろしているだけでも、こんなに私好みの村がたくさんあるんだなって。
 
今は外国に行くこともできないから、こういう番組を見て旅心を掻き立て、行ける日に備えようと思います。お金も貯めておかねばね。