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by ruhiginoue

新型肺炎と国鉄ストと中曾根総理

 新型肺炎は、日本政府の無能・無策・怠惰が海外でも騒がれるようになった。
 このさい「風邪くらいで休むな」という日本の会社のことも問題になっている。これだから病原体が拡散してしまう。
 また、休みたくても休めない原因が収入のためという人たちもいて、これは非正規雇用の人が増えたからだ。もともと経済への悪影響が指摘されていたが、さらに伝染病の拡散原因という問題も加わった。
 
 もともと非正規雇用の増大は「政商」ならぬ「政学」の竹中平蔵教授が提唱したことだが、この先輩である慶応大学の加藤寛教授が、先日死去した中曾根もと総理大臣とともに国鉄分割民営化を進めた。

 かつて日本最大の労働運動であった国鉄労働組合は、中曾根総理の策略に敗北した。
 この原因は日本の労働者の不見識であった。実際に国鉄の労働組合の活動家は、何の根拠もなく勝てると信じ込んでいたと証言している。自分たちのことを「日本の大動脈」と称し、国鉄がストライキをすれば日本が動かなくなるから政財界は根を上げると思っていた。
 これに対して、まだ総理になる前の中曾根が中心になって、トラック運転手など未組織労働者を使って「スト破り」をするなどの対抗をした。

 しかも、国鉄のスト戦術は社会の下層にいる労働者たちから反感を持たれた。日給で働く人は通勤できないと生活していけなくなる。そんなことお構いなしに電車を止めてしまう労働組合は、いったい何をやっているのか。恵まれた職場にいることで驕っているのではないか。
 もちろん、ストで電車が止まったから給料が減って生活に困る人たちがいるのは政府の責任だが、もともと社会の下層にいる人たちは啓蒙されていなから、そんなこと考えない。それに、いま生活に困窮している者にとっては目先のストが切実な迷惑である。

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 ここへ、ついに念願の総理大臣になった中曾根は、つけこんで国鉄の分割民営化を実行した。組合への憎悪を煽って協力した中心のマスコミは、中曾根と蜜月のフジサンケイである。こうして野党を支持する労働組合運動に致命傷を与えることに成功し「55年体制」を打破したと中曾根もと総理は誇った。

 かつて城南電機の宮地社長は、国鉄の労働者だった。このときストの乱発には反対だったと言う。列車が止まっても政治家は困らない。困るのは労働者だ。それでは労働組合と労働運動が社会で支持されない。そんなことするより改札をボイコットしてタダ乗りさせてしまったほうがいいと提案していたが、通らなかったそうだ。

 このあとも色々あって、いちいち述べるまでもないが、要するにあの時代から何十年も経って日本は何も進歩していないということだ。それで今この惨状である。



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by ruhiginoue | 2020-02-19 04:56 | 社会