昨夜のETV特集は、没50年ということで「転生する三島由紀夫」。彼は最後のインタビューで、次のようなことを言っていました。

 

芸術っていうのはね、死が最高理念じゃないですよ。芸術ってのは、とにかく生きて生きて、生きのびなければ、完成もしなければ、洗練もされない。でも行動ってのはね、十八歳で死んだって、いいんだからね。そこで完成しちゃう。その(芸術と行動の)間に生きて、そして歳をとっていくということは苦痛そのもので、体が二つに引き裂かれるようだけれど、そうしなきゃ、芸術家である生きがいなんかないんだと、思うようになっったんですね。

 

こう言っておきながら、再度気が変わってしまったのか、あのような行動に走ったのですが、ほぼ同時期に書かれた寺山の『行為とその誇り』と比較すると、なかなか興味深いです。

 

ところで、50年前といえば、時代劇「大岡越前」の放送開始もこの年。その50年前の第一部「大岡越前」を千葉テレビが再放送しています。初見ですが、この第一部は忠相(加藤剛)と雪絵(宇津宮雅代)の結婚までのストーリーが伏線として描かれていて、以前から観たかったので嬉しいです。今週は第四話の出会いと第五話の再会でしたが、まさに美男美女カップル。美しすぎる。その第五話で登場した僧侶の台詞。

 

何事もままならぬが世の中の常。しかし、焦ってはならぬぞ。天の時至れば、あるいは不可能事が成就せんでもない。忍。忍の一字が肝心じゃ。

 

三島由紀夫にも忍の一字があれば・・・。もちろん、それが天才と私のような凡人との違いなのでしょうが。