マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“怯・勇”軸以外の情動軸を再び考えてみる

 ――“怯(きょう)・勇”軸

 以外の情動軸として、

 ――“嫌(けん)・好(こう)”軸

 というものを考えてみましたが――

 

 「好」や「嫌」の感情は、「勇」や「怯」の感情よりも、

 ――判断に与える影響の直接性

 が低いので、

 ――“嫌・好”軸

 を、

 ――“怯・勇”軸

 と並びうる情動軸の1つとみなすことは妥当でない――

 ということを、きのうまでの『道草日記』で述べました。

 

 では――

 「好」や「嫌」以外に、「勇」や「怯」と並びうる感情は、ないでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 ――驚(きょう)

 という感情は――

 その候補かもしれません。

 

 ――驚いて思わず声をあげる。

 などというように、

 ――判断に与える影響の直接性

 も低くはなさそうです。

 

 が――

 1つ問題が生じます。

 

 ――「驚」の反対の感情は何か。

 という問題です。

 

 「怯」の反対は「勇」である、というように――

 「驚」の反対が何かがわからないと、

 ――“怯・勇”軸

 と並びうる情動軸を設(しつら)えることはできません。

 

 ――「驚」の反対の感情は何か。

 を考える上で参考になるの は、

 ――なぜ人は驚くのか。

 という問いです。

 

 なぜ人は驚くのでしょうか。

 

 それは――

 これまでに思っていたことと違うことが起こったり、わかったりするからですね。

 

 ということは、

 ――驚く

 というのは、

 ――「思っていたのと違う」と感じられる。

 ということです。

 

 つまり、

 ――思っていたのと違う

 と反対のことが感じられるときに、人は「驚」と反対の感情を覚えているはずです。

 

 では、

 ――「思っていたのと違う」の反対

 とは何でしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 様々な考え方が成り立ちえますが――

 ここでは、

 ――思っているのと同じに――

 としましょう。


 ――思っていたのと違う

 の「思っていた」は過去形で、「違う」は現在形です。

 

 一方、

 ――思っているのと同じに――

 の「思っている」は現在形で、「同じに――」は未来形です。

 

 つまり、

 ――「驚」と反対の感情

 というのは、

 ――思っているのと同じに――

 と感じられるときに覚える感情であるはずです。

 

 その感情とは、何か――

 

 ……

 

 ……

 

 おそらくは、

 ――願い

 でしょう。

 

 つまり、

 ――「驚」と反対の感情

 は、

 ――願(がん)

 といえます。

 

 よって、

 ――“怯・勇”軸

 と並びうる情動軸として設えられるかもしれないのは、

 ――“驚・願”軸

 です。