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10月28日から、11月5日まで開催された第32回東京国際映画祭。
コンペティション部門に出品され、審査委員特別賞を
受賞した『アトランティス』を観てきました。
ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督は、プロの俳優では
なく、戦争経験者のアンドリー・リマルークを主演俳優
として、起用し、ウクライナ東部紛争を思わせる
ディストピア異色作を作り上げました
2025年の戦争直後の世界で、深いトラウマを抱え、
PTSDに苦しむ元兵士(アンドリー・リマルーク)は、
身元不明の死体発掘を行っています。
そこで、一人の女性と出会い、少しずつ、自らの過去と
向き合っていきますが……。
荒廃した土地をワンシーン・ワンショットで映し出す
硬質な映像は、じわじわと心にきます。灰色な世界で、
黙々と行われる死体発掘はかなりリアルで、観ていて
どんどん暗い気分になっていきます。
仕事をこなしながら、彼の心の中には、何が
映し出されているのか?
その淡々とした行為の中に、戦争の恐ろしさがじわじわと
伝わってきます。声高に叫ばなくても、確かに心に
響きました。
戦争の記憶に苦しみ、人生が変わってしまった。
だけど、生きることは続いている。
最後に彼が救われたと信じたい力強いラストに、
胸が熱くなりました。
平和の大切さを描いた骨太な作品です。