May 24, 2020
モリゾ公園とシェフェール読了
ここはモリゾ公園。
ベルト・モリゾが描いたみたいな場所だから。
"庭のウジェーヌ・マネと娘" で使ったのと同じ絵具で
彼女が此の公園に色をつけてくれたみたいだから。
ブルゴーニュ君と行く場所にはピサロ穴もある。
"夏の木かげの小道" (1877年作) に様子が似てるから。
ピサロ穴へ行く時は必ずモリゾ公園を通るので2つはセットなのです。
絵画が大好きな者にシェフェールの本は本当に面白かったです。
著者同様に素晴らしかった訳者様、與謝野文子様のあとがきにとても面白くそして大変共感するところがあったので引用させていただきます。
《その主体＝主語は、「わたし」と「わたし [たち]」の間を揺れている。論述のしきたりで著者が使うことになっていた複数の nous が頻繁に登場する。
ところで「序」であらかじめシェフェールはちょっと耳打ちをしてくれていた。
愛する女性に tu と言っていたり、vous と言っていたりする、そこに意味合いはない、むしろ複数形の敬語をよく使っているのだ、と、そのようにして、自分は現在のフランスでは美しい絶滅種のいきもの、母親や近い女性に敬語で接する男性であると述べるに等しいそんなサインを送っているわけだ。
同じくして場違いに nous を使うことは、かすかではあるが思わぬ異変を生じさせている。
著者には自分が使う「われわれ」に適合する共同体は存在していないという意識が切実にあり、日記では、ふとそうつぶやく。大学教授でも、出版人でも、ジャーナリストでもない。それでも敢えて使われる nous を通して生じた微妙な空間的、心理的異変は、読者にも及ぶことになり、何よりも絵画を前にしたときの著者自身に及ぶのである。
読者でもある「われわれ」はつい次のような問いを投げかけたくなる。
この「話者」は、絵画作品を前にして、【一人＝群衆】とでも呼べるものに成り仰せているのではないか、と。》
註：紙と異なるブログ上で読み易くするために改行・1行空けを加えています。
毎日毎日何かしらを綴りながら私も小さな作為をもってたまに '私たち' と書いてきました。
そして '私たち' で表すメンバーは、アーティクルごとに変わるのです。実際に複数人を示す時もあれば、'同じ考えや習慣の人間全般' を指すこともあった。
だけれど他人様にとってどうでも良いのは明白だから、自分が拘る理屈の説明は不要としてきました。
後書きを読んで、本書が形容し難い心地よさで好むところをくすぐってきたわけが分かった気がしました。
■シェフェール関連リンク
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*美術のガクシュー
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