テーマ:アメリカン・ロック(103)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
2枚組ではなく、2枚同時発売の地力(前編)
1980年代、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』で予期せぬ形でヒーローに祭り上げられたブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)は、1987年に『トンネル・オブ・ラヴ』を発表後、沈黙に向かっていった。それどころか、1988年には長年一緒に活動してきたバンド(E・ストリート・バンド)を解散してしまい、文字通り迷走(瞑想?)してしまった。 ところが、1992年にその創作意欲が爆発した結果がもたらされる。2枚の新作を同時発売という、ある種、驚きの展開であった。その2枚のアルバムのうち、先に企画されたのが、この『ヒューマン・タッチ(Human Touch)』という作品だった。 前作『トンネル・オブ・ラヴ』の内省的な部分を引き継いでいるように思えるところがこの作品には認められる。表題曲の1.「ヒューマン・タッチ」や4.「クロス・マイ・ハート」、6.「ウィズ・エヴリ・ウィッシュ」や11.「アイ・ウィッシュ・アイ・ワー・ブラインド」なんかはその例と言えるだろう。他方、スプリングスティーン節が全開のロック調ナンバーも見られる。個人的な好みでは、6.「ロール・オブ・ザ・ダイス」や10.「マンズ・ジョブ」はまさしく本領発揮のロック・チューンに仕上がっている。他には2.「ソウル・ドライバー」と5.「グロリアズ・アイズ」も聴き逃がせない好曲である。 上述の通り、E・ストリート・バンドの演奏ではないので、以前やバンド再集合以降の作品の演奏に見られるあの一体感に欠けるのは事実である(ただしロイ・ビタンが全面的に、パティ・スキャルファが一部で参加している)。とはいえ、腕の立つミュージシャン(その中には、ジェフ・ポーカロ、ティム・ピアス、初期E・ストリートのメンバーのデヴィッド・サンシャスなどの名がある)が揃っていて演奏の完成度は非常に高い。なおかつ緩急使い分けられていて、曲数も収録時間も長めだが、誰が聴いても退屈しないように仕上がっているように思う。 [収録曲] 1. Human Touch 2. Soul Driver 3. 57 Channels (And Nothin' On) 4. Cross My Heart 5. Gloria's Eyes 6. With Every Wish 7. Roll of the Dice 8. Real World 9. All or Nothin' at All 10. Man's Job 11. I Wish I Were Blind 12. The Long Goodbye 13. Real Man 14. Pony Boy 1992年リリース。 【メール便送料無料】Bruce Springsteen / Human Touch (輸入盤CD) (ブルース・スプリングスティーン) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018年11月09日 21時58分58秒
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