TOKYO! (ポン・ジュノ監督他作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

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ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

 

「インテリア・デザイン」

監督・脚本 ミシェル・ゴンドリー

原作・脚本 ガブリエル・ベル

撮影 猪本雅三

音楽 エティエンヌ・シャリー

出演 藤谷文子、加藤亮、伊藤歩

 

「メルド」

監督・脚本 レオス・カラックス

撮影 キャロリーヌ・シャンプティエ

編集 ネリー・ケティエ

美術 磯見俊裕

出演 ドゥニ・ラヴァン、ジャン=フランソワ・バルメール、石橋蓮司

 

「シェイキング東京」

監督・脚本 ポン・ジュノ

撮影 福本淳

音楽 イ・ピョンウ

出演 香川照之、蒼井優、竹中直人

2008年度 製作国 日本/フランス/ドイツ/韓国 上映時間 1時間50分

 

今年のアカデミー賞で話題をさらった「パラサイト」のポン・ジュノが、「グエルム 漢江の怪物」の

次に作った「TOKYO!」をNetflixで観る機会を得ました。

「TOKYO!」は、ポン・ジュノ以外に「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリーと

「ボンヌフの恋人」のレオス・カラックスが東京を独自の視点で描いたオムニバス映画で、

ボン・ジュノがコミュニケーション不全(引きこもり)、ミシェル・ゴンドリーが疎外感(存在証明)、

レオス・カラックスがテロリズムの恐怖(排外主義)と、東京をネガティブな視点で捉えているのが

共通していますが、ポン・ジュノの作品だけが希望の残るエンディングを用意しています。

三つのエピソードで一番印象に残ったのはレオス・カラックスの作品で、東京の地下に潜む

※メルド〈フランス語で糞(くそ)の意味〉と呼ばれる怪物が、マンホールから行き成り出没して街を

テロリストの様に破壊していくブラック・コメディーで、ゴジラのテーマソングをBGMに、地下に

残る太平洋戦争の残骸やオーム真理教等日本人の心の闇に潜む忌まわしい記憶をメルドに

シンボライズさせて、想定外の事象に過剰反応する日本社会の排他性を皮肉っています。

カラックスに比べてポン・ジュノの作品は詩的で分かりやすく、主人公に感情移入しやすいのですが、LOVEの終わり方があざとくて、新進気鋭の作家とは思えない老獪さが鼻に付きました。

ミシェル・ゴンドリーの作品は、前半のシリアスな流れが唐突に断ち切られて、シュールな

不条理劇に変貌しますが、余りにも落差が大きすぎるので、主人公の心の変容が未消化に

終わってしまった感は否めませんでした。

 

※ カラックスの次作「ホーリー・モーターズ」にも、メルドが登場しています。

 

 

 

 

 


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