運動会シーズンです。中学校や高校の運動会はどんな形式で行われていましたか? おそらく、学年を縦割りにしたチームで色別に分かれて対抗戦をしたと思います。1組は赤、2組は青、3組は黒……のように。共学校や男子校では基本的にほぼその形式です。

 

でも女子校の運動会は違う形式、つまり縦割りのチーム対抗ではない形で行われていることが少なくない。ではどういう形式で行われているか、わかりますか?実は、運動会を学年対抗形式で行っている女子校が結構あるんです。中高一貫校の場合、中1と高3が綱引きで勝負するということがあるんです。この場合、もちろん高3が圧勝します。

 

ときどき番狂わせがあって、高2や高1が優勝してしまうこともあるにはあるのですが、たいていは最高学年の高3が優勝します。

 

最初これを知ったとき、正直言って「意味わかんない」と思いました。そんな運動会の何が面白いんだろうと思ってしまいました。でも、それが1つや2つではないんです。ぜんぶではありませんが、結構多くの学校で学年対抗形式の運動会をしているんです。地方の女子校でも、同じです。

 

そこで女子校の先生たちに理由を聞いてみました。「うーん、昔からそうだからねぇ」という答えが多い中、いくつかの女子校では「かつて縦割りにしてみたこともあったんですよ。そのほうが勝負が互角になって面白いだろうということで。でも、生徒たちから不評で、すぐに学年対抗に戻しました」との証言を得ました。

 

どうやら女子校の生徒たちは、勝ち負けよりも自分たちのチームワークをどれだけ高めることができたかに満足感を得るらしいのです。また、先輩からあれこれ命令されるのも嫌だということでした。

 

一方、男子校の運動会は絶対に縦割りです。先輩が後輩に厳しく指導して、優勝を目指します。

 

性差よりも個人差が大きいことは大前提です。でも男子だけの集団、女子だけの集団を形成すると、その集団としてのふるまいには違いが出るということです。このことから私はある仮説を思いつきました。

 

男子だけの集団、女子だけの集団をそれぞれつくった場合、男子は命令系統による縦型の組織をつくるのが得意だが、女子は共感をベースにした横型の組織をつくるのが得意なのではないか。女子校、男子校という、異性がいない独特な空間では、女子の集団としての特性、男子の集団としての特性が強調されやすいのかもしれません。

 

そう考えると、夫婦間でよくあるすれ違いも説明がつきます。

 

妻:なんで自分から察してやってくれないのよ。

夫:言葉で言ってもらえなきゃ、わからないよ!

 

あるいは、

 

夫:それはああしてこうして、こうやったほうがいいよ。

妻:いちいち指図しないでよ!

 

……みたいな。もちろん個人差が大きいですから、逆のパターンもあるでしょうけれど。

 

 

実はちょうど昨日(10月9日)から、私の新刊『新・女子校という選択』『新・男子校という選択』が全国の書店に並んでいます。その取材のためにいろいろな女子校、男子校をまわりました。

 

取材を通して感じたことなのですが、男子校の教室の空気は、いつでも温泉の男湯の湯気の中みたいなんです。温泉の男湯で、男性たちが心身ともに素っ裸になってだらけきっているあの感じが日常です。

 

さすがに女湯に入ったことはないのですが、おそらく女子校の教室の普段の雰囲気は、女湯の雰囲気に似ているのではないかと思います。女子校の先生たちはよく「教室の中での生徒たちの様子はとても外ではお見せできません」と、苦笑します。でもどこかちょっとうれしそうなんです。

 

だとすると、共学校の雰囲気は、男女が水着を着ていっしょに入る、レジャーランドなどにあるクアハウスの雰囲気だということができます。実際、まさにそんな感じです。

 

進学先を決めるとき、女子校あるいは男子校にするか、共学校にするか迷ったら、温泉の雰囲気が好きか、クアハウスの雰囲気が好きかという観点で考えて見るのもいいかもしれませんよ。

 

※2019年10月10日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。