p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

ZOZO 2020→Z

2019-09-17 01:23:45 | 企業・産業
ファッションECサービス大手であるZOZOのヤフーへの“身売り”は多くのヒトにとってサプライズだったようで。各種ネットメディアで広く取り上げられました。

“売る側”としては、前澤前社長が“感性的な経営”を失敗と発言しているところなどから、ショップの“ZOZO離れ”PBの失敗と続く逆風に対して戦略の大きな転換を求めた、というコトであろうと推測されます。
一方の“買う側”としては、まずECサービスの規模拡大が最大の目的であろうと考えられます。
ヤフー(この10月からはZホールディングス)の今(2019年)4-6月期EC取扱高は5,840億円(資料頁№11)。競合する楽天の同9,219億円(資料頁№61)と比べると見劣りすると言わざるを得ません。
そうした状況下、テコ入れをあせった結果、「LOHACO」事業を巡るアスクルとのゴタゴタに繋がったのではないでしょうか。
そこで出てきた今4-6月期EC取扱高792億円の“売り物”は、飛びつくに十分な魅力があったと言えるでしょう。
来月(2019/10月)に控えた消費増税以後は消費者の価格志向がより強まるでしょうから、それに対応するための規模の拡大によるバーゲニング・パワー強化は、重要な課題ですからネ。

“成婚”したばかりの現時点では双方にメリットがあると思われる今回の案件ですが、特にZOZO側の先行きには若干の不安を感じるトコロです。
これまでの同社は、失敗してもソレに対応する“一手”が素早く徹底しており、ソレからのリカバリーが早かったのが特徴です。オーナー社長であったからこそ、ですネ。
これに対し、澤田新社長はNTTデータ出身でコンサルからの転進という経歴の持ち主。
『ニュートラル』『安定感』がモットー」だそうですし、堅実さが期待できる代わりに、意思決定のスピードとダイナミックさは落ちてしまうことが予想されます。
一方、ヤフー側からはEC取扱高の拡大を求められるでしょう。ソレを実現するためには、これまでとは異なる顧客層に向けた販売や新たなサービスの提供が必要になると考えられます。
同社の新体制は、そうした大きな方針転換が求められる状況下、それをうまくこなして行けるでしょうか。

さて、ワタシがかつて証券アナリストとしてカバーしていた間(2012年半ばから2015年初めまで)、同社は“見ていて面白い会社”の一つでした。
ソレがおそらくは“普通の会社”になっていくのだろうなぁ、と思うと、少々寂しいトコロです。


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