p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

Huawei, Far Away

2019-01-02 01:23:45 | 企業・産業
昨年(2018年)後半の世界経済を動かした最大の“ネタ”が米中貿易戦争であったコトは言を待たないでしょう。
特に年末に向けての展開は急。
G20に併せて行われた米中首脳会談で貿易戦争は“一時中断”となったように見えましたが…
その3日後、アメリカの要請に応じてカナダが中Huaweiの孟副会長を逮捕容疑はアメリカによるイランへの制裁措置を回避する“詐欺”とのことですが…
コレ、関税合戦を“表”とする米中貿易戦争の“裏試合”と見るコトが出来るでしょう。

その有り様は、次世代に向けた情報インフラの覇権争いとも言えます。
タイミング的には無線通信インフラが現行の4Gから5Gへの移行が近付くトコロ。そしてソレは従来の携帯電話の域を超えて社会インフラになる可能性が見えてきています
ビッグデータが使えるようになったコトで、情報インフラはマーケティングの重要な武器になりました。5G世代になれば、ソレはより重要性を増すコトになるでしょう。

その5G世代に向けて競合の先を行っていたのがHuaweiであるワケですが…
競合との競争が“真っ当”なモノになりそうであれば、アメリカの出方も違ったモノであったように思えるんですョねぇ。
というのは、Huaweiは中国共産党の下部組織として見られるコトすらある存在。
先進国より一世紀遅れで国家資本主義を推進している中国の情報インフラ企業が他国企業より優位な立場を得た場合、ソレを武器に他の産業においても中国の国策企業が競争を優位に進めるコトになりかねません。
特にIT分野において、その可能性は高いでしょう。GAFA(Google / Apple / Facebook / Amazon)を中心にIT分野を制するアメリカにとって、ソレは許し難い状況でしょう。

国としての産業競争力、というのもありますが…
歴史的にもそうですが、アメリカは現在でも“真っ当”な企業間競争を旨とするトコロがあるんですョねぇ。
PC時代を制したMicrosoftは、独占禁止法と戦うコトを強いられました。ソレがスマホ時代においてGAFAが大きく伸びた一因であると、ワタシは考えています。
コレに対して独禁法との戦いを経たMicrosoftは、スマホ時代の成熟期とも言える現在において、クラウド・サービスで先行するAmazonを超える存在となりました
国の産業政策が、新興企業と既存の独占企業の間における“真っ当”な競争を導いたワケです。
そんなアメリカが、放っておけば“世界征服”を目指しかねない中国共産党系企業が産業において支配的地位を築くコトを許さないのは、自然な成り行きと言えるでしょう。

さて、日本もアメリカに追従して、Huawei排除に動きました。
イギリスフランスにドイツオーストラリアと“西側”でコレに同調する動きが拡がっています。
5Gインフラの市場は、世界の“あっち側”と“こっち側”で二分される流れが出来つつあります。
ただコレ、我が国企業にとっては必ずしも悪いコトとも言い切れません。

旧電々ファミリーを中心とする日本の通信機器メーカーは、無線通信インフラの世代が進むにつれて存在感が希薄に。5G世代ではドコモの一部のみになるハズでした。
ソコからHuaweiが(ZTEも)排除されるコトで、ソレら企業に時間的“猶予”が与えられるコトになりそうです。
ココで国が各メーカーの無線通信機器事業を統合させる方向で動いてくれれば、世界シェアでも一定の存在感を示せるくらいの“復権”も不可能ではないのではないかと思うのですが、そういう動きが出てくる可能性は低いでしょうねぇ…

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