新発見!読解力とは違う「リーディングスキル」 | e-子育て.comのスタッフブログ~子育て、教育のヒントをお届け~

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長年小学生に学習指導した経験を皆さんにお伝えしたくて、小学生の勉強の悩みや家庭学習、集中力・やる気スイッチの入れ方等書いています。
ブログの内容を実践して子ども2人が東大卒業しました。

無限大というwebメディアに面白い記事が掲載されていました。

 

国立情報学研究所社会共有知研究センター長 新井紀子教授が始めたRST=リーディング・スキル・テストで扱うような文章の理解度と数学や理科の成績との相関が高いというのです。

 

新井教授曰く、「文学を通じて育む読解だけでは、歯が立たない文書が存在し、これからはどんどん増えていく」ですって。

 

簡単に言うと、取扱説明書や契約書の類ですね。

 

羊の経験で言うと、特許の出願書はその最たるものです。

 

初めて特許公報を読んだときには、あまりにも文の構造が複雑で、頭がくらくらしました。

 

例えばこんな感じ。まだわかりやすい方です。

 

第1コンテンツファイルを第2コンテンツファイルにインポートする装置において、前記第1コンテンツファイルに含まれた情報に基づいて、前記第1コンテンツファイルに含まれたコンテンツ部分それぞれの使用規則を決定する使用規則決定部と、前記決定された使用規則に従う前記第2コンテンツファイルを生成するコンテンツファイル生成部と、を備えることを特徴とする装置。

 

権利の範囲を厳密に記さなくてはならないので、このようなまだるっこしい文章になるのです。

 

無限大の元ネタにRSTの問題の例が載っているので、ぜひご自身で解答してみてください。

 

 

一概に「読解力が不足している」といっても、どこを改善したら良いかわかりません。

 

RSTが画期的なのは、「係り受け解析」「照応解決」「同義文判定」「推論」「イメージ同定」「具体例同定(辞書由来)」「具体例同定(理数教科書由来)」の6分野7項目の分類で測定、診断することです。

 

自分がどのタイプの文に弱いのかを指摘してくれるのです。

 

新井先生によると、子どもだけでなく大人でも、読み方には癖があるのだそうです。

 

ここを改善しない限り、読解力はつかないというのです。

 

寺子屋で使っている算数の問題に、筋肉豆腐問題というのがあります。

 

筋肉豆腐というものがあって、それを食べると食べた重さの半分がタンパク質になって、その半分の半分が筋肉になります。100gの筋肉をつけるのは、何グラムの筋肉豆腐を食べれば良いのでしょうか。

これを4年生にやらせたら、5人中4人は「半分の半分」の部分を「半分」と勝手に思い込んで400gと答えます。

 

1回目が半分だから2回目も半分に違いないと、無意識に思い込むのです。

 

こうした癖は至るところに顔を出し、この問題のように落とし穴がしかけてあると、見事にハマります。

 

今の社会は、直接会話することが減って、メールやSNS、添付文書などで仕事が回っています。

 

つまり、以前よりも文書の重要性が増しているのです。

 

ですから、リーディング・スキルがますます重要になってきます。

 

21世紀はAIにできない創造力を備えた人材が必要だと言われていますが、そうではないのかもしれません。

 

どんな文書でも読んで理解でき、正確な文書が作れる能力が基礎力として必要ではないかと新井先生は考えています。

 

リーディング・スキルについて興味を持っていただけましたか?(羊)