池田清彦監修『池の水ぜんぶは抜くな!』を読んでみた感想と考察

書籍の紹介

外来種はみんなワルモノなのか?子どもに無益な殺生をさせる事が本当に正義なのか?

池田清彦監修 月刊つり人編集部 編 『池の水ぜんぶ は 抜くな!』2019年6月1日発行

この本の表題は、あるテレビ番組を揶揄しての物なのか洒落のつもりなのかは別として、少々的外れな見出しであると感じてしまうのは私だけではない、と思いたい。本題でもある外来種と在来種の問題は、今に始まった問題ではない。表題とは言え流行の一部として発信してしまう行為は、ある意味視聴率優先のテレビ番組となんら変わりないものになってしまうのではないだろうか?

たしかに私も番組を見て、生き物の扱いに疑問に感じた事は間違いない。したがって、その行為に疑問を呈するのであれば、少なくとも流行に寄せた題名とはせずにしっかりと軸のある物を連想させる題名にしてほしかったと私は思う。内容が素晴らしいが為に非常に残念に思う。しかし、その表題に釣られ購入したのも事実。つまりは私自身も流行を追い続けて一過性の話題に乗っているに過ぎないのだろうか?いやいや違うと思いたい。これはそんな単純な事では片づけられない題材だろう。

さて、この書籍。外来種、私の場合は特に魚類に関してだが、以前から身近に感じるモヤモヤとした違和感を解消してもらえるような内容となっている。問題にしなければならない視点、論点を明確にし、無知からくる誤解や見識の違いをわかりやすく説いている。もちろん魚類だけではなく、他の動植物にも広く詳細が記されている。誰もが知る生物や植物が意外にも外来種であったり、人の生活に害を及ぼすような在来種があったり、と少なくとも今までの在来・外来の種に対する考え方を改めなければならなくなる人が続出するのではないだろうか。万人が興味を持つ題材ではないかもしれないが、これからの日本にとって必要な思考や思想にもつながると思われるので、少しでも興味のある方は読んでみて損はないだろうと思う。


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外来種とはいったい何なのか?

そもそも外来種と言う呼び名がすべての認識を歪めていることにはならないか。私自身そんな事を疑問に思うようになって久しい。

身の回りで感じることが出来る外来種としては、やはりニジマスが一番だろうとは思っていた。しかし、よく考えてみると、その辺に咲いている黄色いタンポポはほぼ全て外来の植物ではなかろうかと思う。その他にも身近で外来の動植物は意外にも多い事に改めて気づかされる。

では、外来種としてイメージされる物とはどのようなものであろうか?

人に危害を加えるものは当然として、害虫としてのもの、害獣・・・どうしても悪いイメージしか出てこないのではなかろうか?もちろん知らないだけで、人間にとって都合の良い外来種も実際に存在している。

私自身まずは、『外来種=悪』ではなく、『外来種=悪いイメージ』から改善してみなくてはいけないようだ。

知らないと言う事は罪である

無知である。と言う事で犯してしまう罪もあるだろう。また、認識の甘さからも同じようなことが言えるのかもしれない。しかし、無知であるが故犯した罪にすら気づかない。困ったことに外来種問題と言うのは総じてそのような事柄の集合体のようなものではないだろうか。

当たり前のことではあるが、まずは知ることから始めてみることで見えてくる物や事柄が違ってくるのではないかと思う。何事も勉強が大事だ。

釣りを通して思う事

俗にいうトラウト、鱒の類は美しい。よって、外来種であろうがなかろうが綺麗な鱒が釣れるとうれしいものである。それは釣り人の、特にトラウトハンターであればなおさらの事である。

そしてこう思うのだ。

お前の何世代か前の祖先がどうやってこの地に行き着いたのかはわからない。わからないが今こうして会えるのは此処に長く生き続けてこれたからだろう、と。

そう、どんな魚種であろうと、ただ一生懸命にこの地に生き続けてきただけなのだ。その一生懸命に生き続けてきた命をどうして絶やす事が出来るであろう。少なくとも私にはできない。出来る事と言えば、そぅっと川に帰してやる事だけである。

言う人は言うだろう、なぜ駆除しないのか?キープしないのか?再放流なんて以ての外だ!

確かにそうかもしれない。が、目の前の一匹どうにかした所で何がどう変わるのであろうか?また、現在そこまでの影響が出ていると言えるのだろうか?

魚を大事にしようとする思いと、死にも繋がるかも知れない釣り行為そのものに今なお矛盾と葛藤を繰り返している愚かな釣り人とは私の事だ。

生命の尊厳

命に重さがあるのなら、一番重い命の持ち主は一体誰であるのか?

命の重さが皆平等であるのなら、人とは何て罪深い生き物であろうことか?

そんな哲学的な答えにどうしても結びついてしまう外来種問題。既に一括りの枠組みやルールの下では解決できる問題ではないだろう。この本の題名『池の水ぜんぶは抜くな!』は好きにはなれないが、今、人々が興味を寄せる問題に真っ向から勝負した、かのテレビ番組であり、この書籍なのだろうと私は考えている。まさに今が過渡期であり、多くの人々が興味を寄せているからこその考える切っ掛けになってくれるものだろうと私は思いたい。

北海道のこの片田舎にも、外来種の進行は今なお進んでいる。↓


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