まず、この悪夢は、来斗が交通事故にあったことから始まる。

実はこの事故、夢香を溺愛している兄の仕業だったのである。
夢香は｢来斗が事故で亡くなった｣と伝えたはずなのに、兄は、｢来斗が車に轢き逃げされたって、本当か!?｣と言った。

何故、｢来斗が車に轢き逃げされた｣なんて詳しいことがわかるのか。
それは、事故の犯人が兄だったからである。
きっと、溺愛し過ぎたが故に芽生えた殺意だったであろう。

そして、夢香は来斗を追って、死ぬ覚悟をする。
しかし、文中に不自然な箇所が。
｢君がいなくなるなら～｣の部分、来斗は既に亡くなっているはずなのに

、『いなくなる』と言っている。

普通なら、『いない』である筈。

これは、少しの希望があった証だった。
これを言ったのは、実は来斗。
完全に亡くなったわけではなく、まだ生きられるかもしれなかったのである。
普通、亡くなったら白い布を顔にかけられる、パニックになった夢香は、それに気付かなかったのである。
来斗は、｢『夢香』がいなくなるなら『僕』もこの世界を去ろう｣と言ったのである。

夢香は、死のうと覚悟を決めたとき、死神によって、連れていかれる。
来斗に会えるかもしれない希望を持って、夢香は死神の提案を受け入れた。

 

しかし、死神さまの最後の会話

『やはり～…～。そうだよな、ライカ？』

｢仰せの通りでございます…｣


夢香の生まれ変わりの名は、ライム（後の物語による）
これは作者さんの打ち間違いではない。
実は、来斗が夢香より先に引き込まれており、死神と契約をしたのである。
夢香を助ける代わりに、自分のもとに永遠に仕えると…
来斗も思い出の名をつけたのである。来斗の『来』と夢香の『香』で来香(ライカ)。


あれ？夢の世界にいるかもしれないと言ったのに、ライカが死神さまの御抱えになっている？？

つまり、二人は永遠に、ライム(夢香)は夢の世界、ライカ(来斗)は地獄にいるので、出会うことができない。何かの拍子に会えても、気づかないまま…
という、悲しいお話である。

そして、記憶を少し消された夢香は、『誰か』を探すために夢を渡っているのである。

 

 

 

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